元ハーヴァード大学の古生物学者で、断続平衡説で著名な故スティーヴン・ジェイ・グールド(Stephen Jay GOULD)[1941-2002]さんが、アメリカの科学雑誌「ナチュラル・ヒストリー」に連載していた科学エッセイをまとめた『パンダの親指』と『ニワトリの歯』に、ピルトダウン人について書いたものが掲載されています。
『パンダの親指』(The Panda's Thumb)
The Panda's Thumb: More Reflections in Natural History 価格:¥ 1,456(税込) 発売日:1992-08 |
1980年に出版されたもので、第3部Human Evolution(人類進化)の第9章にPiltodown Revisited(ピルトダウン再訪)という文章があります。元は、「ナチュラル・ヒストリー」の1979年5月号に掲載されたものです。
この中で、グールドさんは、フランス人司祭で古生物学者のピエール・テイヤール・ド・シャルダン(Pierre Teihard de Chardin)[1881-1955]を疑っています。シャルダンは、北京原人やジャワ原人の研究を西洋諸国に紹介していました。また、1908年にフランスからイギリスに行き、イエズス会神学校で勉強をし、1909年にはチャールズ・ドーソンと知遇を得ており、ピルトダウン人の発掘現場も調査しています。
グールドさんは、シャルダンの手紙から、ヒントを得ています。
この『パンダの親指』は、櫻町翠軒さんによる翻訳で、1986年に、早川書房から上下巻で出版されています。なお、「ピルトダウン再訪」は、上巻に掲載されています。
パンダの親指〈上〉―進化論再考 (ハヤカワ文庫NF) 価格:¥ 672(税込) 発売日:1996-08 |
『ニワトリの歯』(Hen's Teeth and Horse's Toes)[原題を直訳すると、メンドリの歯とウマの蹄となるでしょうか?]
Hen's Teeth and Horse's Toes: Further Reflections in Natural History 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:1994-04 |
1983年に出版されたもので、第4部Teilhard and Piltdown(テイヤールとピルトダウン)の第16章The Piltdown Conspiracy(ピルトダウンの陰謀)・第17章A Reply to Critics(批判への返答)・第18章Our Natural Place(自然界における我々の位置)という文章が、ピルトダウン人について言及されています。
『パンダの親指』と同様に、テイヤール・ド・シャルダンを疑っています。本書では、その批判に対する返答も含まれます。
この『ニワトリの歯』は、渡辺政隆さんと三中信宏さんによる翻訳で、1988年に、早川書房から上下巻で出版されています。なお、「ピルトダウン人関連」は、下巻に掲載されています。
ニワトリの歯―進化論の新地平〈下〉 (ハヤカワ文庫NF) 価格:¥ 714(税込) 発売日:1997-11 |