ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

『身の丈』と『身の程』

2019-10-29 06:14:13 | 日記
『自分の身の丈に合わせて勝負してもらえれば』
来年度に始まる大学入学共通テストで導入される英語民間試験をめぐり、萩生田文部
科学相の発言です。
この発言に対して、中京大の大内裕和教授(教育学)はツイッターで、
《(萩生田氏の)発言は、経済格差による教育格差の容認。ここでの『身の丈』とは
『本人の努力』ではなく『出身家庭の財力』を意味する。『教育の機会均等』を定め
た教育基本法にも違反する問題発言である」と批判した。》
            (毎日新聞 2019.10.27 20時39分)
と報じられました。
『身の丈に合った・・・』という言葉、一般的にはよく用いられる言葉です。
世の中を処して生きていくためには己の現実をわきまえ、そこから出発しなければ
いけないという教訓も含まれているのではないでしょうか。
私も、親からよく諭された言葉のひとつです。
担保も無いのに借金をしてはいけないとか・・・。
「身の程を知れ!」とは異なった意味だと考えます。
しかし、文部科学相の発言としては、やっぱりアウトではないでしょうか。

朝から すっきり晴れていましたので、バス、電車、バスと乗り継いで裏磐梯方面へ
行って来ました。
JR猪苗代駅からバスで裏磐梯方面へ行くのですが、満員。
座席に掛けることは出来ずに途中まで立っていましたので、かなり疲れました。
裏磐梯観光ホテルのロビーで、孫夫婦、ひ孫二人と合流。
磐梯山を眺め、コーヒーを頂きました。
これで、今年も秋を送ることが出来そうです。


【 『落選原稿』・・・メタボ的愛着・・・  その5 】

【よそ行き】
「よそ行き」、なんとも懐かしい言葉、ぬくもりに包まれた言葉である。
どこか貧しさの色合いを内に秘めてはいるが日向の匂いがあって暖かい。
「よそ行き」という言葉が使われなくなってしまったのはいつ頃からなのだろう。
子供の頃、普段着とは別に「よそ行き」の着物、「よそ行き」の下駄などがあった。
「よそ行き」とは、今で言うフォーマルという程の物ではなく、訪問先の家や、集
まり全体に失礼にならぬ程度に改まった服装とでも言えばいいのかもしれない。
「よそ行き」の着物は、私にとっては宝ものに等しかった。
とにかく「よそ行き」を身につけることは、晴れがましく、嬉しいことであったの
だ。
今、衣類や装飾品などは大量に市販されており、ブランドもので無ければ容易に手
に入れることが出来る。贅沢といえば贅沢になったともいえよう。
だが、少々値の張る新しい物を身につけても、子供の頃「よそ行き」を身に付けた
時の様なときめきや誇らしさを覚えることはまず無い。
食べ物にしても、戦後日本中が飢えていた頃、真っ白なお米だけで炊いたご飯を口
にした時などは、「幸せ」が口から入って身体中に充ち満ちたことを覚えている。
今、少し名の通ったレストランで少々贅沢なものを食べてみても、あの頃の白いご
飯の幸せ感には決して及ばない。何かさびしく、損をした様な気さえする。
若い頃出会った教会の牧師先生が、
『食べる物があって、食べられる身体があればそれで良し』
と教えて下さった時、
『先生、だから宗教はアヘンだなどと言われるんです』
と、食ってかかったことを気恥ずかしさと共に思い出す。
召されてから何年経ったものか、過去の方角から
〈あなたも、歳を重ねたねぇ。アッハッハ〉
と、明るく懐かしい先生の声が聞えて来る。
ところで、現在の私にとって、「よそ行き」の様に心を弾ませてくれるものは何な
のだろう。
夏の夕方、我が家への帰り道で、それって何だろうなぁと考える。
探す。
記憶の森も尋ねる。
私は重松 清さんの著書【青い鳥】に収められている短編[カッコウの卵]が好きだ。
幼い頃から、不遇な環境で育った若いカップル(女性のお腹の中には、自分たちの
子供が居る)の夕暮れどき、二人の会話のひとこま。
《俺はゆっくりと歩きだす。
「わたしたちのおうちに帰ろう」。どこの家からだろう、カレーのにおいが風に乗
って俺たちを包み込んだ。》
カレーのにおい。
それはつつましい安らぎと、懐かしさのにおいだ。
母のつくってくれたお肉の少ないカレーのにおい、【青い鳥】の香りなのだ。
「よそ行き」も、きっと【青い鳥】の仲間に違いない。
温もりだけを残して、思い出の彼方に飛んで行ってしまった【青い鳥】たちの仲間
だったのだろう。         (エッセー集「春が立ちますから」より)

    ※ この原稿は、一昨年、あるところへ応募した『落選原稿』です。
      1ピースずつアップしています。
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