教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

学校選択の補助線(2)

2006-01-29 08:44:12 | 学校選択
前回の「学校選択の補助線」で

学校選択の補助線が
選択の視角を明確に
するというようなこと
を述べた。

その補助線とは、
要するに
一方は

大学実績を出すことや
教育空間をデザインすることなどは
当然で、努力しつづける。しかし
それは結果として「必然」であって、
それらも含め生徒の人間としての成長の
問題を解く教育を実践している
クリエイティブ・スクールであることが重要。

他方は

授業や教育は従来のままで何も問題
ではない。とにかく大学進学実績を
出すことが第一であるという学校。
あるいは伝統的な授業や教育で十分で
大学進学実績はその結果として
あるときは出るがあるときはそうでは
ないという学校。

これら両者の間に補助線を引くと、
それが学校選択の視角になる。

少しだけ具合的にみてみよう。
ホンマノオト」で
2月3日入試の東京の私立中高一貫校の倍率
ランキングを表にしてみた。

この表に並んでいる学校から
たとえばクリエイティブスクールに
はいる学校はどういう学校だろう。

男子校では聖学院
女子では女子聖学院・東京純心
共学校では共栄学園
などがそうであろう。

その説明としてはたとえば、以下のサイトが参照になる。
「聖学院」→「教研コラム
「女子聖学院」→「教研コラム
「東京純心」→「君のアインシュタインものがたり
「共栄学園」→「教研コラム

サイトを読むと
クリエイティブ・スクールのイメージ
クリエイティブ・スクールとしての活動
などが了解できると思う。

学校選択の補助線

2006-01-28 05:20:00 | 学校選択
本郷
聖光学院
鴎友学園女子
洗足
共立女子
八雲
明大明治

先生方のお話を説明会や
インタビューの場面で
聞いて
ふと気づいたことがある。

これらの学校の先生方の
話には共通点がある。

それは

大学進学実績や校舎をかっこに
いれたら、自分たちの学校には
何が残るか。

それは授業。創造的な授業。

ということになる。

このような見解に対し、
教育の中味や質は大事だけれど
まずは大学進学実績なんだよね
という学校の先生方もいる。

同じようなことを言っているようで
違う。

この両者の間に補助線を引いてみよう。

学校選択の視角が見えてくる。

教師が創る学びの時空

2006-01-27 08:58:14 | 教師
明大明治の松田孝志先生に
久しぶりにお会いした。

自分の頭の中が
倍率速報で
いっぱいになっている
このときに、

松田先生の教師と生徒が
創る学びの時空を
お聞きして

幸せな瞬間にワープできた。
語りがリフレッシュを生み出す。
心から感謝。

中学受験生にとっては
入試に突入し
緊張の毎日であるが、

それに並行して
中高生は、いつもの学園生活を
送っている。

そしてそこで
人生の壁にぶちあたり
生まれ出ずる悩みと
格闘している。

この闘っている彼らと
松田先生は
異次元の学びの時空を
創る。

創造的で双方向的で
受容的で自律的な
対話の空間がそれだ。

生徒をただ受け入れるだけではない
生徒が自ら律しなければならない
ときはそれに気づくのを待つ。
にっこり笑い続けているのではない。
にやっと互いに笑う目と表情を
交わせる瞬間を待つ。

