○ベートーヴェン 「エグモント」序曲 フリッチャイ/ベルリン・フィル 1958年9月29日
○ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 フリッチャイ/ベルリン・フィル他 1957年12月28日~1958年1月2日、4月28、29日
○ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」第4楽章1部 フリッチャイ/ストックホルム・フィル他 1957年2月27日(ライヴ)
「エグモント」序曲は、ベルリン・フィルの懐の深いスケールの大きい演奏です。特に遅めのテンポの序奏から主部に入る前のリタルダンドは印象的です。
フリッチャイは、RIAS交響楽団の首席指揮者であった1949年から1954年まで毎年末年始に第9を採り上げています。 RIAS交響楽団の首席指揮者を辞任した後も、時々採り上げていて、1957年12月30、31日には、ベルリン・フィルを指揮しました。そして、前後して録音されたのがこの演奏です。
この録音にはいつくかのトピックがあります。
まず第1にフィッシャー=ディースカウが唯一参加している第9であるということです。フリッチャイと親交が深かったゆえ、実現したことではないかと思います。
次に、ドイツ・グラモフォンで最初にリリースされたステレオ録音であること。
そして何より素晴らしい演奏であることです。堂々とした風格ただよう演奏で、特に第3楽章は、大河のようにゆったり流れる演奏です。後半の金管のファンファーレは、力の限り質感たっぷり吹いていて、他の演奏の力のなさがなさけなく思えます。第4楽章は、少し録音が悪いと見え、前3楽章より小さくなってしまったように感じます。とはいえディースカウの存在感はたっぷりです。4楽章は独唱、合唱団も必要なことから演奏会と同時に1957年年末から1958年年始にかけて録音し、1~3楽章は1958年4月に録音したのではないかと推測します。
ストックホルム・フイルとの第9は、このオーケストラの75周年を記念して発売された8枚組CDに収録されており、第9の第4楽章を10人の指揮者が演奏したものを細切れにつないだものの一部分です。