ケイの読書日記

個人が書く書評

雨宮処凛 「生きづらい世を生き抜く作法」

2017-06-09 09:27:02 | その他
 雨宮処凛さんへのインタビュー記事を、ずいぶん前、新聞で読んだことがある。中学時代に受けたイジメをせきららに語っていた。その表現がすごく具体的で印象的で…本当に苦しかったんだろうなと、私も自分の心が潰れるような気がした。よく覚えている。

 今の雨宮さんは、貧困問題・格差問題・脱原発などに取り組み、執筆や講演も盛んで、メディアへの露出も多い。若い頃は、イラクや北朝鮮へも渡航したし、ビジュアル系ロックバンドでシャウトしていたし、ゴスロリファッションに身を包んで、独特なオーラを放っていたし、一言でいえば、目立ちたがり屋だったんじゃないかな?

 このエッセイ集は、ホームレスの人たちの自立支援を応援する雑誌『THE BIG ISSUE ビックイシュー日本語版』で2006年から2015年まで連載したエッセイをまとめたもの。だから貧困問題には、すごく多くのページをさいている。
 雨宮さんは「ホームレスになった原因」を問うこと自体に意味がないという。真面目に働いていたけど失業してホームレスになった人と、ギャンブルやアルコールの問題からホームレスになった人を分けて考えるのはとても怖い事だと。
 なぜなら、それは「支援に値する人」と「支援に値しない人」を選別する思想に繋がっていくから。

 うーん、なるほどね。自己責任という考えは「悪」なのか。でもギャンブルの借金は自己破産できない事になっているはず。もしできたら、これは一種のモラルハザードでは?
 支援するにもお金がいる。お金は無限にあるわけじゃない。有限だ。という事は、少ないお金でできるだけ多くの効果を上げようとするのは当然では?
 財源を考えようともせず、支援ばかりを主張すれば、やはり行き詰まる。そもそも、雨宮さんはお金を軽視しすぎると思う。エッセイの中にも「たかがお金儲け」というフレーズが出てくるけど、これっておかしい。お金儲けって本当に大変。ちっともお金儲けができない私が言うのも変だが。

 こういった貧困問題に取り組んでいる人たちって、そういう傾向がある。金儲けは低級な人間のやる事であって、自分たちのような高尚な人間は、その配分を考えるだけで良いんだっていう思いあがった考え。
 お金が無かったら何にも出来ないんだよ。もし、あんたにビル・ゲイツと同じ稼ぎがあったら、どれだけでも福祉がやれるでしょ?

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