教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

21世紀型スキルの要は未翻訳

2014-05-11 13:59:36 | 
21世紀型スキル: 学びと評価の新たなかたち
クリエーター情報なし
北大路書房


☆オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、シンガポール、香港、イギリス、米国、カナダ

☆などとシスコシステムズ、インテル、マイクロソフトが協力して

☆初等中等教育の21世紀型の学びを構築。

☆ICT活用

☆議論展開

☆クリエイティブプレゼンテーション

☆チームワーク

☆メタ認知レベルの思考力

☆などなどが授業で展開される。

☆知識を伝達し暗記する20世紀型の授業や教育とは全く違う学び。

☆新しい学びについて、日本でもたくさん本が出ているが、

☆ここまで充実している本はない。

☆わかりやすく編集しようというあまり、授業で展開されている

☆子どもたちの複雑な思考過程や心情の起伏を見ていない本ばかりが

☆出版されている。

☆そういう点では、この21世紀型スキルの本は重要だ。

☆しかし、わかりやすくとうい編集が、この本にまで行き届いていて

☆肝心のe-assessmentという評価の方法論などの部分が翻訳されず、

☆日本の21世紀型スキルを活用したケースにすり替えられている。

☆ここの部分は悪くはないが、世界で行われている21世紀型の学びの

☆矮小化版。

☆これが21世紀型スキルや学びだと錯認してしまう日本の教育関係者が

☆多くなったとしたら、それは残念である。

どこでもシートは 知を拓くどこでもドア

2014-05-07 06:39:07 | 学びの時空
セーラー万年筆 どこでもシート 600×800
クリエーター情報なし
セーラー万年筆


☆授業や教育の未来をいまここでどう創るか?

☆ワークショップ型のミーティングを随所で行う。

☆そしてプロトタイプをつくるために授業リサーチ。

☆それを持ち帰り、再びカリキュラムイノベーションのためのミーティングを行う。

☆プロトタイプ―リファインの繰り返し。

☆暗黙知が形式知化されるや

☆暗黙知がシェアされて、≪インター暗黙知≫が生まれる。

☆学校であれ、帰国生入試対策の講座であれ、

☆学びの組織や学びの空間が立ち上がる。

☆その際、「学びの道具」は必要である。

☆道具とは、創造的知を生み出す≪媒介項≫。

☆最大の学びの道具は、≪学びの空間≫。

☆最強の道具は、≪言動≫

☆変幻自在に学びの時空が変容しだすと

☆学びはフロー状態をあちらこちらで生み出し、

☆クリエイティブでクリティカルなコミュニケーションという≪3C≫が

☆回転しだす。

・言動
・iPad
・keynote(私は使っていない)
・PPT
・skype
・Word
・Excel
・Pdf
・デジカメによる写真と動画
・ムービーメーカー
・ポストイット
・Youtube
・もちろんWeb
・e-mail
・可動式椅子と机
・ワークシート
・参考資料
・クリエイティブプレゼンテーション指標
・タキソノミー

☆などなど、ふだん活用している学びの道具を

☆思いつくまま挙げていたっら切がない。

☆もちろん、場に応じて組み合わせることが肝要。

☆そんな中で重宝しているのが、「どこでもシート」。

☆ホワイトボードと同じ機能を、

☆机の上でも、床の上でも、壁にでも

☆生み出してしまう。

☆あらゆる壁などの境界に、静電気で貼り付けて

☆知の空間を拓くどこでもドアにしてしまえる。

☆知のシーンを映し出すスクリーンと言うこともできるだろう。

☆ワークショップでファシリテートするときは、

☆最初のトリガークエスチョン以外は、

☆すべて、参加者が生み出した問いを共有していく。

☆一般の模造紙の半分くらいの大きさなので、

☆問いごとに考えをデザインして

☆つないでいける。

☆どこでもシートにデザインした考え方は、いつも同時に背景に問いを生成するから

☆ファシリテーターは、その問いをシェアし、

☆シェアしたら、その問いについてどこでもシートで考え方を拓いていく。

☆リアルな道具だけれど、

☆バーチャルな知の空間を壮大なスぺクタルで展開できる優れものである。

新しい資本主義を考えるテキスト「純粋贈与」

2014-05-06 05:32:45 | 
愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3) (講談社選書メチエ)
クリエーター情報なし
講談社



