教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

12の学校選択指標【3】

2006-04-30 09:40:04 | 学校選択
◆「(2) 教師の創造的コミュニケーション能力」を見極めることはとても重要である。コミュニケーションが重要であるとは世の中だれでもわかっているし、文部科学省もその方向であることはリリースされている。(参考→「ホンマノオト2006年3月20日」)

◆コミュニケーションにもいろいろあるだろう。ワンウェイではなくツーウェイ、双方向的でなければと言いながら、事務的な報告やタイミングの悪い言葉かけで苦労しているのは教師だけではない。相手がどう思おうと関係なく抑圧的におしきるコミュニケーションもある。複雑な世の中だし、日ごろ見知った仲間以外が会うチャンスの多い空間超越型の出会いもある。そんなときは互いが同じ条件で合うわけではないので、双方向のつもりでも一方向だと感じられたり、抑圧的な対話をしているつもりがなくても、抑圧的に捉えられるときも多い。

◆教師の対話の腕のみせどころは、そのときである。その誤解を互いに解放するコミュニケーション能力を有していることが重要である。誤解を解くというのは、新しい状況を見つけ、その解決方法を生み出すわけだから、創造的な作業なのである。

◆アインシュタインや最近の脳科学者たちはパラドックスを創り、それを解消する検証方法が得意だが、誤解を解くのも全く同じコミュニケーションの質である。

◆①熱意があって、②志が高く、③人間を評価する目をもっていて、④明るく元気で、⑤戦略的で・・・という教師は、どの学校にも必ずいる。そしてそういう先生が煙たがられていない学校は、説明会に行けば雰囲気でわかる。

◆このような学校の教師の質というものはかなり良質だといえる。しかし、それだけでは何かが足りない。そう創造的才能を教師は持っていないと最適ではないのだ。

◆そんな教師はどこの学校にいるというのだろう。それがいるのである。そしてそのような創造的コミュニケーション能力を持った先生が学内でリーダーシップをとっていたり、活躍する場を提供されたりしている学校があるのである。

◆思いつくまま列挙してみよう。「明大明治」「麻布学園」「カリタス」「共立女子」「共立女子第二」「京北」「聖光学院」「横浜女学院」「武相」「神奈川学園」「東京純心」「白梅学園清修」「東京女学院」「開成学園」「洗足学園
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12の学校選択指標【2】

2006-04-29 10:26:03 | 学校選択
◆「(1) 自己実現プログラムの自覚的実施」についてであるが、私立中高一貫校は、どの学校も自己実現プログラムを有している。しかし、それについて学内の教職員が全員で意識したり自覚したりしているかというとそうとは限らない。無意識のうちに、あるいは伝統的に実行されているところがほとんどである。

◆たとえば、桜蔭や雙葉などは、ある程度放任していても、生徒たち自身が、自己解決していく力を持っている。在校生は、伝統とOGの活躍に大いに影響を受けながら、成長していくのである。だから学校当局はこれという特別な自己実現プログラムを用意する必要はない。

◆一方女子学院は礼拝を中心に、自分探しの文集や平和についての物語編集など総合的な自己実現プログラムが先生方の自覚のもとでなされている。麻布も「論集」という場で、すべての教科で自己を振り返る思索のチャンスを設定している。

◆「自修館中等教育学校」のように「自修館チームディベロップメント学習」という新中1のオリエンテーションから6年間かけて「探究」というプログラムが実践されているところもある。

◆自覚されているか自覚されていないかは、極めて重要である。自覚されていない場合は、伝統の力が継続し、予定調和的に生徒たちは6年間を送る。自己実現プログラムが自覚されている場合は、目に見えない力をシステムという形に再構築するので、機動力がでてくる。したがって、ある成果が急激に上昇する。

◆たとえば、「鴎友学園女子」の自己実現プログラムは、ベクトル図でビッグ・ピクチャーを描きながら、システマチックに実行。鴎友学園女子の教育力のインパクトを私立中高一貫校市場に与えた。

◆「聖セシリア」「富士見丘(神奈川県)」「横浜女学院」「聖光学院」「武相」「共立女子」「京北」の自己実現プログラムも興味深い。
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12の学校選択指標【1】

