教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

橋下知事に、耳塚教授エール?

2008-10-28 06:51:40 | 文化・芸術
☆日経新聞(2008年10月27日)「まなび再校」で、耳塚寛明教授(お茶の水女子大教授)が、学力テスト開示問題に果敢にチャレンジする橋下知事の姿勢を高く評価している。

結果開示が府の施策公表とセットで行われた意義は大きい。雑音と不純物を取り除いたとき、学力テストの結果を受け、積極果敢に行政施策を展開しようとする知事の姿勢が見えてくる。市町村と現場だけに課題解決を委ねるのでなく、府行政も相応の資源を投入すると宣言しているのである。

☆しかしながら、橋下知事の言動を評価しているのではなく、結果的に「全国学力調査の結果の活用事例として」評価しているに過ぎない。理解を示しているからいいじゃないかと結局は文科省を立てることになるのだからと・・・。

☆教育行政のアイロニーということか・・・。

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アートバブルの行方

2008-10-25 08:44:33 | 文化・芸術
☆日経新聞(2008年10月25日)朝刊、文化欄で、「金融危機、文化にも波及 しぼむアジアの美術市場」が掲載された。スポンサー依存度の高い文化活動やアートフェア、投機目的で作品を買う富裕層に支えられているオークション市場といったこれまでアートバブルを膨らましてきた美術市場が冷え込んでいるという。

☆金融立国アイスランドは24日、IMF=国際通貨基金に対し、総額20億ドル=およそ1900億円の支援を要請したほど金融危機は深刻。このあおりを受けて、日本で公演するはずだったアイスランド交響楽団は、来日を中止。ここでも芸術に打撃が。

☆しかし、浅利慶太率いる劇団四季は順風満帆。質の高いパフォーマンス、リーズナブルな料金設定、その上がりで劇団を運営するというビジネスモデルと俳優700名を自前で育成する人材育成システムの確立が成功の理由だろう。

☆スポンサー依存率が相当低いのだろう。ここでも≪官学の系譜≫発想と≪私学の系譜≫発想の差がでている。金融立国というのは自分で質をマネジメントできない。≪官学の系譜≫も自分で質のマネジメントができない。常に質は国の財政予算によってコントロールされる。

☆経営システム―運営システム―消費者の関係が常に非対称性であるのが≪官学の系譜≫である。劇団四季は、この関係は循環的な関係である。この金融危機で世の中騒然としている中、一部チケットの料金を値下げするほど。

☆こういうご時世だからこそ、多くの市民を夢と希望に誘いたいということだろう。もっとも劇団四季は希少価値という経済原則を巧みに使っているからで、誰でもできるかというとそうではあるまい。もしも浅利氏が退いたとしたら、浅利なき株式会社四季は、この希少価値戦略を持続可能にできるのだろうか。

☆システムと価値は常にパラドクス・・・・・・。
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シュムペーターによるグローバル危機の先読み

2008-10-25 07:56:58 | 
☆第一次世界大戦前夜、ウィーン社会学会で、シュムペーターは「租税国家の危機」について講演した。本書はその講演録にシュムペーターが加筆・補足したものらしい。

☆世界大戦下で、欧州の国々は国家財政が貧窮していた。特にオーストリアは空前の公債累積。この財政破綻の危機の行方について、戦時経済体制の平時経済体制への切り替えはいかにして可能なのか、つまり租税国家の再資本化はいかにして可能なのかについてシュムペーターは考えを巡らしている。

☆100年も前の話が、今日の金融グローバル危機を脱する方法構築のヒントになるはずもないと思う方もいるかもしれない。しかし、今日のグローバル社会を築いている近代国家の基本構造は、19世紀末以降に確立した欧米・日本諸国と実は変わっていないのである。

☆税金を回収するシステムが近代国家のベースで、官僚機構はその機能を合理的に運営するためのシステムである。国家は常に自らの財政の無限の支出をいかにコントロールするかよりも、いかに無限に税金を回収するかに目が行く。

☆一発税金回収には、戦争が欠かせない。しかし、それは大いなる矛盾もはらむ。いつ果てるともなく戦争は財政を使い尽くす。戦争をやるから財政がひっ迫するのではないのだ。戦争をやらねば税金が回収できない矛盾を近代国家は内包しているのだ。

☆米国発のサブプライム問題。しかし、それはすでに20世紀末から米国で始まっていた住宅バブル。それをあおる金融市場。これらのあたかも無限に金を回収できるかのようなシステムが米国で組み立てられていった。そして9.11。

