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日本企業の生産拠点移転先1位は「海外」、法人減税は愚劣で無駄なバラマキ - 経営層と株主を太らせるだけ

2014-09-22 | いとすぎから見るこの社会-全般
日本の経済政策で最も馬鹿馬鹿しいのは、
これまで実行して効果がなかったり、逆効果である施策を
「成長政策」などと偽称する「異次元の」低レヴェルばかりであることだ。
根本的な認識と戦略の誤りを全然反省しなかった、太平洋戦争時と同じである。

大規模な金融緩和は財政膨張を招き、後戻りできなくなることは高橋財政の時代に立証された。
公共事業が非効率的で成長率への寄与が低いのは小渕内閣で立証され、
円安誘導による経済効果が貧相であることは小泉内閣で立証された。
毎回懲りずに持ち出される「経済特区」に至っては、死屍累々の羊頭狗肉であった。

我が国の原子力比率が高まるのに反比例して成長率は低落している。
そして日本の法人税率が低下しても日本の成長率は一向に上昇しない。

こうした議論の余地のない事実を理解する能力すらなく、
経済循環の波動が上向いているだけに過ぎない束の間の好況を、
勘違いした自民党内閣が己の力のように騙る現状は哀れなものである。

更に、現下の日本では今迄に見られなかった新現象が起きており、
企業の成長が日本経済の成長とディカップリングし始めている。

自民党は元々選挙目当ての利権バラマキによって権力を維持してきた政党であり、
思考回路や利害関係は限りなくレントシーカーに近い。
だから今後の日本の経済政策を大きく誤る危険性が高いのである。
(と言うより、鋭敏な者が感知している通り既に手遅れであるが)

目先しか見えない有権者が骨の髄まで利権と癒着した政党に投票したため、
我が国は英米型の分断社会に向け一直線に進んでいる。
それは「利益は既得権層が真っ先に受け取り、貧乏人が足蹴にされる社会」である。

▽ レントシーカー(政策を操る大株主や大企業)は、自己利益の増進が公益につながると信じ込んでいる

『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』(クリスティア・フリーランド,早川書房)


従前からの当ウェブログの指摘は、報道によって証明されつつある。

「基本的に経済団体の要求する政策は単なる利益誘導であり、
 日本経済全体や国民の利益になるものではない。
 彼らの言い分はポジショントークである。絶対に信用してはならない」

「五重苦だの六重苦だと見苦しく喚いていたのも所詮は
 自己利益の追求のためのプロモーションに過ぎない。
 彼らのプロパガンダの片棒を担ぐメディアは社会の敵である」

「経済界から出てくる利益誘導のプロパガンダではなく、
 成長率を引き上げ国民所得を伸ばして雇用を改善する正しい成長戦略が必要だ。
 そのためには企業を厳しく競争させなければならない。
 競争に敗れた敗者を淘汰する北欧型のシビアな政策こそ必要である」

「また内需沈滞・国内市場縮小こそ企業の海外移転の最大の原因である。
 (高度成長期には法人税は今よりも重く、非正規雇用への規制も遥かに厳しかった)
 円高でも国内市場が伸びていれば企業はその恩恵を受けようとする」

「従って、人口動態の劣化に正面から立ち向かい、
 富裕高齢者への偏った公費給付を大幅カットして予算移転し、
 女性就業率と出生率を北欧並みに引き上げるべきである。
 必ずや国内市場は再成長し、成長率は急回復する」

「日本経済は成長率でも労働生産性でも一人当たりGDPでもスウェーデンに完敗しており、
 経済団体の主張するような企業利益誘導策・人件費カット促進などより、
 政策による労働時間の効率化・積極的労働市場政策の方が遥かに合理的であるのは明白だ」

「企業を優遇したところで質の良い雇用が増えないのは明白である。
 経団連による大本営発表よりも週刊誌の記事の方が正しい」

「実質賃金が低下している上に社会保険料負担が重くなる一方なのだから、
 どのみち先は暗く、経済団体が日本経済を活性化させることもできない。
 (寧ろ特定企業と株主だけが恩恵を受ける可能性が極めて高い)」

