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経済同友会が日本の財政破綻を警告、「国民生活に壊滅的な影響」と - 放漫財政と改革先送りを厳しく批判

2015-01-27 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
経済同友会は現代表になってからプレゼンスが顕著に低下し、
代表の出身母体企業で社会的に無視できない問題が発生するばかりか
経団連と何が違うのか判然としない時期が続いたが、
漸く注目に値する発表を行った。

それは、日本の「突然の財政破綻」の可能性を指摘し、
特に医療や介護分野における高齢層向け社会保障給付を削減すべきという
正々堂々の論である。至極当然であり、強く賛同したい。
(真の弱者には給付が必要だが、全員が弱者の訳がない)

しかし同友会ほどの社会的影響力の大きい団体にしては
見事に抜けている点もあり、残念ではある。
(とはいえ経団連よりは遥かにましだ)

もし同友会が真に日本の財政破綻を憂えるのなら、
新たに税収を生み出す決定的な切り札となる、
省エネ分野での新規投資と産業成長の促進、
そして女性雇用の増加と出生率の引き上げを促すべきであった。

同時に、日本の企業界が生み出し得る雇用の規模の限界を自覚し、
無駄の塊である長時間労働をばっさり削減するとともに、
公共セクター、具体的には育児と介護で生み出し得る雇用の規模の大きさを認めるべきだ。

どちらも市場の機能不全により労働力が不足している。
同友会は退職金の控除廃止も提言し、その予算を用いて
育児関連バウチャーによる現物給付の飛躍的増強、
福祉セクターの低賃金労働者への給付付き税額控除の設定を促すべきである。

数十万規模の雇用の増加が期待でき、
しかも労働者の消費性向が高いのだから確実に大きな効果が出る。
高齢化によろめく我が国に必要なのは、労働力不足の分野における労働投入増なのだ。

……東短リサーチの加藤出氏は著書において、
日本の現役世代のTFP(全要素生産性)は世界最高水準であり、
高齢化が日本経済の足枷になっていると数値を上げて証言している。

▽ こちらを参照

『日銀、「出口」なし! 異次元緩和の次に来る危機』(加藤出,朝日新聞出版)


デービッド・アトキンソン氏は、日本の高度成長は
人口急増によるものであったと明言している。
(ドイツの1人当たりGDPにいまだ及ばないことから、技術力による高度成長ではないと分かる)
日本を経済停滞から救うのは、確実な労働投入増に結びつく積極的労働市場政策である。

▽ 日本がドイツのGDPを抜いた理由は、単に人口が飛躍的に増えたためである

『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言』(デービッド・アトキンソン,講談社)


従って、働かない者に積み立ててもいない給付を行うバラ撒きは経済悪化の元凶である。

「我が国の社会保障の最大の問題は、豊かな者にも貧しい者にも
 高齢者であれば見境なくカネをバラ撒くモラルハザードである」

「この悪平等が回り回って現役世代の負担を累増させ消費低迷の元凶となり、
 我が国の経済低迷と財政悪化、出生率低下をもたらしているのである」

「公費を受給している者の口座にマイナンバーを適用しないなど、とんでもないことだ。
 これで日本の社会保障のモラルハザードは一層深刻化するであろう」

「今回のマイナンバー制度設計の大失策により、
 我が国の有権者の中に隠れた大勢の「国家のシロアリ」が日本財政を蝕み、
 未来世代のクレジットカードを使いまくって日本社会を塗炭の苦しみに陥れる危険性が高い」

「マイナンバーは骨抜きになっており、
 たっぷり資産を持っている癖に政府にたかる輩のモラルハザードを
 助長しかねない腐った制度になりかけている」

「国債残高(=公的債務)と家計金融資産がともに増加しているということは、
 政府から個人への所得移転に他ならず、
 我が国の愚劣な異次元緩和によるリスク資産価格の増大も
 政府の債務に支えられたモラルハザード要因が含まれている訳である」

我が国は、勤労を尊ぶ勤勉な国民性を誇りとしている。
年齢だけが理由でカネをバラ撒くモラルハザードは、
我が国の素晴らしい伝統を破壊する反日行為に他ならない。

 ↓ 参考

マイナンバーで公費を貰う受給者の口座捕捉は絶対必要、骨抜きは腐敗を招く-家計保有の現預金は874兆円
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1c52cb1127be26506f88a47f6fbb00c3‎‎‎

年をとると強欲になる? -「老後に必要な生活費」が増加、若年層より高齢層の方が高額との調査結果
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/03a985b3c136167d456e3a0e7ff05c87

株高でも日本の年金に未来なし、田村厚労相は制度を理解していない - OECDは支給年齢引き上げを勧告
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/da56727d3885056089e7d79ff6f6500f‎‎

▽ 世界一とも言える世代間格差の大きさが、日本経済低迷の原因となっている疑いが強い

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


このままでは破滅!? 同友会、財政再建へ"消費税17%への引き上げ"提言(マイナビニュース)
http://news.mynavi.jp/news/2015/01/22/342/
”経済同友会は21日、提言「財政再建は待ったなし~次世代にツケを残すな~」発表した。
〔中略〕
 日本の経済状況については、放漫財政と改革先送りにより、1,000兆円超の債務残高と毎年40兆円の赤字を出していると指摘。財政の信認喪失は、突然の財政破綻を引き起こし、国民生活に壊滅的な影響を与えると懸念している。
 また、財政再建のためには「経済成長」「歳出削減」「歳入拡大」のそれぞれで、全力を尽くすことが必要条件であると主張。2030年度までの財政状況についても試算し、社会保障費を毎年5,000億円減らした上で、2017年4月に予定されている消費増税10%を実施した後も毎年1%ずつ引き上げ、2024 年に17%になるまで増税することで、2020年度の基礎的財政収支黒字化が達成できるとしている。
 社会保障費については、医療・介護分野の給付抑制を目的として、70~74歳および75歳以上の医療費自己負担を3割に引き上げることや、受診時に個人が毎回100円負担する定額負担制度の実現、介護サービス自己負担の2割への引き上げなどを求めている。

同友会の主張は正しい。
しかし、同友会は主張するだけでなく「義務」を果たさなければ、
所詮は空理空論の域を出ないという認識を十分に持っているとは言い難い。

経済団体で力を持つ大企業の幹部や労働者は、一般国民に比べて
フリンジベネフィット(役得)が大きい。
経団連よりも公益性をよりよく理解している同友会なら、
自分よりも低い時給で頑張って働くより若い世代のために
身を切って支援する覚悟があると確信している。


子ども2歳半で働くママ46% 厚労省、前回調査より増(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201501/CN2015012201001627.html
”厚生労働省は22日、子どもが2歳半の時点で仕事をしている母親の割合は46.5%とする「21世紀出生児縦断調査」の結果を発表した。2010年5月生まれの子どもがいる家庭の状況を追跡しており、今回は12年12月に実施、約3万2千人が回答した。01年生まれの子どもが2歳半になった時点の03年調査と比べて11.5ポイント増加した
 厚労省によると、仕事をしている母親の割合は子どもが生後6カ月で35.5%、1歳半で41.8%、2歳半で46.5%を占めた。〔以下略〕”

このように、日本女性の意識も徐々に変化してきている。
これほど急激に、大規模に変化する分野が他に幾つあろうか。

論より証拠、育児関連市場は急拡大しており、
この成長分野を大事に守り育てていけば日本の将来は明るい。

子供は成長とともに必ず消費を生み出す源泉となり、
貯め込んだまま使わない消費減退を撃滅する貴重な存在である。
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