思想地図vol.4 特集・想像力 (NHKブックス別巻)日本放送出版協会このアイテムの詳細を見る |
☆想像力や構想力の時代。もともとこの力は必要だったのだが、一部のアーティストだけの力だと思われてきたし、今でもそうだが、この力は天分以外に育てようがないということだった。
☆しかし、すべての市民が想像力を生かして生きていくそんな時代がやってきたのだろう。そんなことを確認するには適切な本ではないだろうか。
☆中でも、村上隆さんの対談はおもしろい。理屈なしの迫力というものが想像力であることがともかく説得力がある。
☆さらに、いや一番おもしろかったのが、宮台真司さんと東浩紀さんの子育て対談。
☆子育てを通して世界を見る目が変わったという話なのだが、どうも「通して」ではなく「そのものの中」に大事なことがあるという話になっていて、いい感じだ。
☆ルソーやピアジェなんかもでてきて、彼らの言っていることがわかったという素朴な感想もいいなあ。
☆この感性は、私学人の二人の特性が表れているところでもある。私学人とは私立学校出身ということではない。もちろん宮台真司さんは麻布出身だし、東さんは筑駒出身で、国立だけど最も私学に近い国立で。両人は履歴的意味でも私学人なんだけど、そうではなくて、官僚と公を区別し、私の感性と知性を、公の中で使い、官僚としての恣意性と闘う人が私学人だと思っている。もちろん私の中で、公の感性と知性を使える人間でもあり、それが恣意的にならない倫理性をも形成しているという人でもある。「も」が多かったか・・・。
☆ともあれ、この両人の対談は子育てが、子どもを私の中で育てながらも公のネットワークを持続する人間成長サポートでもあることに気づかされる最良の社会システム論である。少々大げさになってしまったかな・・・。