玄海
「高野山寶性院の碩匠。字は真乗、或いは信照。俗姓高志氏。和泉大島郡の人。行基菩薩の遠甥にあたる。年十三にして高野山に登り、十七歳釈迦文院幸明に随て出家し、両部灌頂を稟け、慧學義辨に名あり。寶性院宥性その器を愛して院席を譲る、時に十九歳。次いで瓊算に就きて傳法灌頂を受け、信堅・仁然・頼審等の門を叩きて宗學を研き、中院流の奥旨を汲み、又、圓祐・憲淳・亮禅の諸徳に就きて野流の秘蹟を探る。これに加へて、三論を凝然に、宗乗を信日に學び、顕密二教の淵奥究めざるなし。遂に學頭職に上り、後醍醐天皇の寵寓を蒙り、優諚(天皇のお言葉)を拝して屡々宮中に伺候し清涼殿に於いて真言秘訣を授け奉る。かくて大僧都に任じ、延元元年1336重ねて法印に叙せらる。師平素行徳に勝れ、嘗て寶性院に於いて不動法を修して阿遮羅三昧(不動三昧)に入り、又不動十万枚を行ずるに、三童子壇上に影現する等の霊威はなはだ多し。貞和三年三月十七日寂。壽八十一.付法に快成あり。・・」(以上密教大辞典)
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