私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

マルティヌー/「ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画」

2011-01-18 22:15:01 | 管弦楽曲
 
 ボフスラフ・マルティヌー(1890~1959/写真)は出身国チェコからナチス・ドイツの支配を避け米国に渡り市民権を得て民族性と抒情性に富んだ作品を数多く手がけた音楽家であったがまだ日本での人気度はそれほど高くはない。しかし彼の強烈な民族意識は戦争の悲しみとナチスへの怒りと平和への祈りをこめた力作を生んでいる。今回取り上げる「ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画(Fresky Piero della Francesca)」は彼が戦後アメリカからヨーロッパに戻り1954年にイタリアを旅した際に訪れたアレッツォにある「聖フランチェスカ聖堂」にあるピエロ・デッラ・フランチェスカの一連のフレスコ画ー「聖十字架物語」に感銘を受け作曲したと言われている。作曲は翌年1955年にコート・ダジュールのニースでされ作品の初演は1956年夏の「ザルツブルク音楽祭」でラファエル・クーベリック指揮ウィーン・フィルのコンサートで行われた。この初演のライヴ録音がドイツの「ORFEO」レーベルからCD化されている。(ORFEO-C521991B)
 作品は3つの楽章から構成され全般的に新古典主義的な優美な旋律を持ち交響詩風で聴きやすい。ただ残念なことにまだCD録音の数も少ないため現在のところ国内盤が見当たらない。先日、NHKFMの「ロイヤル・アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団」の特集番組でジョン・エリオット・ガーディナーがこの作品を取り上げその演奏が大変素晴らしかったことも追記しておきたい。



RCA-VICTROLA廉価盤LPシリーズから1枚

2011-01-16 12:26:48 | 協奏曲

 久しぶりに1960年代にRCAビクターから廉価盤LPとして発売された(当時1枚1,200円)シリーズの中から筆者が好きな1枚を紹介してみたい。写真のLPは1964年に発売されたグリーグの「ピアノ協奏曲」と劇音楽「ペール・ギュント」組曲がカップリングされたものである。(SUP-2024)演奏はオッド・グリュンナー・ヘッゲ指揮オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、ピアノ=キエル・ベッケルント(ピアノ協奏曲)によるものだが当時中学生だった筆者には指揮者、ピアニストの名前など知る由しもなかった。
 ソリストのキエル・ベッケルント(Kjell Baekkelund/1930~2004)はオスロ出身でなんと8歳の時にこの「オスロ・フィル」と共演した経歴がある天才的ピアニストで1953年の「第1回スカンジナヴィア音楽祭」で優賞、さらに同年の最優秀ピアニストとしてロンドンの権威ある「Harriet Cohen Medal」を受賞している。ただ日本国内では彼のレコードがこれ以外には見当たらない(現在CD化もされてないと思われる)ため知名度が低いのが残念である。一方の指揮者のオッド・グリュナー・ヘッゲ(Odd Grüner-Hegge/1899~1973)も1899年オスロの旧名クリスチャニア(Christiania)生まれの人で1931年から1962年までこの「オスロ・フィル」の音楽監督を務めている。このレコードの録音年代はジャケットに記載がないので不明だがオリジナル・ステレオ録音なので彼が音楽監督を務めていた1960年前後のものかと推定される。



