外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

比率計算の基となるのは必要証拠金か維持証拠金か

2009-05-01 00:46:27 |   -FX実用相場用語

取引を開始するために最低必要な証拠金が、一般的に必要証拠金といわれ、日本ではこの金額と実際の取引相当額の比率で証拠金率やレバレッジを算出するのが一般的のようだ。

一方で、維持証拠金とはその額を割り込むとポジション(建玉)を保持できず、自動的にロスカットなどが発生する境目の証拠金額であるが、海外では証拠金率をこの維持証拠金額から算出する場合があるということだ。
つまり、維持証拠金に幾分かの証拠金を加味した額が取引開始には必要であるという考え方と、余分な証拠金があるならば維持できる金額で取引を開始してもその余分な証拠金を調整することにより、自分なりの売買シナリオを自由に設計しようという考え方の違いである。

ここで注意が必要なのは、取引が開始できるという事実だけで、そこから証拠金率やレバレッジを算出した場合、自動的にロスカットされる水準となる維持証拠金なのか、実際にはそこからいくらか上乗せされた金額で計算されているのかが不透明である。

たとえば
A:100万円の取引を5万円で開始でき、自動的にロスカットされる水準を5万円の20%
B:100万円の同じ取引を2万円で開始できるが、それを5万円の証拠金で開始

であるとき、同じ5万円で取引を開始したわけだが、取引できる最少額となる必要証拠金を基準に計算した場合、
Aは5%、Bは2%となり、レバレッジはAが20倍Bは50倍となる。
そこで、次に維持証拠金に基準を置いてみると、
Aは5万円の20%なので1万円つまり証拠金率は1%である一方で、Bは2%で変わらないことから、これ以上は維持できないという証拠金で比較すれば、そのレバレッジはAが100倍、Bは50倍と、実は逆転してしまうことになる。

4月28日に報道されたFXに対する規制強化の内容のなかで、レバレッジの低倍化や自動ロスカットの義務化などが盛り込まれているようだ。これは投資家保護という側面では非常に意義あることであり、ハイレバレッジが単純に魅力ある取引条件として業界が色を染めてきた流れに、ストップをかけることは有意義である。しかし、上の例でもわかるように、Aのような商品設定をすれば見た目は安全な設定に見えても、自動ロスカットまでの消費金額は多くなり、実際にそのような状況に遭遇した時の、投資家ダメージは否めない。

まずは、レバレッジ商品つまりは証拠金取引のメカニズムを理解し、取引シナリオをしっかりと身につけることが、レバレッジ商品と上手に付き合ってゆく秘訣だ。レバレッジが低いと安全であるという、摩訶不思議な説得の真意はただ、自動ロスカットまでの命が長いだけだというところにあり、なるべく長く持っていればスワップポイントだけは積み上がるというシナリオに過ぎない。

必要証拠金ベースでレバレッジ規制が入る場合は是非、皆さんは維持証拠金ベースでの計算をしっかりして欲しい。この数値がたとえば数100倍(Aの例で自動ストップの水準が10%であれば200倍!)になるようでは、週末イベント等でギャップを発生した場合、投資家はマイナス残高を計上しやすくなる。事業者がうまく回収できれば大勢に影響はないが、踏み倒された場合は事業者の貸し倒れ金となり、それが積もりに積もった場合は、事業者の存続に影響を与る場合もあろう。

確かに、そんな無謀な商品設計をした事業者にも問題は残るが、一部の投資家が原因となり、通常の投資家の預託リスクが増大する可能性は否めないのだ。今回の規制では、当然100%信託保全との抱き合わせ規制となるだろう。しかし、膨大なマイナス残高を一部の投資家が計上した場合、一時的に信託率が100%を割り込む可能性は否定できない。企業倒産は週末によくあるように、そうした場合のその他の投資家資産は保証しにくいのだ(了:為替投資郎)。

 



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