教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

060212天声人語の背景

2006-02-12 10:12:35 | 学習プログラム
天声人語(2006年2月12日)は重要。

トリノオリンピックの話ではなく、
こちらは数学オリンピックの話。

国ごとの平均的な数学力なら世界屈指の日本が、
数学五輪となると上位に届かない。

のだそうだ。

このことについて、
数学オリンピック財団事務長で
元高校教諭の渡辺義正さんはこう語る。

「日本の学校は英才教育をためらいますから。
飛び抜けた頭脳をさらに伸ばす場が」ないと。

ベルカーブ分布の中に才能を閉じこめ、
ピーキーな才能を無視するということだろう。

それにしても次の記述は重要だ。

「発想で解く米国
論理のドイツ
直感のイタリア…。
解き方には国柄がはっきり表れる。
教科書に即した
まじめで地道な解法が
日本勢の特徴だという。」

ここには

発想・論理・直感は存在への関心
教科書的解法依存は存在に無関心

という比較が隠されている。

日本の現状は
現存在どうしも無関心。
関心を持つことは恐怖。
安全志向とはそういうこと。
恐怖は不安を隠す。
だから存在へは全く無関心。

現存在と存在の差異。
もはや難しいとは言っていられない。

ハイデガーは
現存在と存在の差異を見出し
存在への関心を開いた。

しかし「存在と時間」は未完。

扉は開かれたまま。
私たちと未来の大人である子どもたちが
扉の向こうの世界を創造しなくてはなるまい。

ハイデガーは存在の関心を
閉じ込める宗教や理念を批判した。
しかしそこで留まったがゆえに、
彼自身が見出した現存在と存在の違いを
逆転させた。
批判で終わったために。

現存在と存在は存在のこちら側の世界では
イコールになったのだ。

世界の向こう側へ行くには
アインシュタインの相対性理論が必要だ。

ハイデガーを断罪し、かつ思考するには
そのことに気付かせてくれた
アンネ・フランクの「日記」が必要だ。

21世紀のテクストは
「存在と時間」
「相対性理論」
「アンネの日記」

である。

そして
言語と数学とITと芸術と世界史が。

教科の再編を望む。


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