メノッティの「ヴァイオリン協奏曲」

2011-01-15 12:07:21 | 協奏曲

 筆者がイタリア出身のアメリカ国籍の20世紀の現代オペラ作曲家ジャン・カルロ・メノッティ(Gian Carlo Menotti/1911~2007)を知ったのは今から40年ほど前の学生時代に彼の1幕もののオペラ・ブッファ「電話」をレコードで聴いた時だった。オペラの内容は彼女のところに結婚を申し込みに来た一人の男が女に次ぎ次ぎへと電話がかかってくるので彼も最後は外に出て電話で結婚の承諾にとりつけてしまうというコミカルな内容でこの作曲家に興味を覚えた。しかしその後はほとんど彼の作品を聴く機会もなく時が過ぎてしまったが最近になりまた関心を持つようになった。
 今回取り上げる作品は彼が41歳の1952年に名ヴァイオリニスト、エフレム・ジンバリストの委嘱により作曲した彼の唯一の「ヴァイオリン協奏曲イ短調」である。全体で3楽章構成をとるこの協奏曲は彼らしいロマンティシズム溢れる魅力的な作品だが最近まで国内で実際のコンサートで演奏される機会はなかった。因みに調べてみると日本初演は2008年11月23日、井上道義指揮、ヴァイオリン=磯崎陽一、新日本フィルのコンサートであった。またレコード録音の数も非常に少なく古いところでは写真のシャルル・ミュンシュ指揮、ヴァイオリン=トッシー・スピヴァコフスキー、ボストン交響楽団(RCA/現在BMG)の1954年録音のものが最初ではないかと思う。写真のCDは2006年に「シャルル・ミュンシュの芸術」シリーズ全40の最後を飾りリリースされたものでこれが「世界初CD化」ということである。(BVCC38467)しかし限定盤であったため現在では入手困難になっており貴重盤でもある。モノラル録音ながらセッション録音なので音質は大変素晴らしい。CDジャッケットもLP発売当時の「オリジナル・ジャケット・デザイン」を用いているところも魅力である。
 尚、ソリストのスピヴァコフスキ(1908~1998)については以前に取り上げたシベリウスのヴァイオリン協奏曲のレコード(米エヴェレスト盤/タウノ・ハイニカイネン指揮ロンドン交響楽団)でオールド・ファンにはお馴染みの人である。

グリュミオー&ハスキルのベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ全集

2011-01-14 14:56:02 | 室内楽曲

 ベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ全集」は過去にも紹介したムター&オーキスにる1998年ヴィースバーデンのライヴ盤(DG)をはじめとして筆者がよく好んで聴くCDは何種類かあるが今回取り上げるアルテュール・グリュミオー&クララ・ハスキルによる全集盤も1956年~57年のモノラル録音だがグリュミオーのヴァイオリンの艶やかさとハスキルの見事なピアノ伴奏がマッチした歴史的名盤の一つである。「オランダ・フィリップス」原盤であるが2007に先日取り上げた同じオランダの「ブリリアント・クラシックス」(BRILLIANT CLASSICS)がライセンスを得て廉価盤としてリリースされている。(写真/3CDデジパック仕様ー93329)我々音楽愛好家にとっては大変ありがたいことだ。この全集盤の魅力は演奏の質の高さは言うまでもなく音質がモノラル録音ながらダイナミックでその豊かさがステレオ録音と勘違いするほど素晴らしいところにある。
 因みにグリュミオーは後に1975年~76年に同「フィリップス」にクラウディオ・アラウとも「第1番・第2番」・「第4番・第5番」・「第7番・第8番」の6曲をステレオで再録音しているが全集録音に至らなかったのが残念である。
尚、筆者は未聴だがハスキルとは1957年の「第3番」・「第10番」のライヴ録音もある。



今、脚光を浴びるピアニスト - ペーター・レーゼル

2011-01-12 19:09:09 | 想い出の演奏会
 
 今、ペーター・レーゼル(Peter Rösel)というピアニストが脚光を浴びている。彼は1945年旧東独ドレスデン出身、初来日は40年前の1971年11月、クルト・マズア指揮ライプチイヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のソリストとしての同行であった。筆者も当時この公演に足を運び彼のべートーヴェンの第5番「皇帝」を聴いた。筆者の思い出に残るコンサートの一つでもある。因みにこのコンサートの模様はNHKFMでも後日オン・エアされその「エア・チェック・テープ」を現在も大切に保存している。その後「ベルリンの壁」が崩壊するまで日本国内での彼の知名度はそれほどではなかったと記憶している。筆者はその後彼が「ドイツ・シャルプラッテン」にクラウス・ペーター・フロール/ベルリン交響楽団と録音したベートーヴェンの「ピアノ協奏曲全集」(1988年~1991年録音)を聴き彼の底力を再認識した次第である。また昨年は「新日本フィル」10月定期にラドゥ・ルプー急病によるピンチヒッターとして登場、彼が弾くベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番の素晴らしさにも感動を覚えた。
 そして現在進行中の「ペーター・レーゼル、ベートーヴェンの真影」と銘打った「ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集録音」(すでにその一部はリリース済み)は注目される。この企画は2008年より「紀尾井ホール=キング・レコード」共同プロジェクトで紀尾井ホールでのコンサート・ライヴとセッション録音を組み合わせた方式でのレコーディングで彼の「ベートーヴェン・ソナタ」の真髄に迫ることがテーマらしい。今年2011年に全曲全てが完了とのことでますます彼への期待が高まるところである。