☆今も続く泥沼のような状態。砂漠に水を撒くような、財政の軍事費への無限の消失。しかし、財政はいくらでも回収できる。と、思っていたのだろう。

☆だが、しかし、24日NYダウはまたまた反落。8378.95ドルに。円は急騰し、輸出企業や製造業は大打撃。日経平均もまた7649円に急落。円が急騰したのは、戦争に直接手を下せない憲法9条と一般市民が外貨で預金したり、オフショアを活用したりする情報を明らかにしない日本の鎖国的金融市場のおかげなのかせいなのか。

☆相対的に日本は安全で、預金力、つまり金がまだ蓄積されているからだ。

☆いずれにしても小さな政府、市場主義をうたってきたブッシュ政権も動かざるを得ない。欧州も日本もそうだ。シュムペーターは自由経済は、危機を乗り越え成功するが、その行方は社会主義だと本書で語るが、この社会主義は、かつてのソ連や東欧、中国共産党のようなシステムではない。あくまでも自由経済、所有権を認めた上で、自由経済をいかに租税国家がコントロール可能にするかという転換を意味する。

☆つまり大きな政府の合理性、正当性、信頼性の構築に切り替わるだろうというのだろう。

☆アメリカの新大統領の流れは民主党のオバマ氏優勢とは、これを意味するのだろう。そういえば、今年のノーベル平和賞は、フィンランドの元大統領マルッティ・アハティサーリ氏だ。それからノーベル経済学の受賞者は、反ブッシュ政権の先鋒ポール・クルーグマン氏じゃないか。

☆ノーベル賞によるスウェーデン・ノルウェーのグローバル危機の脱出戦略?なのか。



租税国家の危機 (岩波文庫 白 147-4)
シュムペーター
岩波書店

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25分授業意味するコト

2008-10-24 22:47:03 | 授業
☆授業分割 学力アップ 福岡・梅林中 1コマ25分 集中力持続(10月24日15時7分配信 西日本新聞)によると、

学力の二極化が深刻化するなか、福岡市城南区の梅林中学校(田村茂校長、374人)が一部の授業で1コマ50分を半分にする短時間授業に取り組んでいる。生徒の集中力を保つとともに、増えたコマを割り振って主要教科をほぼ毎日設け、基礎学力の定着を目指す試み。理科の実験では、分割分を足してゆとりを持たせるなどメリハリもつけた。文部科学省によると2分割授業は全国的に珍しい取り組みで、学校側は学力がアップしたと説明している。

☆これはすごいチャレンジだ。時間が足りないというのが、とかく現場で出てくる声なのだが、時間を圧縮するとは!

☆というより知識の確認、整理は25分。考える作業が入れば50分。実験などの体験や創造的な授業は75分。こんなふうに時間の変化を作ると、集中力以前に、いろいろな気づきを生むメリットの方が大きいはず。

☆学力アップのはずが、実は創造的才能の開発につながるだろう。私だったら、50分は覚える授業。25分は考える授業にするけれども・・・。


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学校選択制の功罪???

2008-10-24 07:33:44 | 文化・芸術
☆<学校選択制>大きな格差、男女比にも偏り…都内28市区(10月22日2時32分配信 毎日新聞)によると、

学区外の小中学校にも通える学校選択制度を巡り、毎日新聞が東京都内28市区の教育委員会を調査したところ、今春の各校の入学率(校区内で住民登録している就学者数に対する入学者数の割合)に、8.1~326.7%と大きな格差があることが分かった。人気校と不人気校の固定化が進み、区部では新入生が1けたの学校が7校、10人以上20人未満が23校ある。男女の希望者数も偏り、男子が3割未満の中学も出ている。

☆偏りが生まれる原因として挙げられているのを列挙すると

1)小中一貫校となった学校が志願者が増える傾向になる。
2)統廃合がうわさされた学校の入学者が急激に減る現象も生まれている。
3)クラブ活動が盛んな学校には志願者が集まりやすい。
4)小規模校では廃部やチームを結成できない部も相次ぎ志願者が減る可能性大。
5)「荒れている」「いじめがある」学校は「風評の影響を受けやすい」。

☆このように、学校選択制は学校間格差が広がってしまう。しかし、「魅力があり開かれた学校づくり」をしているところは志願者が増え、教育の活性化は進む。

☆ただ、公立学校の矛盾やパラドクスを浮き彫りにするのが「学校選択制」の目標?ではあるまい。課題が明確になったのであるから、単なる規制緩和とその放任ではなく、手を打つべきである。

☆ただ、今回の金融業界の歴史的乱高下に対する公的資金注入のような対策だけではなく、教育アドバイザーやカリキュラムアドバイザーをきちんと配置して、内生的成長をサポートする政策をとるべきだ。

