外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

2014年01月24日のドル円相場急落に思う事などなど

2014-01-25 19:01:35 | ☆外国為替を読む

ドル円相場は23日と24日で2円80銭の急落となりました。値幅から今のところ暴落とは言えないと思っていますが、それにしても、今週末は実に悪いニュースが重なったとしか言いようがありません。

新興国の懸念
先ず、新興国通貨が急落し、アルゼンチン危機が一層クローズアップされるなど、景気懸念が強まったことで、安全資産とされる円買いとドル買いが急伸しました。

その背景として予てから懸念されていたことではありますが、アメリカ金融緩和縮小の第一歩が踏み出されたことで、資金の供給過多による過剰流動性が向かっていた新興国への投資が急激に引き揚げられ、経済が破たんするとの思惑があります。90年代後半のアジア危機の再来懸念でもあります。

中国経済の陰り
加えて、こうした影響を強く受けた可能性がある中国経済にも弱い経済指標が出始め、投資家マインドに悪い影響を与えた可能性は高く、特に交易関係が強いオーストラリア・ドルが下落を加速させた主要因ともみられているようです。豪ドルは対円でも下落したことから、円買いを強めた要因になったのは確かです。

イギリスのサプライズ
また、このところのイギリス経済は比較的強く推移していたことから、直近の政策金利発表時にBOEから発せられた強気の発言などを受けて、早期利上げ思惑が台頭しポンド高となっていました。

しかし、その矢先にカーニーBOE総裁からは、唐突とも思える利上げ不要論が聞かれたことで、ポンドが急落しています。ドル買い要因になっていると共に、ポンド円の下落により円買い要因にもなっていった印象です。

ダボス会議の怪と日中関係
他にも、扱いとしては政治面にはなっていましたが、ダボス会議で安倍首相は、今の日中関係が第一次世界大戦前の英仏関係に似ていると例えた、との誤報が世界を駆け巡り、日本への投資懸念が世界同時株安の一因になった可能性も否定し切れません。

朝日新聞を読んだ限りにおいて(これも正解かどうかは別ですが)、この件に関しては、某一流メディアがツイッターで発した第一声が、余りに端折られたいた点が誤報に至ったのだと感じざるを得ません。第一次戦争の英仏関係に例えた主題Aは、B「当初は経済的にも深い相互依存があった2か国間」であり、C「今の日中関係」ではないことは明白でした。だからB=Cにならない様にするのが今の日中関係に必要な事であるというのが論旨であり、代表的な3段論法の応用であることは、恐らく小学生でも理解できる内容だと思います。そんな内容に対して、世界のメディアやコメンテイターまでがとった安易な懸念表明は、“そこまで地に落ちたか…”という残念な気持ちです。

余談:中国の世界政治戦略である反日テーマは何?
それと同時に、実際にダボスのスピーチを聞いたか否かは別にしても、問題なのは近年特に反日を世界的に吹聴する中国政府が、メディア同様に余りにも早計な反応を示した点に疑問を持つしかありません。

様々な材料を使って反日を繰り返す今の中国は、まるで落ち目にあるクラスのリーダーが、対抗措置として新リーダーに対する歪んだ悪口を言い触らし、時にはおもちゃの刀を振りかざしてまで権力を回復しようとしている子供にしか見えません。それに屈してしまったのは韓国だけ…という状況の中、通用するのは小学生までという手法では、世界的リーダーどころか、クラスのリーダーにすら決してなれない気がします。

中国は紛れもなく大国であり、故の苦しみも理解できますが、何がしたいのか反日の目的が全く意味不明です。もともと日本の文化は中国の影響を強く受けているとの認識は皆が共有する事実であり、中国に対する感情は基本的に悪くない気がしているのは私だけでしょうか。にも関わらず、もし、反日の目的が国内統治のスローガンであるならば、なおさら日本はいい迷惑であり、ここが日本人の苛立ちになっている気がします。あるいは、もしそうすることで日本のあらゆるマーケットの世界シェアを自国に置換したいのなら方向を変え、法規的にも技術的にも自国に磨きを掛ける方が早いでしょう。

広告宣伝費として莫大な金額をもらっているのかもしれませんが、世界のメディアは、きちんとした目で正しい内容を伝えてほしいと思う一方、世界中の読者側はこうした金銭背景を織り込んで読んでほしいと思います。

ダボス会議での誤算
ダボス会議で安倍首相が犯した唯一のミスは、第一次世界大戦をヨーロッパの地で例えに出したことでしょう。場所が永世中立国のスイスということもあり、戦争を否定する強い意志を国際連盟の志に例えたかった気持ちは理解しますが、こうしたメンタリティは靖国参拝も含めて、日本人にしか通用しない可能性が高く、欧州にとっては恐らく第一次戦争は恥部なんだろうと思います。この点では、せっかく期待していた、アベノミクス“第三の矢”というトピックが霞んでしまいました。

世界の投機筋の多くはこの材料を円売りにするつもりで待ち構えていたはずで、悪い方にサプライズとなってしまったのは本当に残念であると同時に、日中、日韓関係共に早く昔の戦争を恥部として認識し、とりわけ国際政治には恥ずかしくて利用したくもない…という文化意識が芽生えることを願います。

今後の為替相場イメージ
余談が長くなりましたが最後に…、確かに日中関係の悪化が投資マインドに与えた影響は否定しませんが、ただしこの場合は地政学リスクに直結するため、本邦投資家が海外資本を円転する場合はあっても、海外投資家がリスク回避を目的に円転するとは考えにくく、某スポーツ新聞の見出しのようなダボスのデマは、円買いの仕手材料にされた観は否めません。

一方、新興国の景気後退懸念は第二のアジア危機を連想させ、悪い循環を生む可能性はありそうです。ここは冷静に対処したいところですが、米国株価が下げ止まるまでは、下値リスクを意識せざるを得ないことから、金融緩和縮小への二歩が遠のいた今、早期に株式市場がこれを好感材料とすることを期待します。

さて、ドル円相場に関してですが、ドル金利の上昇が見込めない限りドル買いの大義名分も無く、見渡す限り円を除くどの通貨も、売り材料一色となってしまったのは嫌な状況です。チャートを一通り見渡したものの、ここ2日間の動きが反転とならずにトレンドを継続している相場に沿うしか、方法が見当たらない状況を懸念しています。

ドル円はそろそろ、ドル買いを意識したいところですが、ゼンマイ仕掛けのストップゲームはどこまで行くか予想もし難く、また上昇相場への早期復帰もあまり期待できないことから、最悪は昨年5月以降のような揉み合いに発展することも念頭に置きたいと思います。2014年はもう少し簡単な相場もあると考えていましたが、なかなか難しくなってきました。
東京都知事はこんな状況ですが、オリンピックはまだ6年先のことですから、ここで冷え切ってしまうのはまだまだ早く、勿体ないとは思いませんか?



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