ケイの読書日記

個人が書く書評

乙一「GOTH」

2008-01-09 16:22:02 | Weblog
 サナダさん、お奨めの一冊。「GOTH」ってゴスロリのゴスなんですね。
 6つのファンタジックホラー短篇集。

 外面はとても明るいが、心の中に犯罪者嗜好を持つ男子高校生と、森野という被害者フェルモンを発散して犯罪者を挑発する美少女が2人組で登場。このコンビがなかなかいい。

 一見付き合っているように見えるかもしれないが、友情・恋愛感情があるわけではない。人と群れたがらず、教室ではクラスメートの騒がしさの陰に隠れ、静かに生息。
 異常で猟奇的な殺人事件が何よりも好き、というこの2人。

 しかし、最後の「声」という作品では、森野は「最初、あなたは私に似ていると思ったの。姉さんと同じ雰囲気を持っていたから。でも違う。私達は似ていない」「私は、あなたがときどきすごく憐れに思えるの…」と感情を爆発させる。 
 ただの恋愛小説になっちゃったみたいで、つまらない。


 この短篇集の最初の作品「暗黒系」の中に、連続猟奇殺人者を崇拝する少女が出てくる。
 その少女は、殺され解体されバラバラに配列される所だったが、危うく難を逃れ、しかもノーテンキなことに自分がターゲットにされかけた事を知らない。
 でも…もし、殺されたら、自分が生贄に選ばれた事に無上の喜びを感じただろうか? それとも、自分がそういった犯罪を神聖視していたことも忘れ、ただ恐怖に震え上がるだろうか? 
 興味深いところです。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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お邪魔虫です・・。 (サナダ)
2008-01-12 00:49:57
確かに、段々恋愛小説チックになっていった所は微妙でした。
最後まで、猟奇的な彼女(は?)でいてほしかったです。

keiさんは図書館で借りたのですか?
だったらカバーははずせなかったかぁ~。残念。
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サナダさんへ (kei)
2008-01-12 14:37:17
 コメントありがとうございます。

 カバーはずすと何か良い事書いてありました? 時々コミックでそういう作りをしてあるのがありますね。
返信する

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