2006-04-29 09:48:36 | 学校選択
◆今月はいくつかの場所で、「学校選択」について語るチャンスがあった。その際「12の学校選択指標」を使って話を試みたところがあった。12も選択指標について説明すると、時間がかかり、たいていは飽きてしまうだろうと思ったが、実に真剣に耳を傾けてもらえた。やはり学校選択という意思決定は、保護者にとってそして受験生にとっても、ある意味キャリア・プランニングの入り口として重要なのだと改めて実感した。

◆12の学校選択指標を列挙してみよう。

(1) 自己実現プログラムの自覚的実施
(2) 教師の創造的コミュニケーション能力
(3) 時代の変化への対応力
(4) 本格的論文編集指導力
(5) プログレッシブな授業
(6) 総合学習と他の教育活動の有機的結合力
(7) 現地校で耐えられる英語教育力
(8) あらゆる教育活動でのIT活用力
(9) 他教科に刺激を与える芸術教育力
(10) キャリア・デザインとしての進路指導
(11) 生徒の潜在能力を引き出す教育空間デザイン
(12) 教育理念が具体化していることを証明する説明会

◆一つひとつ例を挙げて簡単に説明していくことにする。
※〔参考〕→「ホンマノオト2005年9月15日
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教育基本法改正の前に

2006-04-24 03:29:14 | パラダイム
◆教育基本法改正が国会を通ろうとしている。法律の文言はともかく、「愛国心」と「宗教的情操」という中身が織り込まれるようだ。

◆いったい日本における「愛国心」とは何か。「宗教的情操」とは何か。神道といってもいろいろあるが、国家神道以前の古来の神道をイメージしても、日本の孤高を創りあげようというのだろうか。

◆日本文明とハンチントンあたりがいう場合、あるいはアインシュタインが感嘆するぐらい、欧米にはない神道という宗教的文明が日本のアイデンティティであるというのはどうもまずい。

◆「文明の衝突」を自ら望んで行くようで怖い。ユダヤ教という一神教は、ユダヤの民とエホバの契約という信仰である。イエスはそれをぶち破り、人類全体に一神教を広めた。どちらがいいとかどうかではなく、多神教であるという1つの宗教、しかもそれは先進諸国では今では日本でしか信仰されていない神道を「愛国心」や「宗教的情操」に置き換えるというのは、戦争に突入することに他ならない。それは中東を巡る歴史から明らかである。

◆いや「愛国心」とか「宗教的情操」についてはそういう意味ではないと、政治家はみな言うが、だからといってはっきり定義をするわけでもない。この事実がもはや神道路線なのだ。キリスト教ははじめに言葉ありきで、言葉中心主義。神道は神は語らないのである。だから定義を述べないというスタイルはすでに神道路線なのである。

◆宗教観は科学観に通じるかもしれない。アインシュタインは明らかな一神教。ハイゼンベルクは一神教でも三位一体の方。不確定性原理の発想は、この三位一体からか。もちろんユダヤ人の物理学者はたくさんいて、量子力学の功績者は多いが。

◆三位一体の発想は、多神教の一神教への融合の歴史的アイデアではないかと感じるときもある。でなければ文明の生態史観や文明の海洋史観は成立しないのではないだろうか。

◆私が言いたいのは、神道がよいとかそうでないとか、キリスト教がいいとかそうでないとかではない。宗教の違いを際立たせるのではなく、共通点を見出す議論をしてから、教育基本法を改正するかどうか議論することが必要だということだ。聖徳太子によるとされている一七条の憲法の十七条にはこうある。「大事は独り断ずべからず。衆とともに宜しく」と。日本は日本文明だと言われて喜んでいてはならない。604年にすでに民主主義的発想があったとも考えられる。

◆「愛国心」をも含む「人類愛」でもよいではないか。だとしたら改正する必要はない。日本国憲法前文でそれは謳われているからだ。まだまだ議論は足りないのではないだろうか。
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オイルトライアングルを解消する授業

