教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

金融教育が従来の教育を破る

2006-01-01 17:33:02 | 学びの時空
未来を創る学習」セミナーの中で
東京私立中学校・高等学校協会副会長の實吉幹夫先生
(東京女子学園の理事長・校長)は
実に重要なことを述べた。

だが、それは先生自身が蛇足だけど
と語られたので、講演録の編集段階で
削除されている。サイト内の編集は
セミナーの方針に従ったもので、
信頼性と妥当性のあるものである。

ただ、私はその削除されたところに
興味がある。

それは實吉先生が人間力の方程式を
語ったときだ。

その方程式とは

人間力=「考える×意欲×経験×才能」

この方程式を説明するとき
實吉先生はなぜ足し算ではなく
掛け算なのかという
話をした。

学力というものは、2+2+・・・という関係ではないんだな、
2×2×・・・という2のn乗という関係なんですね。単純な
2を累乗していくと膨大になるでしょう。潜在的才能が炸裂
するというイメージを表現する方程式とは掛け算。余計な話
だったね。これは蛇足ということで」
というような趣旨だったと思う。

これはすごい重要だ。
学力というのは、普通平均点とか偏差値とか
でイメージされる。だからランキングや点数分布は
正規分布、ガウス分布、ベルカーブという表現になる。

ところがこれでは常に相対的に才能に
限界の枠組みを当てはめることになる。

ところが自然界の数は、ベルカーブのような
分布をするものばかりではない。

ケイオス、フラクタルというどんどん増えていく
自己増殖する数の分布がある。これを「べき数」
というその分布は「ベキ分布」。

従来の学びの場は、ベルカーブの中にあった。
しかし今後の学びの時空はベキ分布なのだ。
つまり虚時空への第一歩。ただしこの「ベキ分布」
は非対称性。
だから、故障に強く、アタックに対しては弱い。
したがって、コミュニケーション能力が大事なのだ。
平和が大事なのだ。

このことを實吉先生は語っていたのだ。
保護者対象のセミナーなので、難しい話に
なるだろうと配慮したため、そこは蛇足として
過ぎ去ったのであろう。

ともかく大学合格実績は偏差値というベルカーブだが、
創造的才能のクオリティはベキ分布でという話なのだ。

このことに気付く教育は、なんと「金融教育」。
株価や為替の動きは「ベキ分布」だから。

「金融教育」は従来の教育を吹き飛ばす
力強いアイテム。

今や「経済」「金融」は21世紀思想として結実
しようとしている。

たんなる老後の対策や金儲けの思想ではない。

ベキ分布は、インターネットという新たなネットワーク
の発想から世間に広く知れ渡るようになったのだが、

まだ「スモールワールド」的ネットワークが多い。
Googleのような幾つかの検索エンジンは「スケールフリー性」
を持っている。

この点に関しては浅野浩一氏のネットワークについての
説明がわかりやすい。

もう少し詳しく、文系的な発想でという方は
ホンマノオト「これからの教材」ネットワークを考える
を参考にして欲しい。飯田耕平氏の論考だ。

浅野氏も飯田氏も共通の参考文献は
「新ネットワーク思考」(2002年 NHK出版) 
アルバート=ラズロ・バラバシ著。

こちらを読むのもよいだろう。ただし、かなり分厚い。

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