(1971年ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団来日公演プログラム表紙)

 


ヒュー・ウルフ/hr交響楽団の「ベートーヴェン交響曲第7番・第8番」

2011-01-11 19:51:56 | 交響曲

 本日紹介する写真のCDは筆者が今一番熱を上げている指揮者ヒュー・ウルフ(Hugh Wolff)/「hr交響楽団」によるベートーヴェンの交響曲第7番・第8番である。「hr交響楽団(旧フランクフルト放送交響楽団)につては過去にも紹介ずみなので詳細は詳細は省かせていただく。指揮者のヒュー・ウルフは1953年パリ生まれの米国籍のこれからのさらなる活躍が期待できる現在注目の指揮者で国内でも昨年は「新日本フィル」等に客演しファンも多い。このCD録音は彼がこの「hr交響楽団」の首席指揮者を務めていた2002年「第5番」・「第6番」の録音についで2005年、フランクフルトの「ヘッセン放送協会大ホール」で収録されたものである。
 CDジャケットに掲載された指揮者自身の解説によれば弦楽器配置を第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン各14をステージ左右の対向配置としヴィオラ10、チェロ8、コントラバス6の合計52名に木管、金管、打楽器群が加わり「ステレオ効果」をあげまた使用楽譜は「新ベーレンライター版」に基づいて弦のヴィヴラートを控えめにとどめたとのことである。確かにこの演奏を耳にすると違和感のない彼のエネルギッシュなナチュラルなベートーヴェンが楽しめる。またこの録音が行われた「ヘッセン放送局大ホール(hr-Sendesaal)」は以前この楽団の定期公演会場(現在はアルテ・オパー)に使用されていた音響良好のホールで筆者も1970年代にこの会場での演奏を生で接したこともある。(写真/hr-musik.de/hrmk-034-06)

RCA-Living Stereo LP コレクションから

2011-01-09 20:20:03 | 協奏曲

 米RCAの1950年代中期から1960年初期のステレオ録音LPには通称「Living Stereo」のロゴがレコードジャケットの上段に描かれていた。「Living Stereo」とは当時RCAが様々な思考錯誤の結果生まれた「2トラック」、「3トラック録音」による素晴らしい音質を誇った革命的ステレオ録音レコードの名称である。往年の名指揮者、ライナー、ミュンシュ、をはじめとした名録音が次々とリリースされ筆者も国内盤を結構買い求めた。因みに当時の国内盤はSLS、SHPから始まるレコード番号が付されていた。そのうちの何枚か以前にも紹介したかと思うが今回は特に気に入っている協奏曲のLPから1枚紹介したいと思う。
 写真のヤッシャ・ハイフェッツのヴァイオリン、シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団によるメンデルスゾーンの「ホ短調」とプロコフィエフの「第2番「ト短調」がカップリングされたLPは今さら言うまでもない名盤であるがどちらも「3トラック録音」によるもので1959年の録音である。(SLS2035)特にプロコフィエフの「ヴァイオリン協奏曲第2番」のレコードは当時国内盤では珍しく大変貴重なものだったと記憶している。快速テンポで突き進むハイフェッツの鋭角的な演奏がミュンシュの棒とうまく調和している。また昨年はこれらの「Living Stereo」時代の録音を集大成した「60枚組みCDセット」も限定発売されており不滅の名録音としてこれからもその輝きは失うことはないだろう。当時のLPジャケット・デザインもなかなか「イキ」である。



