人類学のススメ

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日本人の起源の本・古典29.論集日本文化の起源5(日本人種論・言語学)

2013年12月29日 | H4.世界の人類学者[Anthropologist of

Ikedaono1973

論集日本文化の起源〈5〉日本人種論・言語学 (1973年)
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:1973

 この『論集日本文化の起源5』は、全5巻[第1巻考古学・第2巻日本史・第3巻民族学(1)・第4巻民族学(2)・第5巻日本人種論言語学]の第5巻として、「日本人種論」は京都大学(当時)の池田次郎[1922-2012]さんによる編で、「言語学」は学習院大学(当時)の大野 晋[1919-2008]さんによる編で、1973年に平凡社から出版されました。本書は、日本人の起源に関する古典の論文を再録したものなので、「日本人の起源の本・古典」に分類しました。

 本書の内容は、以下のように、「日本人種論」と「言語学」の全2部に分かれます。

◎日本人種論[池田次郎編]

  • 池田次郎「解説」

戦前の日本人種論の流れ

  • 清野謙次「日本石器時代人種論に関する三種の学説」

 1.コロボックル・アイヌ論争

  • E・S・モース「日本における古代人種の痕跡」
  • 坪井正五郎「コロボックル北海道に住みしなるべし」
  • 小金井良精「日本石器時代の住民」

 2.二つの日本人説

  • 清野謙次・宮本博人「津雲石器時代人はアイヌ人なりや」
  • 長谷部言人「日本民族の成立」

東亜諸種族との類縁

 1.計測値からみた問題

  • E・v・ベルツ「日本人の起源とその人種学的要素」
  • 松村 瞭「日本人の頭長幅指数、身長およびその地方差」
  • 今村 豊「東亜における日本人」

 2.血液型、指紋などからみた問題

  • 古畑種基「日本人の祖先をさぐる」
  • 須田昭義「日本人指紋の統計」
  • 小池敬事編「日本人の指紋に関する研究」
  • 足立文太郎「腋臭と耳垢」
  • 小浜基次「日本人とアイヌ」
  • 児玉作左衛門「アイヌの人種分類上の位置の問題」

戦前の古代人骨に基づく日本人種論

 1.変形説と混血説

  • 鈴木 尚「先史時代から現代に至る日本人の小進化的変化」
  • 金関丈夫「弥生時代の日本人」

 2.洪積世人類の発見

  • 長谷部言人「明石市附近西八木最新世前期堆積出土人類腰骨(石膏型)の原始性に就いて」
  • 鈴木 尚「牛川鉱山で発見された洪積世人類の上腕骨」

◎言語学[大野 晋編]

  • 大野 晋「解説」

総論

  • 新村 出「国語系統の問題
  • 藤岡勝二「日本語の位置」

朝鮮語との初期の比較論

  • W・G・アストン「日本語と朝鮮語の比較研究」
  • 金沢庄三郎「日韓両国語同系論」

南方諸語との関係

  • 松本信広「オーストロアジア語に関する諸問題」
  • C・K・パーカー「日本語・西蔵=緬甸語同系論(抄)」

北方諸語との関係

  • G・J・ラムステット「アルタイ諸語と日本語の比較」
  • 有坂秀世「古事記に於けるモの仮名の用法について」
  • 金田一京助「国語史系統篇(抄)」

戦後の発展

  • 服部四郎「日本語と琉球語・朝鮮語・アルタイ語との親族関係」
  • 大野 晋「日本語と朝鮮語との語彙の比較についての小見」
  • 浜田 敦「「が」と「は」の一面」
  • 村山七郎「しなてる・てるしの考」
  • 李 基文「高句麗の言語とその特徴」

 本書は、日本人の起源や言語学に関する古典の論文を再録したもので、大変、参考になります。特に、鈴木 尚さんによる論文2点は、英語とドイツ語論文を和訳したもので、参考になるでしょう。また、それぞれの巻末には文献目録も掲載されています。


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