☆中沢新一の贈与論は、

☆「交換―贈与―純粋贈与」というシステム。

☆そして、本書では、これは

☆「父―子―聖霊」という三位一体のシステムに

☆メタファではなく、考え方の原理として重なっているのだとする。

☆しかし、近代以降の資本主義は

☆「交換―贈与」の関係になっており、

☆それは「父―子」の関係になっているから

☆この経済状況を打破しないと、キリスト教は

☆自らを異端に貶めることになる。

☆三位一体を経済にまで浸透させたのは、中沢新一によると

☆カトリックである。

☆しかし、カトリックの純粋贈与の部分は、教会に独占され

☆三位一体が人間化あるいは物象化されたために

☆13世紀には托鉢修道会ドミニコ会が現れ

☆純粋贈与の部分に神の息吹を取り戻そうとした。

☆この再生理論を構築し、それがルソー、ヘーゲルや

☆アダム・スミス、カント、マルクス、モースにまで影響を与えたのが

☆トマス・アキナスである。

☆ところがルネサンス前夜、宗教改革前夜、この修道院の動きも停滞する。

☆そこで生まれたのが、ドイツ語訳の聖書で、「純粋贈与」の部分を

☆市民に公開したプロテスタントが生まれた。

☆マックス・ウェーバーは、ここに資本主義の源流を見るが、

☆「純粋贈与」が「資本」に物象化されるや

☆プロテスタンティズムの資本主義は、異端と化する。

☆資本主義は、トマス・アキナスやプロテスタントの「純粋贈与」

☆カントの「物それ自体」、ルソーの「自然状態」の息吹を取り戻すことによって、

☆新しい資本主義を実現できる。

☆ところで、それはいかに可能か?

☆松岡正剛の千夜千冊の「マルセル・モース 贈与論」によれば、

☆SNSなども、「純粋贈与」の兆しだという。

☆もっとも、松岡正剛自身は、まだ「純粋贈与」という考え方を持ち出してはいないが。

☆また「千夜千冊」の「内田樹・中沢新一・平川克美 大津波と原発」は

☆太陽光も原発も、実はエントロピーを引き算できないから

☆原発vs太陽光発電という枠組みにならないことも指摘。

☆これは、原発や太陽光は、「純粋贈与」であるはずの自然が

☆「純粋略奪」に転化する着想を予告する。

☆また、松岡正剛は、中沢新一が、一神教より仏教のような多神教的な発想が

☆「贈与論」としての新しい資本主義が想定できると言っていることを紹介している。

☆しかしながら、このことについては、カトリック宇和島教会の司祭田中正史神父の

☆聖書の「ぶどう園の労働」の解釈に
よって、必ずしもそうではないことが了解できる。

☆「父と子と聖霊」というキリスト教的な発想は、

☆経済において、

☆「交換―贈与―純粋贈与」という発想に重なっている。

☆しかし、現実は

☆「交換―権力―純粋略奪」というシステムになっていった。

☆トマス・アキナスの三位一体的経済の再生理論をまつまでもなく、

☆聖ドミニコの異端を改宗させるロゴスは、その実践版だった。

☆しかし、歴史は中世は、ドミニコ会の活動を反転させる。

☆そこで、宗教改革。

☆プロテスタンティズムなのであるが、

☆純粋略奪を切り落としたために、

☆「交換―贈与」つまり

☆「父と子」という異端経済が成立してしまった。

☆そして「交換―権力」という格差社会が20世紀をすっかり覆ってしまった。

☆「交換―権力―純粋略奪」の復権である。

☆新しい資本主義は、

☆「交換―贈与―純粋贈与」の実現である。

☆発想はもともとあったが、実現したことはかつてない。

☆しかし、ルソーの自然状態やカントの物それ自体の夢想の中に

☆記憶として刻印されつづけた。

☆その記憶を実現へ。

☆SNSはそのカギとなるだろうか。

☆社会起業にそのヒントはあるだろうか。

☆まずは「交換―贈与―純粋贈与」という経済システムのイメージを

☆対話するところからかもしれない。






企業で活躍する人材の大学時代の探究

2014-05-04 03:08:01 | 教育政策
活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション
クリエーター情報なし
東京大学出版会


☆企業で活躍する人材は、

☆新規採用で入社してきた段階で

☆組織社会化になじむ人材である。

☆このことは、今までも変わりはない。

☆しかし、今までこの組織社会化になじむ

☆新規採用者は、企業が独自の選抜システムでおこなってきた。

☆読み書きそろばんができれば、あとは企業が人材育成をするから

☆それでよっかったのであるが、

☆状況がかなり変わってきた。

☆時代の変化が激しく、

☆それに伴うイノベーションを創発する人材が必要になってきたわけである。

☆そうなると、イノベーションを生み出す潜在能力をもった人材を

☆選抜採用して、組織社会化しなければならなくなった。

☆読み書きそろばんの指標である、高学歴、大学の成績ではそれは測れない。

☆それゆえ、大企業が、独自の選抜採用システムを組んできたのだが、

☆コストがかかりすぎる。

☆それよりも、大学時代にどのような学習や人間関係を形成してきたか

☆予め情報を得ることによって、

☆組織社会化が可能で、イノベーションに貢献する人材をより合理的に

☆効率的に選抜採用できるはずであるという提案を

☆本書は大学時代の生活や学習のデータと入社後の組織社会化の成功度のデータを

☆掛け合わせて、証明している。

☆その結果、異質な人間とのネットワークを形成し

☆将来の見通しをたて、そのために体験値を積む

☆プロジェクト型の探求を、学内外で行ってきた学生が

☆最適な人材として企業が選抜採用するだろうという仮説が立てられた。

☆しかも、それが大学時代のみならず高校時代から行われている方が

☆有意であるというデータも一部にはでてきた。

☆今後の中高の新しいキャリア教育のパラダイムシフトにも影響を与える

☆有効な研究書ではないだろうか。