2006-04-23 14:16:02 | パラダイム
◆杉原薫さん(京都大学教授)の論考(日経新聞2006年4月21日経済教室「原油高騰下の国際秩序づくり」)は重要だ。原油が高騰することは、結局は産油国より無資源国が利益を得るというパラドックスや9条があることによって、日本・東アジアとアメリカと中東諸国との間で「オイルトライアングル」が成立しているなど極めて重要で実に恐ろしいテーゼが語られている。

◆日本と東アジアの対中東貿易赤字は増加するだろうが、対欧米貿易黒字はますます増加するだろうから問題ない。米国はその分たしかに赤字になるが、軍事産業で黒字になるから問題ない。日本は9条があるから、軍事産業には直接参入できないようになっている。なんという「オイルトライアングル」。

◆この「オイルトライアングル」の環を解消し、新しい市場の構築が新しい平和の構築になる。しかし、現実にはこのようなベクトルで日本は進むだろうか。「オイルトライアングル」の中で闘おうとしているのではないだろうか。このトライアングルも1つの市場である。しかし、この市場は軍事産業がベースになっている市場である。これでよいのかどうか。

◆この「オイルトライアングル」市場の消費者であると同時に労働者は、労働は美徳である。ニートはそうではないという幻想を信条に生きているのではというのは、横浜国大有江大介教授。

◆「オイルトライアングル」を支えている労働者は「アルバイト・コンプレックス」というマインド状態。このマインドを解放/開放するにはどうしたらよいか。有江教授自身、中高一貫校時代は、栄光学園で過ごしたようだ。

◆「オイルトライアングル」を解消しようという視点は私立中高一貫校で生まれるのかもしれないというのは強引過ぎるか。

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ニートの本当の意味を探そう

2006-04-22 13:50:05 | パラダイム
◆ニートという言葉が世を席巻している。ニートは労働意欲&学習意欲が自らのせいか社会のせいかはわからないが、ないことを象徴する言葉のように扱われている。

◆しかしこれはどうだろう。ニートに対し公平に語っている論調の典型は、「ニート急増が問うもの 失業者でもフリーターでもない若者たち」という朝日新聞の記事。これは学習教材の1つとして作られているものらしい。

◆だから、ニートを排除するようなトーンはない。ただし、労働とは何かは問われていない。就労以外にも労働の道はあるという方向性。労働は美徳というパラダイムは変わらない。

◆労働はいつから美徳になったのだろうか。中世カトリックの時代まで、労働は必要悪だったのではないだろうか。ニートは労働美徳一色のパラダイムが続いた歴史に残る労働必要悪という価値観の変質かもしれない。もし近代の裏切りが自己正当化のために労働美徳論を生み出したとしたら、それはニートの存在をなんとか労働美徳論に取り込まなければ、近代の裏切りシナリオに破綻をきたす。

◆横浜国大の有江大介教授は、栄光学園から東大へ進んだが、なぜ働くことが自己実現なのか問いつづけている。「労働と正義」創風社(1990)は、アリストテレスから現代までの労働と正義の関係史を整理した膨大な本。有江教授の「愚者の楽園 <アルバイト・コンプレックス>を超えて」という論考が発表されたのは1996年。

◆ブレア政権が「ニート」という概念に気づき始めた時期よりも前に、有江教授はアルバイト・コンプレックスという抑圧雰囲気の社会蔓延が何かを生み出すことを感じていたのだろう。

◆新しい「労働観」が生まれる1つの兆しが「ニート」現象なのかもしれない。抑圧が社会に押し出した現象なのだろう。

※次のブログはイギリスの「ニート」のことなど、詳しく分かる。参照されたし。→「ニートひきこもりJournal
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選択嗜好性の変化【15】 共立女子・大妻

2006-04-22 09:24:36 | 学校選択
◆2004年データ 共立女子
市川①・大妻②・共立女子C・跡見②・共立女子B・東邦大東邦(後)

