本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

インパール作戦

2017-06-26 09:12:01 | Weblog
 数日前の新聞に「インパール作戦」の記事があった。インド・インパールの攻略作戦のことだ。兵器・弾薬・食糧の補給を軽視した日本軍は英米軍に惨敗した。新聞によると、3万人以上の日本兵が死亡したとある。

 火野葦平の『青春と泥濘』は、インパール作戦に従事した日本軍兵士の物語である。文学全集を引っ張り出して、火野葦平のこの作品をパラパラめくってみた。

 ジャングルの中での悲惨な情景が展開するのだが、その中に米軍の宣伝ビラの話があった。引用する。
 「死ぬるばかりが武士ではないでしょう。日本武士は無理に命をすてる悪癖があるが、諸君を待ちこがれている家郷の人々は、いかに諸君の犬死をなげくでしょう。生きてこそまたお国の役にも立つ。この票を持参して、わが陣営に来る者は、武士として厚く待遇し、日本敗北の折には、無事に諸君を家郷の人々のもとへ送り届けるであろう」
 
 それでも投降しなかったようだ。捕虜になるなという軍律のせいだろう。
 戦闘による死はやむを得ないかもしれないが、兵糧や武器類の補給がないうえに投降できない軍律で餓死や傷病死を余儀なくされた。当時の軍部と政治家は徴兵して国民を殺した大悪人である。安倍首相の爺さん岸信介もそのひとりだ。