外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

ドル円、安値揉み合いでドル買い越しが大幅解消も、円の買い越し増えず-IMM分析活字版

2014-04-20 17:57:58 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今週番組で使用する最新データは、4月15日のIMM市場が終了した時点のものです。
今回、データの対象になった期間のドル円相場は、前週に進んだドル売りを僅かに伸ばしたものの、底堅い動きとなり101円台後半で揉み合う展開でした。
前週締切の段階で、既に大幅な下落をした後にも関わらず、ドルの買い越しは意外にも大きく減少していませんでした。今回、この揉み合いを通じてその後の残高に変化があったのでしょうか。
では早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。
先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフからです。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
オレンジの折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、揉み合い相場を物語るように前週と殆ど同じ水準となっています。一時的に大きく下落するような動きも無かったにも関わらず、ドルのネットポジションは68,716コントラクトの買い越しと、4週前の水準へと減少していました。

これで、2週連続して値動きとネットポジションの動きがかみ合わない現象になりましたが、合わせて考えると一応は順当な結果に収まった格好です。
逆に今回の結果だけを見れば、ドルの買い越しが減少したにも関わらず、相場が下がらなかったという印象を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。
先ず主要3通貨ペアからですが、何れも通貨を買う方向へ残高が増える傾向でした。


円は売り残高が減少しブルベアもブルが2ポイント回復し、
ユーロは前週と同じ比率を維持しています。
ポンドはブルが3ポイント伸ばす結果となっています。
そのほか、
豪ドルは買い越しを伸ばし始め、ブルベアもブルが4ポイント伸ばす結果になっています。

前週大きく買い越しを伸ばしたメキシコペソは、予想通り調整があったようですが僅かなものに収まり、大幅な買い越しは維持されています。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。

先ず円ですが、このグラフでは円が大きく買い越された格好になっていますが、ブレークダウンを見ると、
円の売り越しが大きく減少したことが結果的にネットの買いとして機能していたことが判ります。実際に円の買い越し自体は僅かな増加となっており、相変わらず円に対する先高観は育っていないようです。円の買い越しが増える動きにならない限り、円高方向への動きは限定的なのかも知れません。

ユーロは、売り越す調整が続いた後、買い越しに転じています。
ブレークダウンからは今回、売り越し買い越し共に残高が増えており、ユーロへの注目が復活していることが判ります。買い越しが売り越しを上回ったことで今回は買い越しに転じましたが、明確な方向性には乏しい印象です。

ポンドは、買い越しが継続する中、その勢いは低下しています。
ブレークダウンでは、買い越し売り越しとも縮小しており、利食いや損切りが進んだ格好ですが、ショートの手仕舞いが優勢となっており、市場は依然と上昇見通しが優勢に見えます。

残高分析ではいよいよ買い越しに突入した豪ドルは、買い越しの勢いこそ低下傾向にありますが、3週連続して買い越す動きが続いています。
ブレークダウンでも、依然として豪ドル買いへのシフトが継続しており、豪ドル高の見通しに変更は見られませんでした。

<総括と考察>
さて、前回から引き続きドルの金利先高観が後退している中、各通貨を買う動きが優勢で、IMM残高でも買い越し方向へ残高が向かう傾向が確認できました。特に、高金利通貨が買われる傾向が強い中、低金利通貨の方向性が定まらない印象があります。

ユーロにはウクライナリスクが付きまとい、市場規模が縮小していた中、今回、残高が回復する兆しがありましたが、明確な方向感は出ませんでした。

円に関しては、先週この番組で想定した通り、安値揉み合いを通じて売り越しが調整され、どうにか矛盾を解消する動きとなりました。ネットで見る限り、円の売り越しは上下しながら調整中ですが、3週連続して売り越しが解消されているのは事実であり、直ぐに円安相場が再開する様には見えません。
先ほど、番組の中でも想定したように、買い越しが増加しない限り円高には振れにくいとは思いますが、円売りが解消されている流れが継続している以上、一方的な円安も見込みにくい地合です。

ポンドは好調な経済指標を背景に買い基調が継続し、豪ドルは高金利通貨を背景に、いよいよ買い越しに転じています。取組むとすれば、このように流れが出ている通貨が順当であり、週替わりで方向性が入れ替わるような通貨は回避すべきかも知れません。

以上、IMMの取組残高分析は動画でもご視聴いただけます。


※上の画像をクリックしますと、ForexTVジャパンのIMMチャンネルにアクセスします。沢山の画像やグラフを使い、解りやすく仕上げておりますので、是非一度、ご覧ください。


【PR】