教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

環境のグローバル商品化

2008-06-30 07:08:16 | グローバリゼーション
ヤフー、グーグル…企画や専門サイト サミット前に環境発信続々(産経新聞) - goo ニュースによると、

主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)を控え、インターネットのポータル(玄関)サイト大手が、環境関連情報の発信を相次いで強化している。サミットで環境が主要議題となることを受け、国民の関心の高まっていることに着目した取り組み。サイト閲覧者の新規獲得や定着を狙うほか、社会貢献を通じたイメージアップが広告獲得にも結びついている。

☆環境も商品化、物象化、物神化されていく流れが定着か。経済ネットワークの中に入ることによって、環境の持続可能性は保証される。ただし、市場の原理のリスクは格差だ。このリスクをヘッジするためには、教育が重要であるのは言うまでもない。

NY原油1バレル142.26ドルを付け最高値を更新

2008-06-29 08:57:53 | 文化・芸術
☆「NY原油、最高値更新 一時142ドル台(日経 2008/06/29 08:15)」によると、

【ニューヨーク=米州総局】27日午前のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の8月物が早朝の時間外取引で一時、1バレル142.26ドルを付け最高値を更新した。外国為替市場でドル安基調が続いていることや、アジアの株式相場が軒並み下落したことで投資資金が原油など商品市場に向かうとの思惑が材料となっている。

☆この投機心の動向が、原油高に大きな影響を与えている。70年代の石油ショックのときとは様相が違うようだ。

☆そんな折、洞爺湖サミットに向けていろいろな動きが見られるが、二酸化炭素の地価貯留(CCS)という新技術が話題になっている。温暖化ガス削減のイノベーションへの期待は大きい。同紙には、その新技術のリストが載せられている。

①CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)
②革新的太陽光発電
③先進的原子力発電
④燃料電池自動車
⑤電気自動車
⑥次世代高効果率照明
⑦省エネ住宅・ビル
⑧定置用燃料電池
⑨省エネ型情報機器・システム
⑩革新的製鉄プロセス

☆しかし、いずれも結局投機対象である。結局円高とインフレ吸収の過程であるということである。なぜそうするのか?世界のそれぞれの権力地図の均衡を保つためである。世界の国家は政治でしか動いていない。国家という対象が市場の原理で勝負が決まるということはないのだろうか。

☆OECDの動きなどは、本当のところは、何が目的だろう。PISAも教育という閉じられた枠内で論じていると、とんでもないベクトルにその高い質が活用されているということになりかねないなぁ。私自身注意をしなきゃ^^;



<社会科テスト>の結果の意味するコト

2008-06-29 07:09:42 | 文化・芸術
☆「<社会科テスト>小6の6割 福井と徳島の位置分からず--教育政策研調査(6月28日10時1分配信 毎日新聞)」によると、

文部科学省国立教育政策研究所は27日、小学6年と中学3年を対象にした社会科テスト(特定課題調査)の結果を公表した。歴史上の人物と業績を結びつける問題(小6)では、ザビエルや雪舟は正答率が高い一方、伊藤博文や勝海舟は低いという意外な「認知度ランキング」が判明。小6で全47都道府県の位置を正しく答えた児童は12・7%だった。

☆「意外な」というが、そうだろうか。案外児童は直感的に、自分のロールモデルになるかならないかで歴史を学んでいるのかもしれない。つまり歴史の存在理由について教育がうまくいっていないというコトが本位で、覚え方の問題は副次的だろう。

都道府県名から地図上の位置を選ぶ問題(小6)では、47都道府県の平均正答率が54・7%。福井と徳島の39・9%が最低だった。鳥取を島根の位置(誤答率18・7%)としたり、秋田を岩手の位置(16・6%)とするなど、隣接県と間違えるケースが目立った。

☆明治政府以降の日本の官僚近代化路線、中央集権化路線が成功したというコトだろう。日本という国や社会をどう形作っていくか。相変わらず市民社会的発想を抜きでやるならば、この結果は変わらない。一時的に無理やり覚えさせても、長続きしない。

複数の資料から課題を見つけてまとめる力は、発表・討論などを含む「問題解決型」の授業を実施している学校ほど高い傾向が見られた。同研究所は「問題解決的な学習の経験を継続的に積ませることが重要」と指摘している。

☆これは当然だ。そしてこれが総合学習のミッションだったのではないだろうか。脱ゆとりではこのような学びを重視しているが、全体のトーンは詰め込み主義に逆戻り。絵にかいた餅で、結局このような考える方向とは真逆になる可能性がある。

☆知識活用重視というのは、活用の仕方も知識としてパッケージ化できるからである。知識そのものを発見し、知識そのものを再構築する学びから始めなければ、知識の活用の意味をなさない。授業時間量の問題ではなく、授業そのものの方法を大転換させなければ考える力はつかない。いくら言っても、なぜか行政側は理解しようとしないが・・・。




