上信越自動車道
上田菅平インターから
天気予報どおり
雨は降っていないのですが
空は低い雲にさえぎられ
どの山も山頂を
仰ぎ見ることはできません。
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カーナビの示す方向も
雲が山頂を覆い隠していました。
井出牧場を左折すると
九十九折の上り坂になり
次第にガスに包まれ
距離にして10kmくらい上り続けます。
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美ヶ原高原美術館が見える辺りで
ようやく
ガスの中にも明るさが出て
気持ちも前向きに変わりました。
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今日は
車が上りのほとんどを
肩代わりしてくれました。
登山口というより
出発点は
山本小屋ふるさと館
標高1924m
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行く先は
王ケ頭
標高2034m
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標高差110mは
今までの日本百名山の中で
最も少ないものです。
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ガイドブックでは
南西の三城牧場からのルートで
標高差650mになっていましたが
このガスたっぷりの天気では
あまり違いはないでしょう。
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牧場の道を
向こうから6人ぐらいのグループが
やってきました。
地名が引き寄せる魅力で
若い人や観光客のような人たちが
多く訪れる観光地ですが
この日は雲のせいか
落ち着いた雰囲気の牧場でした。
ここに来られる皆さんは
きちんとあいさつをして
すれ違います。
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話し声がないと、すれ違う直前まで
人の気配がわかりません。
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まっすぐ進むと最初の目的地
美しの塔が霧の中に見え始めます。
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塔の裏には
尾崎喜八さんの詩があります。
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登りついて不意にひらけた眼前の風景に
しばらくは世界の天井が抜けたかと思う
やがて一歩を踏みこんで岩にまたがりながら
この高さにおけるこの広がりの把握になおもくるしむ
無制限な、おおどかな、荒っぽくて、新鮮な
この風景の情緒はただ身にしみるように本原的で
尋常の尺度にはまるで桁が外れている
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今日
雲の間から不意をついて
見えるものは
快晴のとき見えると言う
日本百名山41座よりも
心に残る風景でした。
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進むとともに
正面には
西洋の城に付き物の尖塔のような
電波塔を従え
牧場の丘の上に立つ城
王ケ塔ホテルが姿を現しました。
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自然のものとは思えないほど
雲の演出がみごとです。
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右には
遠く
上下の雲にはさまれて
北アルプスの山々が見えて
左手に
雲海を従えた八ヶ岳と蓼科山です。
頭上にも雲があるので
この色を失った海は
本当の海との違和感がありません。
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日光がないので
山は青く
切り絵のように
その形を印象づけていました。
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つづく