この瞬間を待つときの時空の広がりは
ものすごい。

物理的な空間はとても静かだし
対話の距離もつかず離れず。

しかし、感覚と中枢神経のインパルスと
前頭連合野のストリングスは
モーツァルト状態である。

つまりE=mc²状態である。

爆発的な身体神経エネルギーの流れが
響き合っているのだ。

この身体神経エネルギーが
生み出す時空こそが
本来の学びの時空であり、

松田先生の居場所論の
ベースなのであろう。

松田先生の思想は
多くの著書になっている。

たとえば、東京大学出版会から出されている
「子どもの成長 教師の成長」の中の論文は
手に入りやすい。

その他先生たちが作っている「CAL」という
サイトも参考になると思う。






手がかりとしてのスーザン・ソンタグ

2006-01-26 09:32:02 | パラダイム
スーザン・ソンタグは
1960年代から大活躍。
2004年その生涯を
閉じた。

歴史的事実として
今さら彼女の考え方を
参考にするのは古い
という人たちもいるだろう。

そういう人たちは
普遍ということ
を信じない1つの
パラダイムに生きている。

彼らにとって様式が
普遍などということは
ない。常に個別具体的。

アメリカのアイデンティティは
普遍を求めるのだが、
個人の自由と常にぶつかる。

様式と内容は二元論にならざるを
得ない。

様式はそれぞれ個性があってよい。
内容は同じ物かもしれないがと。

しかし、内容が抽象的になっていくとき
結局は様式多神論。

アメリカのアイデンティティは崩壊する。
それがアイデンティティだといえば
それまでだが。

日本とアメリカの不可解な関係は
実は経済の問題だけではなく、
活躍している両国の
人間同士のパラダイムが似ているのかもしれない。

もちろんそれは表層的様式で
違う様式もある。

うん?

やはりこの様式と内容の問題
内容と反解釈の問題は、
根深い何かがある。

藤原正彦さんの教科書論

2006-01-25 08:44:19 | 
藤原正彦さんの
「祖国とは国語」新潮文庫

の中には過激な題目の
エッセイがある。

それは「犯罪的な教科書」。

これ自体は2001年に文芸春秋に掲載されたもの。

当時は学力低下論がまっさかり。

台形が教科書から消える。
円周率が3.14から3になる。
学習内容や時間が3割削減、大変だァ。

という時代。

そんなとき藤原さんは
台形を教えないと、三角形の
おもしろさが伝わらない。
教科書は知的におもしろくないとと語った。

また半径1の円の面積が、円周率が3だと
1辺が1の正六角形の面積と同じになると
半径1の円に内接する正六角形を
重ね合わせて見せた。
一目瞭然円周率3では
真理を汚すことになる。

その後、単純に計算力が落ちるから
学力が低下するというような論法では
なく、

藤原さんのような美しい真偽論で
応戦するエッセイなどがでた
――栄光学園の先生も逆手にとって
藤原さんのような論理に気づかせる
発想をもっていた――が、
どうも広がらなかった。

しかしその理由は少しわかった。

藤原さんの「祖国とは国語」の
中の次の3つのエッセイを串刺しして
読まねば本当のところは伝わらないのだ。

「国語教育絶対論」
「英語第二公用語論に」
「犯罪的な教科書」

さて串刺しして読み取れる
真意とは何か。

あまりに根源的な淵に
降りていくことなので
ここではとても語ることは
できない。

文庫版「祖国とは国語」

2006-01-24 08:11:18 | 
藤原正彦さんの著作
「祖国とは国語」が
新潮文庫版として
出版された。

解説があの
斎藤孝さん。

「ああ、この人に、
文部科学大臣になってもらいたい」
から始まる解説である。

斎藤さんは、日本の政治のだめなところは
大臣の弱さにあると思っているらしい。

だから、「数学者にして、
華麗なる文章家。学問、文化、科学を
愛すること、並ぶものなし。そして
何よりも、この日本をよりよくしていこうと
いう強い志にあふれている・・・」
藤原さんに文部科学大臣を
ということらしい。

政治の弱さの矛先を、大臣に向けるのは
斎藤さんにしては????だ。

まあレトリックだろう。

さて、本書の最初のエッセイは
「国語教育絶対論」

どんなにすばらしい論も
絶対ということばを使うのは
危ない。

藤原さんの
日本の危機論は
めずらしく生彩を欠く。
一般論だから。

それに
祖国とは国語というのは
ヨーロッパの人が語るのとは
少し文脈が違う。

その文脈のズレを無視すると
日本孤立論になる。

欧米の祖国とは国語というのは
背景に世界戦略があるからだ。

日本の場合は、
そんなものはない。
あまりに純粋。

日本は祖国を
過去に見出すのではなく
未来に創る以外に
道はない。

そういう意味でなら
「国語は論理的な力を育てる」
という藤原さんの指摘されるところ
だけは重要である。

論理的に
「祖国」とは何か。
「国語」とは何か。
について

大臣が考えるのではなく
日本人1人ひとりが
構想するのである。

スーザン・ソンタグの反解釈の意味

2006-01-22 17:43:39 | 学習プログラム
スーザン・ソンタグの
反解釈“Against Interpretation
の意味。

反解釈の意味そのものが解釈
になるから、このような問いは
難しい。

ともかく
解釈は道徳の顔をするのだ。

だから解釈ではなく
創造。

Interpretation”から“Creation”へ

ソンタグは

「映画が解釈家たちの横行に
汚されていないという」
のは事実だと言っている。

「小説と違って、映画はいわば外形の語彙
とでも称すべきものをもっている。たとえば
カメラ・ワークとか、編集とか、画面の取り方など
の技巧は複雑であっても明白であり、議論を拒否する
神秘めいたものではないのだ」
というのが理由のようだ。

