「高野山秘記」
「右追て祖師贈大僧正法印大和尚位空海の諡名を賜はるべきの状。先年陳請以聞す、而して天許の後未だ明詔を蒙らず、觀賢今遺跡を拜せんが爲めに遙かに南岳に向ふ、望み請ふ諡名將さに廟前に告げん。然らば則ち久亡の靈魂新に天恩に感ぜん、觀賢懇切の至りに任へう重ねて以つて陳請以聞す。觀賢誠惶誠恐謹言。
延喜二十一年十月五日 権大僧都法眼和尚位觀賢」
「高野春秋」
「延喜二十一年冬十月五日、座主観賢師重ねて上表し頻りに高祖の諡号を奉請し、素願を果たさんと欲す。其の上表に云く。
『早く真言祖師贈大僧正法印大和尚位空海に諡号を賜んことを請す事。右追って祖師贈大僧正法印大和尚位空海に諡号を賜はるべきの状、先年陳情し以て聞こしめす。而して天許の後、未だ明詔を蒙らず。観賢、今、遺跡を拝し遥かに南岳に向はんとす。望み請ふらくは諡号を廟所に告げんとす。然れば則ち久亡の霊魂、斯く天恩に感ぜん。観賢懇切の至りに堪へず。重ねて亦陳情す。誠惶欽言。 延喜二十一年十月五日、權大僧正法眼和尚位観賢 謹上』