イヤな奴撲滅の方法論

2008-06-28 13:42:31 | 
あなたの職場のイヤな奴
サットン,I.R.
講談社

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☆久々の痛快丸かじり本。経営組織論なんだが、聖書もこの本の視点で読めば、よくよくわかるなぁ。

☆原題は“The No Asshole Rule”。クソッタレ撲滅ルールってやつ。これをスタンフォード大学の教授が書いてしまうんだから、西の文化そのものである。東の文化を代表するハーバードならどうなんだろうか。ところがところが評価が高いんだよね。

☆世界中で、いじめ、パワハラ、セクハラ、虐待、物理的暴力、言葉の暴力・・・、山ほどあるということだろう。

☆サットン教授は、クソッタレはあまりに多くのタイプがあるだろうが、「彼らが人の神経を逆なでし、職場の品位を落とし、同僚や上司や部下にダメージをあたえること」はいっしょだと言っている。「ときには、その被害がクライアントや顧客にまでおよぶ場合もある」と。

☆クソッタレ1人いるだけで、1,600万円の損失なり!!とも言われている。そりゃクソッタレ撲滅ルールは必要だろう。

☆しかしだ。アップル社のCEOのスティーブ・ジョブスのように、クソッタレを超えるほどの強い意志と想像力を持ち得た―つまり天は二物を与えてしまったのだが―逸材もいる。いや逸材はきっとみなそうしたものなのかもしれない。

☆ともあれ、本書はまったく偏向主義ではない。結局自分の中にいるクソッタレを見出し、そうなるのをやめようということなのだから、悔い改めよ!ということなのだ。

東京、福岡、京都は世界で暮らしやすい都市

2008-06-25 08:26:21 | 文化・芸術
☆暮らしやすさ世界3位に東京 福岡、京都もランク入り(産経 2008.6.24 09:30)によると、

英情報誌「MONOCLE(モノクル)」は「世界で最も暮らしやすい都市」として上位25都市を発表、日本からは東京が3位、福岡が17位、京都が20位に入った。

テーマ別のランキングでは、「ショッピング」で「顧客のセンスのレベルが高く、食文化の質も高い。山や海に近く自然が豊か」などとして福岡が1位に選ばれた。


☆住宅や教育事情、映画館の数など独自の指標でランキングしたようだ。ちなみに総合ランキング10位までは、以下のようになったそうだ。

1位はコペンハーゲン(デンマーク)
2位はミュンヘン(ドイツ)
3位は東京(日本)
4位チューリヒ(スイス)
5位ヘルシンキ(フィンランド)
6位ウィーン(オーストリア)
7位ストックホルム(スウェーデン)
8位バンクーバー(カナダ)
9位メルボルン(オーストラリア)
10位パリ(フランス)

☆どこか牧歌的で、ハテナ・・・?という感じはするが。


高校生が携帯ゲーム機で犯罪予告。何が問題なのか。

2008-06-25 06:44:38 | 文化・芸術
携帯ゲーム機から「殺人予告」=男子高生を書類送検-警視庁(時事通信) - goo ニュースによると、


携帯用ゲーム機の無線通信機能を使い、他人の無線LANに無断で接続し、インターネットの掲示板に都内の学校に対する「殺人予告」を書き込んだとして、警視庁捜査1課と荒川署は24日、威力業務妨害の疑いで、長野県松本市、男子高校生(16)を書類送検した。

☆男子高校生は、開成中に何の恨みもなく、世間の反応を楽しんだだけだということのようだ。これが犯罪になるという認識がなかったというのか。

☆道徳も大事だが、基本的な法概念を学ぶ必要があるかもしれない。そして、自分が誰をロールモデルにすべきか、自己成長のプロットタイプを、今回の秋葉原事件関連のKや死刑が執行されたMやそのほかS、Tなどに設定しないような議論の時間が必要か。

☆「尊敬」し合うことの重要性を説くだけではなく、具体的にデビル・ロールモデルではなく、クオリティ・ロールモデルについて話し合うチャンスがポイント。

☆学校はサブ規律だけを押し付ける場ではない。互いに自分の成長について、社会の弱みをどのように変えることが正当性・妥当性・信頼性があるのかなどについて、ディスカッションする場でもあるはず。基礎学力だけに偏ると、とんでもないことが起こる。新学習指導要領では、縮小された総合学習の時間をディスカッションの時間にするのもよいのでは。


中村俊輔選手の「察知力」はリーダー必見の書。

2008-06-23 11:43:01 | 
察知力 (幻冬舎新書 な 4-1)
中村 俊輔
幻冬舎

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☆中村俊輔選手は、KYを「空気が読める」と読み替えたいと。ゲームの展開の中でプレイヤーは細かいことに気づかなければならないそうだ。ゲームに出ていなくても、ゲームの展開を観察し、何手も先を読みながら考えながら参加しなくてはならないそうだ。