ハリウッド映画は

レトリック技術=表現=内容

ということが複雑だが明白なのだ。

ところが小説は

レトリックという戦略は表現の中に隠れ
明白ではない。そして表現と内容は
あまりに行間が壁になって、分断される。
強烈な表現だけが目に見え、
レトリック技術のワザや
内容は予想し、汲み取らねば理解でき
ないかのような神秘的な雰囲気になる。
この汲み取る作業が解釈だ。

大事なことは、
①レトリック技術
②表現
③内容
をどのように構築するかという
創造なのだ。

創造されたものを解釈するのではなく
創造、創造、創造!!!!!

今までの教育は解釈だし
最悪なのは、解釈が一通りに
画一化すること。

これからの教育は

解釈から創造である。


報道2001が私学の精神を語る?

2006-01-22 09:17:17 | パラダイム
報道2001(フジ)」(06/01/21)では
今回のライブドア・ショックをきっかけに

ヒルズ族に対し批判的に挑発する演出。

ゲストは、

加藤紘一自民党元幹事長
伊藤達也前金融担当相
エシックス・マネジメント代表の平田雅彦氏
安田育生ピナクル会長
堀主知ロバートサイバード会長

当然この中で堀さんが矢面に立つ。

しかしながら
堀江さんとは違う。
ITベンチャーは
すべてがライブドアでは
ないという落ち着き方。

番組の流れはそういう
当たり前の世界だから
それでよいが、

おもしろかったのは

平田さんの著作
「企業倫理とは何か 石田梅岩に学ぶCSRの精神」
PHP新書

が紹介され、

アダムスミスよりも前に
国富論と倫理を説いた
商人道が日本にはあった。

いまこそ企業は倫理だモラルだ
と言う話になった点だ。

加藤さんは
そうだそうだ、
堀江は認めない
政治は善だが経済は悪だ
みたいなトーンで語っていて
政治も倫理だよという方向には
いかなかったのは
???だった。

なぜなら
健全な市場を守るのは
政治の役目です。
健全な資本主義を監督するのは
政治の役目です。
それなのにこの無責任さは
政治の社会的責任はどうなっているのだろう。

しかし本題はそこではない。

CSRの話になったときに

平田さんから渋沢栄一
堀さんから新渡戸稲造
の話がでたことだ。

渋沢栄一は「論語と算盤」で
新渡戸稲造は「武士道」で

今でも生き続けている「倫理観」を
強く主張している。

ただし、これは国や政府が
上から押し付ける「道徳」では
ない。

日本が開国し
理想的な近代路線を歩む
源流である「自由・平等・博愛」
が保てる「倫理」なのである。
官僚的で軍事的近代化路線を
推し進める国家的道徳とは
全く違うのである。

