褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 眺めのいい部屋(1986) 英国らしさを感じさせます

2017年05月04日 | 映画(な行)
 イギリスといえば階級社会。イギリスを舞台にした文学、映画となると階級社会がテーマとして何らかの形で扱われているのが殆ど。シェイクスピアのロミオとジュリエットよろしく、映画で大ヒットしたタイタニックしかりだ。
 そりゃ~、身分の違いによる障壁が高ければ高いほど男女の仲が燃え上がるというのは映画の題材としてはうってつけ。
 英国出身のE・M・フォスターの同名タイトル小説を原作とする映画が今回紹介する眺めのいい部屋。原作者はもちろん、イギリス人のスタッフとキャストが勢ぞろいした本作はまさに階級社会をテーマにした恋愛映画。
 ありふれたテーマだがイギリスの郊外の綺麗な風景、華やかな衣装、音楽は聴き心地が良くて、全体的にイギリスらしい気品が漂う映画だ。そしてイタリアのフィレンツェの文化遺産も見せてくれるように観光気分にも浸れるようなお得感が本作の特徴だ。
 
 また個人的にこの映画の設定として、何かと堅苦しいイギリスと情熱的なイタリアという二つの国が活かされているアイデアに感心した。イギリスに閉じこもっていた女子が、外国に出てみると解放感から本当の恋愛に目覚めようとする女性の心の機微が上手に描かれている。

 まあ、俺もそうだが本当に好きな人を前にすると素直になれない自分に発破をかけたくなるストーリーとはいかなるものか。
 1907年、イギリスの中産階級の令嬢ルーシー(ヘレナ・ボナム=カーター)は、だいぶ年配にあたる叔母のシャーロット(マギー・スミス)を付添人にしてイタリアのフィレンツェにやって来た。
 イギリス人が多く泊まっているホテルに来たものの、案内された部屋は窓から見た景色が眺めのいい部屋ではなかったためにシャーロットは文句たらたら。
 食事中も不平を言っているシャーロットに対し、同じイギリス人の宿泊客であるエマソン氏(デンホルム・エリオット)とその息子のジョージ(ジュリアン・サンズ)の父子から、自分たちが泊まっている眺めのいい部屋との交換を申し出てくる。
 シャーロットは階級社会の常識にとらわれないエマソン氏の態度を不快に思いながらも部屋を交換する。
 ルーシーはイタリア滞在中にフィレンツェの観光を楽しみ、次第に今まで会ったことのないタイプの男性であるジョージに惹かれるようになっていくのだが、結局その恋は実らずイギリスに帰って上流階級に属し、教養のあるセシル(ダニエル・デイ=ルイス)と婚約するのだが・・・

 せっかく向こうから素敵な景色を見ることができる部屋の交換を申し出てきているのだから、喜んで引き受けたら良いじゃん、なんて俺なんかは思ったりしたのだが、このあたりのイギリス人の感覚は、ちょっと日本人には理解しがたいものがある。階級社会に捉われた変なプライドが垣間見ることができるシーンであり、本作における全体的なテーマになっている。
 そしてこの映画のクライマックスだが中産階級に属するヘレナ・ボナム=カーター演じる乙女チックな女性が果たしてどっちの男性を悩みながら選ぶのか、ということ。上流階級に属していてウロウロしながら本ばかり読んでいる男か?それとも労働階級でありながらも一緒に飲むと楽しく思える男か?
 個人的には女性に声をかけるのが恥ずかしくて。勤勉家の俺とよく似たタイプである上流階級の男の方を選んでやれよ!と思ったりしていたのだが、金が無くても一緒に居て楽しい方をやっぱり選んでしまうよな。
 男どもが全裸で走り回っているシーンが見苦しくも感じるが、ビジュアルの面では文句のつけようがなく、読書した気分にもなれるように芸術的センスが高い映画。ラストシーンは女性ならきっとウットリするはずだ。
 文学作品を映像化する見本のような映画として今回は眺めのいい部屋をお勧め映画として挙げておこう

眺めのいい部屋 HDニューマスター版 [DVD]
ヘレナ・ボナム=カーター、デンホルム・エリオット、ジュリアン・サンズ、ダニエル・デイ=ルイス、マギー・スミス
アネック


 監督はジェイムズ・アイヴォリー。本当にこの人は上品な映画を撮る印象があります。他では本作と同じくE・M・フォスターの小説を映画化したハワーズ・エンド日の名残りが良いです。 

 



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