外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

円残高は買い/売り共に増える中、売越し縮小は底打ちを見せる-IMM分析活字版

2014-02-25 17:57:18 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週のIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今週番組で使用するデータは、2月18日のIMM市場が終了した時点のものです。

今回、データの対象になった期間のドル円相場は、アメリカ経済指標が相次いで悪化し、リスク警戒感から円買いが先行した後、週明けに101.38円の安値を付けた以降は、日銀の政策金利発表を控えて調整気味に戻し、発表前後では思惑も入って前週の高値を更新するなど、往来相場となりました。

値動きからも、あまり大きな変化は期待できませんが、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。


<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
前回に引き続き、ドルの買い越しを取り崩す動きは収まっています。
相場は僅かに反落したものの、79,784コントラクトの買い越しと、前週に比べて1000コントラクトほど買い越しが増加し、僅かながら2週連続してドル買いが増加しました。

一時100円台後半を付けた今回の下落は、昨年5月の下落幅の約半分程度に収まった反面で、単純にドル残高の減少幅は前回の2倍近くあり、残高の減少幅が相場に与えたインパクトは、今のところ限定的に終わっていることになります。

<全通貨別ネット残高推移>
円は僅かずつ売り越しが再開していることが判り、
豪ドルは上昇相場を受けて、売り越しの減少が継続しています。
メキシコペソの売り越しは、沈黙状態から減少に移り、リスク警戒感が後退し始めた可能性が指摘できます。
ユーロは方向感に欠ける中、以前の売り越しから買い越しに転換し…、
ポンドは買い越しを一段強めるなど、目先はヨーロッパ通貨の上昇見通しが優勢である状況が指摘できます。

ブルベアを見てみますと、
円は買い越しも僅かに増えて、再び買い越しが15%を回復し…
ユーロは買い越しが売り越しを押し返す格好となりました。
また、ポンドは6対4程度まで買い越しが増加し、売り越しを寄り切る気配を感じます。

豪ドルに関して
ですが、先週のグラフはデータの表示が間違っていました。ブルベア比率に問題はありませんでしたが、今回は売り越し、買い越し共に残高を減らし、豪ドルへの興味が後退している状況の中、ブルベア比率への影響は特にありませんでした。


最後に、今回売り越しが一段と増加したカナダドルは、
2月に入って売り越しが徐々に取り崩される動きが続き、相場はカナダが強含む展開でした。昨年12月終盤のブルベア程度に一時売り越しが減少しましたが、相場の水準は高い位置を維持できたことから、先週のカナダ売りにも見られたように、売り越しに安心感が戻った可能性が在りそうです。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。

ネットの増減だけで見ると、3週前との比較ではユーロとポンドの変化が一番顕著で、売り越しから買い越しへと大きく方向を変えています。

ユーロからブレークダウンを見てみますと、売り越しが僅かに減少する中、買い越しが大きく増加しています。共に買い越しに作用したことで、大幅な買い越しになった訳ですが、3週前と比較すると買い越し残高は相当回復しており、IMMの投機筋はユーロの先高観を強めていることが判ります。

またポンドのブレークダウンでは、買い越し・売り越し共に残高が大きく増加しています。ネットでは相殺されるため今回の買い越しはさほど大きくは見えませんが、先高観が強まった中で対抗売りの興味も増えており、ポンドへの注目度が再び盛り上がり始めたことが判ります。

<総括と考察>
さて、アメリカの中央銀行的な役割を果たすFRBは、イエレン新議長体制が本格的に始動する中、資産買い取り額の縮小を継続しています。FRB筋からも依然として強気の発言が多く見られ、アメリカの株式市場は2月初旬の安値からはかなり回復しています。

しかし、一方で弱い結果が続くアメリカの経済指標はリスク警戒感を呼び、債券市場は一時的に上昇して利回りは低下する等、市場はリスクに対してONかOFFのどちらを優先すべきか、まだ確固たる判断はしかねているように見えます。

先週の当番組で想定した通り、ここまでの各為替相場は方向感なく上下する展開ですが、今回のIMMデータからは、僅かながらもリスク警戒感が後退しつつある兆しは、継続していたように見えました。

もう少し債券市場に安心売りが見られるまで明確な方向感は出にくいとは思いますが、フォレックスTVとしては、これまで同様、ドル売り円売りが優勢な見方を維持したいと思います。


以上の内容は動画でもお送りしています。多くのグラフなどを交えて、より解りやすく解説しています。

※上の画像をクリックしますと、ForexTVジャパンが放映している「IMM分析チャンネル」に移動します。


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