○スメタナ モルダウ リハーサル&本番 フリッチャイ/南ドイツ放送交響楽団 1960年6月14日
この録音は、南ドイツ放送局によって1960年12月及びフリッチャイ没後の追悼番組としてテレビ放映されました。また、DGでもLPとして発売されていました。
映像については、ユーロアートがDVD化し、LPについては編集でカットされていた月光から聖ヨハネの急流にいたる部分を追加してCD化されています。
この録音(映像)では、フリッチャイのこだわりが随所で聴く(見る)ことができます。例えば、出だしのフルートのかけあい、第1と第2の受け持ちを半小節ずつでなく2小節一人で吹かせるように変えています。また、モルダウの主題が出る前の弦の合奏、森の結婚式の前のクレッシェンドの部分など、何度も何度も繰り返し演奏して磨きをかけています。
そこで素晴らしいのは、フリッチャイの表現力に加えて、祖父ゆずりのテノールで、まるで楽器が奏しているのと同じように歌うことができます。
なお、映像盤とCD盤では編集が異なる部分がいつくかあるほか、残念なことにDG盤の本番の録音は、聖ヨハネの急流の部分から、1953年録音のベルリン・フィル盤が流用されています。おそらく、音量が大きく収まりきらなかったのではと思います。