サブプライム問題が発覚する以前からも、ユーロやポンドではドル売りが加速していました。当時はBRICSの繁栄を背景にした資源高から、金利上昇の線路をまっしぐらに突き進んでいましたが、日本はキャリートレードの夢から覚め切れず、ドル買いを継続していました。その間に海外の正当な投資家は、対円でもドルを相当売りこんでいたはずです。
昨年の七夕のころ、金融機関のディーラーたちと会する機会がありましたが、一様に円安のクラッシュは近い旨が話題となっていたことを思い出します。
こう考えると、既に十分な為替による円収益もさることながら、ここまで下げた株価に対していつでも買える準備が整っています。彼らは恐らく、日本の株価が砂上の城であったことは判っています。本来、国内への投資が十分に向いていれば、彼らも自分たち以外の存在を意識せざるを得ないはずですが、幾らで何をどれだけ買っているのか、自らのことですから良く判っています。
とりわけ株式という発行部数に上限がある取引対象は、為替とは違ってコントロールし易いことから、何かの底に突き当たるまでは手を緩めないこともありえます。こうした動きに対抗できるのは、いよいよ真の投資を理解されている、目の効いた真の投資家の出番かもしれません。(了)