◆2005年データ 共立女子
共立女子B・共立女子C・豊島岡女子①・跡見②・専修大松戸①・獨協埼玉①

◆2004年データ 大妻
豊島岡女子①・浦和明の星①・大妻②・市川①・跡見②・共立女子C

◆2005年データ 大妻
浦和明の星①・淑徳与野①・跡見③・大妻②・跡見②・豊島岡女子①

◆共立女子はますます共立女子ファン層の確立が強化。大妻は埼玉エリアの受験生の憧れの学校へとシフトか。嗜好性そのものは、両校とも変わりがないが。

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選択嗜好性の変化【14】 豊島岡

2006-04-21 07:49:59 | 学校選択
◆2004年データ 豊島岡
浦和明の星①・豊島岡②・女子学院・渋谷教育幕張①・桜蔭・豊島岡③・吉祥女子③

◆2005年データ 豊島岡
浦和明の星①・豊島岡③・豊島岡②・渋谷教育幕張①・女子学院・淑徳与野①・桜蔭

◆豊島岡の選択者の通学圏は、ますます埼玉エリアになっているようだ。選択嗜好性そのものは変わらずだが、6年間の生活の中で、中心は東大を頂点とする大学群を目指すということを暗々裏に望んでいるということになるのか。御三家の併願というより、豊島岡が第1志望という選択者の増加も見られる。
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テストの概念の議論の必要性

2006-04-21 07:26:37 | パラダイム
◆産経新聞(4月21日3時55分更新)によると、「平成十九年度から行われる全国学力テストの在り方を検討していた文部科学省の専門家会議は二十日、各市区町村や個別の学校が独自にテスト結果を公表することを認める報告案をまとめた。」そうだ。

◆ただし、「報告案では、テスト結果の返却の狙いは、各市区町村や学校が全国の中での位置づけを知った上で指導改善に生かすことと強調。順位付けではないことを十分考慮するよう要求した」という。

◆これは非常に重要なことだ。テストの機能イメージは、一般的には選抜機能や学力到達度調査機能のイメージが主要だったと思う。これだとテスト=序列付けという意識はなかなか払拭できない。OECD/PISAは、新しいテスト概念を世界に広めた。学習到達度調査機能というテストだ。報告案で提案されているのも、この路線であろう。

◆このテストの概念をもっと日本の教育に広めるには、結果の取り扱いの注意だけでは、うまくいかない。テスト問題そのものが、選抜テストや学力到達度テストとどう違うかというイメージを持つことが大切で、そのためにはテスト問題そのものの公開がポイントとなる。

◆ときどき幾つかサンプルが公開されるが、市販のドリルにあるような従来の問題形式。これではテスト=序列意識を払拭できない。日本の公立学校行政の残念なところは、いつもスローガン。あるいはマクロばかりで、マクロとミクロを結びつける具体的な提案がないことだ。それは現場で行うことだからというわりには、一方で国レベルでテストを実施しようという話。もっと民間にまかせた方がよい。

◆ところで、新テストとして、日本の教育で必要なのは、才能発掘テスト。メタソフトパワーを開発できる豊かな才能を刺激するテストなんだが、それはどうなっているのだろう。
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選択嗜好性の変化【13】 横浜共立・鎌倉女学院・湘南白百合

2006-04-20 12:26:02 | 学校選択
◆2004年データ 横浜共立
鎌倉女学院①・鎌倉女学院②・田園調布学園②・横浜共立B・田園調布学園③・神奈川大学附属B

◆2005年データ 横浜共立
鎌倉女学院①・鎌倉女学院②・田園調布学園②・洗足学園③・横浜女学院A・横浜共立B

◆2004年データ 鎌倉女学院
鎌倉女学院②・横浜共立A・清泉②・清泉①・横浜共立B・フェリス女学院

◆2005年データ 鎌倉女学院
鎌倉女学院②・横浜共立A・フェリス女学院・清泉②・清泉①・洗足学園③

◆2004年データ 湘南白百合
鎌倉女学院②・フェリス女学院・横浜共立B・横浜雙葉・清泉②

◆2005年データ 湘南白百合
鎌倉女学院②・フェリス女学院・横浜共立A・洗足学園③・横浜雙葉・清泉②

◆3者とも嗜好性は変わらず。しかし洗足学園③の存在はすべてに入る。洗足学園が神奈川県のナンバーワンになる日は近いのではないだろうか。

◆東京の鴎友学園女子、神奈川の洗足。両方ともプロテスタント主義の学校である。


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