呆れるほど予想通りに、暗鬱な未来に向けて日本社会が進んでいる。

 ↓ 参考

「円安でも円高でも海外生産を増やす」「インサイダー規制強化反対」- 醜い本性を平然と示す財界
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a378b2fdba3798c4e138a11566844dfe

法人減税分の資金の使い道、1位は「内部留保」- 次元の低い「成長戦略」は所詮この程度
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b05cdada9cec55a50f2d43ab46a65b79

「六重苦」は日本企業の醜悪な二枚舌 - 円安でも進む海外生産、内部留保は1年で6兆円も急増
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9cf3dc1afa84673f7b3a99479d771008‎

▽ 法人減税・所得減税は、日本経済の成長率を改善させなかった

『「新富裕層」が日本を滅ぼす』(武田知弘/森永卓郎,中央公論新社)


工場の新設候補地、海外がトップ 国内企業、地方移転進まず(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201409/CN2014092001001497.html
国内企業が工場の新設・移転先として検討している地域は「海外」が全体の12.1%を占めてトップだったことが、帝国データバンクの調査で20日分かった。
〔中略〕
 国や自治体はさまざまな優遇策で地方への産業誘致に努めているが、企業側の動きは依然鈍いことが浮き彫りになった。
 安倍政権は、地方から大都市への人口流出に歯止めをかけるため、地域での産業育成を目指している。ただ、これまでの誘致策は企業のニーズに合っていないとの見方もあり、対策は一段の工夫が必要になりそうだ。

何度も書いているが、法人減税など無駄だ。
「地方創生」などという寝言に至っては反吐が出る。

自民党が土建と高齢者にカネをバラ撒いてきたから、
次世代育成と新産業創出を徹底的にサボってきたから若者が流出し、地方が衰退したのだ。

若年層流入を実現した国内自治体や、豊かな地域経済を実現した欧州の成功例から学ばない
高慢な政党が高慢で愚かな施策を打ち出すのは税金と時間の浪費である。


日本企業の海外生産20%突破、過去最高に 12年度(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2800Y_R00C14A3NN1000/
内閣府がまとめた2013年度の企業行動に関するアンケート調査によると、日本のメーカーの生産額に占める海外比率は12年度実績で20.6%と、前の年度から3.4ポイント上がった。1987年の調査開始以降で最高だった。
〔中略〕
 東京証券取引所と名古屋証券取引所の上場企業を対象に1月に調査した。製造業のうち海外生産をしている会社の割合は12年度に69.8%と、前の年度から2.1ポイント上がって最高となった。13年度は70.7%と初めて7割を超える見通しだ。
 生産拠点を海外に置く理由は「現地やその周辺の需要が旺盛」が50.8%とトップ。2位は「労働コストが安い」(19.1%)、3位が「現地の顧客ニーズに対応しやすい」(14.4%)だった。円安で日本から輸出しやすくなっても、「国内市場の成長を底上げしなければ、海外への生産移転に歯止めがかからない」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長)ことを示している。
 非製造業も含めた企業の14年度の名目国内総生産(GDP)成長率見通しは1.7%と、物価変動の影響を除いた実質成長率の1.3%を上回った。比較できる04年度以来、デフレの象徴とされる名目値と実質値の逆転が初めて解消した。内閣府は「企業の間にも脱デフレへの期待感が広がっているようだ」としている。”

利権と癒着した経済団体は、法人税や電気料金の負担が重い、
円高が進むと海外に企業が脱出するとほざいていたが、事実はこの通りである。

日本経済を健全な成長へ導くには、彼らの利益誘導を見抜き、
見え透いたプロパガンダを粉砕しなければならない。
企業への利益誘導では我が国の経済は劣化するしかない。
米国の最も悪い側面である、拝金病の階級社会へと堕落してしまう。
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