ケイの読書日記

個人が書く書評

倉知淳「猫丸先輩の空論」

2011-07-19 15:09:40 | Weblog
 猫丸先輩は、倉知淳のメイン探偵キャラ。
 小さい身体に小さい顔。目だけが子猫のようにまん丸で、長い前髪がふっさりと眉の下まで垂れている。子どもじみて華奢な脚のせいで、短パンが半ズボンに見える。
 童顔のくせに、全体的な雰囲気はどこかおっさんじみている。年齢不詳。30歳くらいか?

 唐沢なをき氏の猫丸先輩を描いた表紙絵があまりにカワイくて、借りてしまった。本屋で平積みになっていたら、間違いなく買うと思う。
 本当にラブリーな猫丸先輩なのだ。

 話としては、本格推理なのだが殺人とか盗みとかは出てこない。日常生活の中の謎を、非凡な推理力を持つ猫丸先輩が解決していく。

 そう、北村薫の『円紫さんと女子大生』シリーズみたいなカンジ。

 この猫丸先輩は、興味を持った事柄だけに、子猫みたいな好奇心で首を突っ込む。30歳になってはいるが、定職にはつかず、アルバイトをこなしながら、誇り高い野良猫のごとく、孤立を恐れない生活を続けている。

 変人でハタ迷惑な猫丸先輩は、名探偵として主役を張れる素質十分。しかし…この短篇集がさほど面白くないのはナゼか、私なりに考えてみた。

 ワトスン役に、いいキャラがいないのだ。御手洗に対する石岡君のような、火村に対するアリスのような。

 だから、猫丸先輩が面白くても、かけあい漫才をやる相手がパッとしないから、空回りしちゃうんだよね。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岸本葉子「できれば機嫌よく... | トップ | 村上春樹「うずまき猫のみつ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事