論集日本文化の起源〈5〉日本人種論・言語学 (1973年) 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:1973 |
この『論集日本文化の起源5』は、全5巻[第1巻考古学・第2巻日本史・第3巻民族学(1)・第4巻民族学(2)・第5巻日本人種論言語学]の第5巻として、「日本人種論」は京都大学(当時)の池田次郎[1922-2012]さんによる編で、「言語学」は学習院大学(当時)の大野 晋[1919-2008]さんによる編で、1973年に平凡社から出版されました。本書は、日本人の起源に関する古典の論文を再録したものなので、「日本人の起源の本・古典」に分類しました。
本書の内容は、以下のように、「日本人種論」と「言語学」の全2部に分かれます。
◎日本人種論[池田次郎編]
- 池田次郎「解説」
戦前の日本人種論の流れ
- 清野謙次「日本石器時代人種論に関する三種の学説」
1.コロボックル・アイヌ論争
- E・S・モース「日本における古代人種の痕跡」
- 坪井正五郎「コロボックル北海道に住みしなるべし」
- 小金井良精「日本石器時代の住民」
2.二つの日本人説
- 清野謙次・宮本博人「津雲石器時代人はアイヌ人なりや」
- 長谷部言人「日本民族の成立」
東亜諸種族との類縁
1.計測値からみた問題
- E・v・ベルツ「日本人の起源とその人種学的要素」
- 松村 瞭「日本人の頭長幅指数、身長およびその地方差」
- 今村 豊「東亜における日本人」
2.血液型、指紋などからみた問題
- 古畑種基「日本人の祖先をさぐる」
- 須田昭義「日本人指紋の統計」
- 小池敬事編「日本人の指紋に関する研究」
- 足立文太郎「腋臭と耳垢」
- 小浜基次「日本人とアイヌ」
- 児玉作左衛門「アイヌの人種分類上の位置の問題」
戦前の古代人骨に基づく日本人種論
1.変形説と混血説
- 鈴木 尚「先史時代から現代に至る日本人の小進化的変化」
- 金関丈夫「弥生時代の日本人」
2.洪積世人類の発見
- 長谷部言人「明石市附近西八木最新世前期堆積出土人類腰骨(石膏型)の原始性に就いて」
- 鈴木 尚「牛川鉱山で発見された洪積世人類の上腕骨」
◎言語学[大野 晋編]
- 大野 晋「解説」
総論
- 新村 出「国語系統の問題
- 藤岡勝二「日本語の位置」
朝鮮語との初期の比較論
- W・G・アストン「日本語と朝鮮語の比較研究」
- 金沢庄三郎「日韓両国語同系論」
南方諸語との関係
- 松本信広「オーストロアジア語に関する諸問題」
- C・K・パーカー「日本語・西蔵=緬甸語同系論(抄)」
北方諸語との関係
- G・J・ラムステット「アルタイ諸語と日本語の比較」
- 有坂秀世「古事記に於けるモの仮名の用法について」
- 金田一京助「国語史系統篇(抄)」
戦後の発展
- 服部四郎「日本語と琉球語・朝鮮語・アルタイ語との親族関係」
- 大野 晋「日本語と朝鮮語との語彙の比較についての小見」
- 浜田 敦「「が」と「は」の一面」
- 村山七郎「しなてる・てるしの考」
- 李 基文「高句麗の言語とその特徴」
本書は、日本人の起源や言語学に関する古典の論文を再録したもので、大変、参考になります。特に、鈴木 尚さんによる論文2点は、英語とドイツ語論文を和訳したもので、参考になるでしょう。また、それぞれの巻末には文献目録も掲載されています。