参照)→学校の内生的成長については、拙著「名門中学の作り方」(学研新書)はヒントになると思う。

☆選択とは自由と正義のバランスなのである。これが倫理的市場によるクオリティ・ライフ持続可能設計である。

☆規制緩和で、格差を生んで、活性化だといっているうちは、メカニズム・デザインに不足がある。しかしながら、自由と正義のパラドクスを解くのは、結局理念やコンセプトなど思想や教養が必要になる。動物化するポストモダンな社会にあって、それは可能なのか。

☆結局自治体の教委の見識と教養、才能、技術、寛容という資質に帰してしまう。
たしかに、選択制の功罪を冷静にとらえ直す時期に来ているのだろうが、それは選択性のメカニズムデザインであり、選択そのものを廃止するかどうかという問題ではないことだけは確認したい。
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サブプライム問題と教育リスク

2008-10-21 08:56:52 | パラダイム
☆新聞、テレビなどのニュースで毎日のように取り上げられるサブプライム問題。今回の金融危機を引き起こした元凶とみなされているだけに、当然ではあるが、見過ごしてはならない視角がある。

☆サブプライム問題がなぜ起こったのかそのシステムについては、解明が進んでいる。詳しくは他の媒体の説明を参照してもらうことにして、簡単にいえば、目に見えるリスクの隠ぺい商品をあたかもローリスクのように販売できたエイジェント機能の構築の欠陥である。

☆合法的な相対取引と合法的な証券化商品の市場取引を金融機関が合法的に媒介するエイジェント機能。全部合法的等価交換システムなのだが、クラッシュしてしまった。

☆制度設計の欠陥による目に見えるリスクにマスクがかけられたということ。だから、この欠陥を埋めるべく公的資金が注入され、欠陥を改善するルールや制度設計が再組織化される。「制度設計のリスク」ということで、ことは処理されるのだ。

☆しかし、本当のところは、教育リスクの賜だったのである。金融教育の可能性、経済優先の正当性、優勝劣敗の妥当性、市場原理至上主義の信頼性は、教育による共同幻想形成、教育によるイデオロギーの押し付けの結果である。

☆つまり≪官学の系譜≫ベース教育の。≪官学の系譜≫のリスクヘッジの方法は、管理の不足を改善すること。≪私学の系譜≫のリスクヘッジの方法は、価値の批判的検討による正当性・信頼性・妥当性・倫理的市場性の保守である。
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教員問題と学校の法化現象

2008-10-21 03:48:30 | 文化・芸術
☆「教頭から教諭へ」など希望降任が過去最多106人(10月17日17時54分配信 毎日新聞)によると、

07年度に自ら望んで教頭などから降任した公立学校の教員は、過去最多の106人(前年度比22人増)に上ったことが、文部科学省の調査で分かった。一方、生徒と信頼関係が築けないなどとして「指導力不足」と認定された教員は3年連続で減少し、371人(同79人減)だった。

☆指導力不足の教員は減少?これは管理の強化によるものかもしれない。だから、教頭というリーダーロールを辞めるという事態が増えているのかもしれない。

☆管理の強化とは、ピラミッド型組織の強化というだけでは済まない。ピラミッド型組織がすべて悪いというのではないからだ。

☆ピラミッド型組織とは役割とその責任がシステム化されている場合は最強である。自分の担った役割の範囲内において、選択判断できる権限が移譲されているからだ。ロールの自覚が、組織全体のシステム像を了解した上で行われるなら、なお強力な組織だろう。

☆しかし、教頭を辞めたいというピラミッド型組織は、役割強制と自由なき管理が行われている場合が多い。しかもこのような場合、役割強制と自由なき管理のほうが結局何もしないでお金がもらえるなどと考える・意識もしないパラサイト型メンバーがたくさん生まれる。このような状態では、指導力不足教師はいなくなる。いや見えなくなる。生徒たちも管理されるわけだから。

☆マネジメント型ピラミッドとコントロール型ピラミッド。おそらく後者が多いのが公立学校だろう。私立学校は、市場の原理と相克するために、コントロール型ではやっていけない。マネジメント型が多いだろう。

☆いずれにしても、コントロール型ピラミッド組織は、簡単にいえば圧政君主型か封建主義型であり、その結末は歴史が証明している。おそらくコントロール型ピラミッド組織で、法化現象という学校教育紛争が頻繁に起こることになるだろう。いやすでに起きている。

☆コントロール型ピラミッド組織→カリスマ型ピラミッド組織→マネジメント型ピラミッド組織→ピラミッド型フラット組織→マネジメント型フラット組織→スーパーフラット型組織→カオス型フラット組織→死滅という組織成長論からいけば、教頭がリーダーロールを辞めたくなる組織は退化しているといえる。退化の過程で、様々な事件が起こる。このリスクを回避するにはどうすべきか。成長すること以外に何があろう。