ここにも私立学校のミッションが
見え隠れする。

前回
内村鑑三の意味
で述べた同じテーマがここにも横たわっている。






内村鑑三の意味

2006-01-22 01:55:50 | パラダイム
ホンマノオト≪未来を創る学校2005≫を振り返る
で、軽井沢と縁のある私立中高一貫校
を紹介してきたが、

その中で特に、なぜか
内村鑑三のことが気になって仕方がない。

何気なくネットサーフィンしていたら
大変重要な記述を発見した。

それは
1999年に
鳥取県立米子東高等学校
創立百周年記念事業で
大江健三郎さんが講演したときの
講演要旨」の中にあった。

大江さんは、次のように語っている。

「1953年,18歳浪人の頃,金がない中,
岩波の『図書』を毎月買っていたが,
それに載っていた丸山真男の論文
『内村鑑三と非戦の論理』に衝撃を受けた。
『明治維新の思想は,自由・平和・民権を願っていたが,
明治20年代の終わりから30年代の日清・日露戦争で
国家主義・帝国主義に変わったことは,
日本の思想の歴史の中で最も劇的であった。
多くの人が転向したが,内村鑑三は帝国主義に反対し,
抵抗し続けた。戦争に負けたことで
非戦論者になる人はたくさんいるが,
戦勝によって悲憤像慨したのは珍しい。
彼は弾圧され,批判もされたが,第2次世界大戦に負け,
帝国主義の行き着く所を知った今からすれば,
誰が正しいかはよく分っている。
しかし当時内村は一人で反対したのだ』というものだった。
自分はこれに感動し,暗記して,丸山氏の前で披露したことがある。
内村の話は明治34年,東高創立の2年後であり,
その頃の日本は国家主義か平和主義かという論争をし,
国家主義に行こうとした時代だった。
98年たって,今も同じではないのか。
平和憲法,民主主義と言っているが,自衛隊があり,
米国の戦略に協力しないといけない。
民主主義や平和は空想で,個より国が大事という人が強い。
だが次の百年を考えてほしい。今までの百年を考えて,
憲法,民主主義を了ることは正しいはずだ。
きちんと教育を受けて, 少数でも反対する人間が
いることには意味がある。現実を無視するなとは言わない。
だが,多くの人の強い意見,少数だったが正しかった人,
過去に起こったこと,起こらなかったが大切だったことに,
歴史に学ばなければならない。
 18歳の私の心に刻んだ文章を書いた人がいて,
そう生きたいと思うことは大切だった。
それがずっと自分を動かしている。
それは,自分の中で生き続けている。」

この一節は、
明治期に生まれた近代化は官僚的で軍事的な近代化路線
だけではなく、もうひとつの内村鑑三が思い描いていた
近代化路線というものもあったということを証明している。

そしてその内村鑑三のもう1つの近代化路線の精神に
高校時代の大江さんは心を揺さぶられ今もそれが生きている。

鴎友学園女子はこの内村鑑三の精神を今も継承している。
そして大江さんと同じように、その精神に揺さぶられ
感動し、それを原点に生きていく生徒たちが輩出されている。

大江さんのこの一節の中には
私立中高一貫校の使命が
鮮やかに描かれていると
読むことが可能なのだ。



東京中学入試募集開始(女子校)

2006-01-21 07:51:13 | 学校選択
06/01/20
東京の私立中学校入試の募集開始。

女子校の
学校選択傾向を見てみよう。

○2月1日入試に限定
○午前か午後かは問わない
○倍率の多い順位に並べる
○データは「日能研 倍率速報」を活用

【女子校】Pは午後入試をさしている

1★ 八雲学園 1回特別 2/1P  9.1
2★ 中村 1回特待後 2/1P  7.0
3★ 共立女子第二 1回PM 2/1P  4.3
4 トキワ松学園 A午後 2/1P  4.0
5 実践女子学園 1回 2月1日  3.3
6★ 雙葉 2月1日  3.3
7★ 香蘭女学校 2月1日  3.2
8★ 吉祥女子 1回 2月1日  3.1
9★ 女子学院 2月1日  3.0
10 麹町学園女子 1回午後 2/1P  3.0
11★ 昭和女子大昭和 1回 2月1日  2.9
12★ 東洋英和女学院 A日程 2月1日  2.8
13★ 東京女子学園 1回午後 2/1P  2.6
14★ 江戸川女子 1回 2月1日  2.5
15★ 田園調布学園 1回 2月1日  2.4
16 東京家政学院 1回午後 2/1P  2.4
17★ 共立女子 A 2月1日  2.3
18★ 桜蔭 2月1日  2.3
19★ 頌栄女子学院 1回 2月1日  2.3
20★ 恵泉女学園 1回 2月1日  2.2
21★ 東京純心女子 1次 2月1日  2.2
22★ 品川女子学院 1回 2月1日  2.2
23★ 東京女学館 1回 2月1日  2.1
24★ 普連土学園 1次 2月1日  2.1
25★ 女子聖学院 1回 2月1日  2.0

★印は、「ホンマノオト」で論じている学校。
ホンマノオトでは
○≪未来を作る学校≫や
○クオリティー・スクール
○エクセレント・スクール
を探している。