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ハンス・クナッパーツブッシュの貴重映像

2009-05-26 11:05:22 | 貴重映像
 筆者が生で聴きたかった指揮者の一人に巨匠ハンス・クナッパーツブッシュ(Hans Knappertsbusch/1888~1965)がいる。彼は言うまでもなくワーグナー指揮者として高い評価を受けなかでも1962年バイロイト音楽祭における「パルジファル」の演奏は不滅の超名盤として知られている。その彼が1962年/63年の「ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)」に出演した際の貴重映像が数年前にTDKレーベルから初リリースされ話題を呼んだ。コンサートをノーカットで収録したまさに貴重映像である。今日紹介する映像はこの年1962年に再開したアン・デア・ウィーン劇場の「祝賀記念」を兼ねての演奏会でもあった。
 プログラムはベートーヴェンの序曲「レオノーレ」第3番に始まり超豪華客演にピアノのウィルヘルム・バックハウスと天下のワーグナー歌いビルギット・ニルソンを迎えそれぞれベートーヴェン、ピアノ協奏曲第4番ト長調とワーグナー楽劇「トリスタンとイゾルデ」から「前奏曲と愛の死」が演奏された。今思えばまさに「夢の共演」であった。
 この映像を見るとクナッパーツブッシュは極端に遅いテンポで振っていることがわかる。最初の「レオノーレ」序曲も演奏時間約18分を要し演奏するウィーン・フィルもちょっと苦労したかと推測される。ピアノを弾くバックハウスはレコード録音や通常のコンサートでもテンポを割と早くとる人だったのでこの演奏会ではちょっと面食らったのではないか?どちらにしても聴く者にとっては大変興味深い演奏である。
 もちろん映像はモノクロ、音声はモノラルだが画質・音声とも良好でよくこのような状態で保存されていたことに感心させられる。また会場の聴衆の雰囲気も充分にとらえられた映像でライヴ・コンサートの味わいがたっぷりとと楽しめる80分である。