☆ただし、スーパーフラット型組織以降は内生的成長を果たさねば、やがてエントロピーは増大し、衰退し、死滅するのが成長の運命でもある。
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橋下知事も坂口・吹田市長も教育の立場に立てず

2008-10-19 03:04:25 | 文化・芸術
☆橋下・大阪府知事、学力テスト結果公表の意義を改めて強調(10月18日22時17分配信 産経新聞)によると、

橋下徹知事は18日、全国学力テストの結果公表をめぐって対立していた吹田市について、ホームページ上で公開された課題分析にふれ「去年7ページだった分析が今年は47ページに増えた」と指摘し、一連の論争の意義を強調した。・・・・・・阪口善雄・吹田市長は「点数だけで公教育の成果は計れない」として学テの結果を拒否し、橋下知事に“宣戦布告”。

吹田市教委の公表した課題分析を見て、橋下知事は量が増えたことに、持論の影響をたたえ、一方坂口市長は、学テの結果で公教育の成果が見えないと語る。

☆両方とも見えていないのは、学テの課題分析が、分野ごとのつまり要素の課題分析に終始し、そこから子どもたちの学力の全体像がどう見えるかが分析されていないことを指摘していない。

☆橋下知事はまずは量で、中身は今後だと思っているだろう。坂口市長は、課題分析の仕方が問題なのに、課題分析を鵜呑みにして、これではなにもわからんと言っている。

☆どちらも同じものを見て、自分の主張を正当化してるだけで、その課題分析の批判的議論を避けている。

☆どっちにしても、教育、教育、そして教育という話題だけは盛り上がったわけだし、それでよしとするかぁ・・・。
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ブログ論壇の市場 離在的協働の時代

2008-10-18 08:13:43 | 
ブログ論壇の誕生 (文春新書 (657))
佐々木 俊尚
文芸春秋

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☆このブログのアクセス解析を見ていたら、次のサイトページからアクセスがあった。開いてみたら、本書の紹介ページ。

http://www.bunshun.co.jp/blog_rondan/index.htm

☆そこにはこれからのブログの論壇の意義と市場についての予見がさらりと書かれている。さそっそくネットで購入した。

☆著者佐々木俊尚さんのブログ紹介リストにもこのブログが掲載されている。ブログ論壇とかアルファブロガーとかいうカテゴリーを意識しないで、つれづれなるままに日々書いているだけだったのだが、そういうことも振り返ってみなくてはなるまいと思ったからだ。

☆それにしてもそのリストのトップに紹介されている小飼さんは、今ドイツにいるのかぁ。羨ましい。

友人の岡部憲治さんがアルファブロガーのことについて書いていたが、こういう時代の流れのことを言っていたのだなぁ。いつも教えられて、こっちが理解するのに時間がかかる。

☆世代の違う人、異分野の人、異文化の人、未知の人・・・・・・。

☆とにかく日々新鮮な視点をシェアさせてもらっているm(_ _)m。

☆離在的協働の時代だな。
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教育そのものがリスク?

2008-10-15 09:23:30 | 
☆教育というコードとプログラムのシステム構造は、構造であるがためにパラドクスをあらゆるシーンで包含しているというのは、考えてみれば当たり前であるが、新鮮ではないだろうか。

☆人間教育の拠点が教育システムであるならば、シェークスピアを引き合いに出すまでもなく、人間なんてパラドクス、アンビバレンツの塊である。

☆子供の才能を引き出そうとファシリテータを演じていたと思っていたら、規範で抑圧する役を教師は同時に演じなければならない。

☆平等だといいつつ選抜システムが入学・卒業というイベントの中にはある。

☆評価はダメだというレッテル張りが意欲を作用する。

☆個性が大事だといっていると、個性を無視する事件が学内外で生まれてしまう。

☆常に予想不可能な文脈で、互いに役割を期待し、裏切られる。

☆このパラドクスによって引き起こされる現象をコントロールしようとしながら、その抑圧が不安をますます募らせる。

☆パラドクスというリスクをヘッジしたり解決しなければ、様々な病理が拡大するというのが本書で石戸教嗣さんが論じていることだろう。

☆ルーマンのシステム論でありながら、コミュニケーション・システム論が本位であるというのがまたまた興味深かった。

☆しかし、このルーマンの教育システム論を日本の公立学校の教育に重ねているために、なかなか難しいし、病理現象ばかりが配慮されている。そうならないように、パラドクスを引き受けている教育システムとして私立学校=≪私学の系譜≫があるというところには気遣いされていないのが残念である。



ルーマンの教育システム論
石戸 教嗣
恒星社厚生閣

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