今年も続く「マーラー・イヤー」

2011-01-08 10:10:45 | 交響曲
 
昨年(2010年)はシューマン、ショパンの生誕200年、そしてマーラーの生誕150年と大音楽家の生誕記念の年となったが今年2011年はマーラー没後100年と「マーラー・イヤー」は続くことになる。筆者もこれを機にマーラーの作品群をじっくりと聴きなおしてみることにした。現在は「交響曲第6番イ短調」を中心に聴きこんでいる中、再認識させられた指揮者のひとりにフィンランドの名指揮者レイフ・セゲルスタム(Leif Segerstam/1944~ )がいる。彼はわが国でも「読売日響」等に客演しお馴染みだが彼は「デンマーク国立放送交響楽団」首席指揮者時代(1988年~1995年)に「シャンドス」にマーラー交響曲全曲をレコーディングしている。
 とりわけ写真の「第6番」の演奏は終楽章での「ハンマー」の打撃を現在では作曲者自身の最終決定に基づく2回が通常だが彼は珍しく初稿と同じ3回打ち鳴らしているところなど興味深いものがある。また彼自身も作曲活動をしているマルチな才能を持った指揮者でもあり彼の「懐が深い解釈」が今後も期待できる指揮者ではないかと思っている。近い将来に彼の「マーラー交響曲」再録音も期待したいところである。(写真/CHANDOS-CHAN8956~57)

ベートーヴェン弦楽四重奏団の「ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全集」

2011-01-05 00:49:29 | 室内楽曲

 今日は久しぶりにショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲を「ベートーヴェン弦楽四重奏団」による写真の全集CDからいくつか聴いてみた。筆者も何種類かの同全集盤を所持しているがこの「ベートーヴェン弦楽四重奏団」による演奏も好きである。ショスタコーヴィチ(1906~1975)は交響曲と同数の全15曲の弦楽四重奏曲を1938年から1974年にかけて作曲した。作曲者からの信頼も厚かった「ベートーヴェン弦楽四重奏団」の前身は1923年に第1ヴァイオリンのドミトリ・ツィガノフを中心として結成された「モスクワ音楽院四重奏団」である。後に伝説的名演となった「ベートーヴェン弦楽四重奏チクルス」を機に「ベートーヴェン弦楽四重奏団」と改称したロシアの名四重奏団でショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の大半を初演している。因みに「第3番」と「第5番」は彼らに献呈されている。
 この「ベートーヴェン弦楽四重奏団」による全集録音は1956年から1975年にかけて行われたもので演奏メンバーも第1期のオリジナル・メンバーでの録音は第8番まででそれ以降はメンバーも入れ替わっているが第1ヴァイオリンを務めたツィガノフは最後の「第15番」まで録音に参加している。音質は録音年代によりバラつきは多少感じられるが彼らの各作品へのアプローチはそれぞれに「凄み」が感じられさすがに作曲者の信頼が寄せられていたことがうなづける演奏である。(写真の「CD」全集は2008年に復刻された「ロシア・ヴェネチア盤/6CD」-CDVE04328)

「ウィーン・ホーフブルグ・オーケストラ」のジルヴェスター&ニューイヤー・コンサート

2011-01-03 20:31:36 | 想い出の演奏会
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 ウィーンのジルヴェスター&ニューイヤー・コンサートと言えば元旦に「楽友協会大ホール」から生中継される「ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート」が世界中で最も広く知れ渡っているが現地のウィーンではこれ以外にも多くのジルヴェスターやニューイヤー・コンサートが毎年開催されている。筆者も年末から年始にかけてウィーンを訪れる時はこれまでにも1987年のカラヤンが振ったウィーン・フイルのニューイヤー・コンサートをはじめとして数多くのジルヴェスター(大晦日)コンサートやニューイヤー・コンサートに足を運んだ。
 今日紹介したい「ウィーン・ホーフブルグ・オーケストラ(Wiener Hofburgorchester)」のジルヴェスター&ニューイヤー・コンサートも大変楽しめるコンサートのひとつである。写真上:1995年ー96年「ホーフブルグ・オーケストラ」ジルヴェスター&ニューイヤー・コンサート・プログラム)このオーケストラは日本ではあまりよく知られていなが1971年に誕生したウィーンの各主要楽団のメンバーが集まって編成された約60人前後の小編成オーケストラである。指揮を務めているのはこの楽団の創始者のひとりでもあるゲルト・ホーフバウアー(Gert Hofbauer)」で彼はこのコンサートではヨハン・シュトラウス、フランツ・レハール、エメーリヒ・カールマン等の不朽の「オペレッタ」の名作を中心としたプログラムを組んで聴衆を楽しませている。またこのコンサートに出演する名歌手たちとレコード録音も行っており写真下のLPレコードは筆者が当時ウィーンで求めた1枚で現在も愛聴している楽しいレコードである。
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「ウィーン・ホーフブルグ・オーケストラ=オペレッタ・コンサート/AUSTRO MECHANA-WHO1001/オーストリア盤1987年)