☆そしてゲーム終了後、その気づきを「サッカーノート」に「書く」。この作業が「察知力」を鍛えるし、スキルを鍛えるし、チームプレイの質を高めるというのだ。

☆中村俊輔選手は、ハワード・ガードナーの5つの精神、「熟練」「統合」「創造」「尊敬」「倫理」を鍛えてきたということもいえる。ガードナーが本書を読んだら、我が意を得たりとばかり、私の実践の書であると推奨するに違いない。俊輔選手自身、将来は「監督」になりたいと、そのための修行の書でもある。

当然ながらエネルギー会社飛躍・・・。

2008-06-23 08:11:19 | 文化・芸術
☆「世界の企業時価総額、エネルギー上位占める 米金融・IT後退」(日本経済新聞2008年6月23日)よると、

原油など資源価格の高騰で、株式時価総額でみた世界の企業の主役交代が鮮明になっている。上位3位までをエネルギー会社が独占した一方で、米金融機関や先進国のIT(情報技術)企業は後退した。昨年末と比べブラジル、ロシアなど資源の豊富な新興国企業の順位上昇が目立つ。日本勢ではトヨタ自動車の21位が最高で、100位内は4社のみ。・・・原油・天然ガス高で未曽有の利益を計上したエネルギー会社が上位10社のうち5社を占めた。

☆化石燃料の企業の時価総額が躍進しているのは、これだけ多くのものの商品の値段の高騰から考えれば当然であるが、これが長く続くかどうかはわからない。

☆低炭素社会に向かっているからというわけではない。エネルギー会社だって、膨大な資産蓄積で、転換を図るだろうからだ。

☆むしろ、商品やサービスの高騰がもう少し進み、最終的にはインフレを吸収するからだ。資本の覇者は、時勢によって変わるが、本質的経済の基本構造は変わらない。何を変えねばならないか。

☆劇場経済の中での覇権の興亡なのか、劇場そのもののシステム変更なのか、それが問題だ。

不可能性の時代の終わり

2008-06-23 04:42:17 | 
不可能性の時代 (岩波新書 新赤版 (1122))
大沢 真幸
岩波書店

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☆日経の書評ページ(2008年6月22日)で、東浩紀さんが書評を掲載していた。大澤真幸さんの戦後の時代区分と東さんの区分は、表現こそ違うが、共振している。

☆ただ、大澤さんは団塊・断層の世代、東さんは新人類の次の世代。分析対象である社会現象の受けとめ方が違う。同じ問題意識の表現でも、とっつきやすさは読み手のジェネレーション層によって違うかもしれない。

☆両者の地平は、しかし、ホッブスあるいはルソーの人間の在り方の現代版であると言ったら、お叱りを受けるだろうか。神との契約→社会契約→個人間の契約へのシフトは、大きな物語→物語の終焉→データベース人間=動物化に対応するし、理想の時代→虚構の時代→不可能性の時代のシフトも対応する。

☆東さんの動物化の影の部分を解決する仕方は、結局共感というルソー的共和制へ、大澤さんの解決への希望は、中村哲さんのようなペシャワール会の実践に象徴されている。つまり社会的起業活動。それぞれの小さなネットワークがインターネットの中で起こるように、グローバルなネットワークにもなるというフラット論。

☆もちろん、そこには常に法の問題がある。法律の問題の前に。動物化されたポストモダンの影の部分の解決は、その影の部分を増幅できるツールによって解決されるしかない。このパラドックスを解決するには、ショートを防ぐ法の問題が横たわる。

☆しかしそれが法律問題になるや、パラドックスの解決策は不完全性定理によって、迷宮入りしてしまうのだ。

ジャパネットたかたの幸せのイメージを伝える力

2008-06-20 12:05:13 | 文化・芸術
梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」 【12】ジャパネットたかたの本当のすごさ(NBオンライン 2008年6月20日)によると

☆高田社長のすごさは、幸せのイメージを伝える力だそうだ。たとえば、

「大型液晶テレビ。画面が大きいんです。画面が大きいと、家族みんなで見られるんです。皆さん! これまで小さなテレビを別々の部屋で見ていませんでしたか? この大画面液晶テレビ! 大きいですから居間に置きますね。くっきりはっきり大型、大画面液晶(高田社長はあえて同じ言葉を何度も繰り返すのが特徴)。家族みんなで見たいですね。お父さんも、お母さんも、お子さんたちも、おじいちゃんも、おばあちゃんも。どうです。家族が一つになって、1つの液晶大画面を見る。昔みたいな家族だんらんが戻ってくるんです」

☆機能でも、性能でも、独自性でもない。みんないっしょになれるよ、幸せになれるよというソフトだけれど、結論だけ伝えている。

☆たしかにすごい。良く売れるんだろうなぁ。この幻想をみな買うんだな。たしかに、物質化した商品を買うんだが、たぶんイリュージョンとファンタジーを買うんだなぁ。実際には1人暮らしの人が買ったりするんだろうから。

☆ここにビジネスの本質がある。夢や幸せというはかない幻の投影こそ商売の極意である。桜の花の美しさそのものというわけだ。