みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

『週刊エコノミスト』2月12日号 - 低成長なのに株主と経営層が分け前を強要、格差拡大による経済低迷

2019-02-08 | 『週刊エコノミスト』より
今週の週刊エコノミスト特集は予想したよりも良かった。
「エコノミストが東洋経済の後追いになった」ので懸念していたが、
寧ろ今週のエコノミストと先週の東洋経済の「経済物理学」のリスクシナリオは必読だろう。

「今年はブラックスワンばかり」「実体経済も18年がピーク」
「金利が上昇すれば、景気後退に陥ることは火を見るより明らか」

と数々の非常に重要な指摘が掲載されている。

編集部は、そうしたリスクの背景にリーマン前の水準を上回った企業債務があること、
借金して設備投資にではなく自社株買いとM&Aに費やしていることを指摘している。
いくら借金しても低成長と格差拡大に陥るのは当然の帰結と言えよう。

エコノミストは昨年末から恐ろしい程にタイミングが完璧で
今週号が出た途端にEU主要国の成長率見通しが下方修正されたから
注意深く見ておいた方が良さそうだ。

『週刊エコノミスト』2019年 2/12号


「中国製ドローンの脅威」は期待通り素晴らしい内容だった。
口だけ安保の官邸や自民党の鈍重さがよく分かる。

執筆者の山崎文明氏は中国の「国家情報法」により
「中国の国民全員が、国のために情報収集を行う存在」(=スパイ)だと
極めて的確な指摘を行っている。日本でも米軍と同様、DJIの中国製ドローンは即禁止すべきだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

東洋経済の特集「病院が消える」特集は大変惜しい。
相澤孝夫氏の指摘通り「病院の役割分担が進めば、今の半分で足りる」のだろうが、
そして医療サービスの利便性を当然視する住民エゴが問題の一つであるのだが、
医療経済学の結論は「病院が近くになく診療所だけでも住民の健康には大差ない」のである。

全国各地で講演を行っている森田洋之氏は、
「日本の医療費と病床数に相関関係がある」が、
医療費や病床数が多くても平均寿命など健康度には無関係だと指摘している。

そうなると「医師数と国民の健康度も無関係」だろう、
「医師が増えても、医療費が増えても日本人の健康には無関係」
なのではないかという推論が必然的に生じてくることは避けられない。

▽ 夕張では病院がなくなっても住民の健康には殆ど影響しなかった

『医療経済の嘘』(森田洋之,ポプラ社)


個人的には、医学部出身の起業家が増えているので、
上場や技術の売却でひと儲けしようとする拝金起業家ではなく
限られたリソースを精一杯活用できる医療費効率化のイノベーションを望みたい。
(遠隔診療も本来その有力候補の一つではあるが。。)

ともあれ東洋経済でもダイヤモンドでも一度、
「医療統計の不都合な真実」として特集を組んで欲しいものだ。

『週刊東洋経済』2019年2/9号 (病院が消える)


後半に出てくる以下の著者へのインタビューも興味深い。
矢張り、精神科の関係者は患者軽視に見えてしまうのか。。

常に自分は「治療する側」で患者は「指示に従う側」だから支配的心理になるのだろう、
少なからぬ心理学者や経済学者が一般人を「被験者」扱いして見下すように。

▽ こちら参照

『なぜ、日本の精神医療は暴走するのか』(佐藤光展,講談社)


    ◇     ◇     ◇     ◇

ダイヤモンドの特集「ビジネス数学」はもう一歩かな。。
本当に役に立つのは最後の方の事例(ヤフー等)のみだろう。

数学はあくまでもツールに過ぎないものだから
経営管理層が数学を使って何ができるか、どう変わるかを具体的に知っている方が重要だ。


期待した「未払い賃金"時効"」(2年から5年に延長)は難しそうだ。
利権癒着の腐敗した安倍政権では「5年」はまず無理で、
「3年」と僅かに伸ばして「大改革」と大ボラを吹くか
「3年」とWEという毒饅頭との抱き合わせという卑怯な手を使ってくるだろう。
さっさと選挙で負けて安倍が駆逐されないとこの問題は殆ど前進するまい。

『週刊ダイヤモンド』2019年 2/9号 (文系でも怖くないビジネス数学)


意外と興味深いのがハピキラ正能代表へのインタビューで、
イノベーターとは全く思えないもののこの世代の特徴がよく出ていた。

多分、バブル就職のジュニア第一世代なのではないか。
同世代の「上」は見るが「下」は存在しないかのような意識のようで、
「褒められたい人」「喜ばれた証としてお金をもらえるのが好き」だそうだ。

ただノブレスオブリージュを「やりたい人がやればいいじゃん」という驚愕の解釈をしていて、
語源や背景を殆ど知らない「軽さ」は本当に衝撃だった。
(ノブレスは当人が解釈しているような「育ちのいい人」という意味ではない…)

大志なく私生活重視、天然なミーイズムという世代的特徴が表れている感じで、
一般大卒の平均賃金を大幅に上回る慶大卒で日本的ジェンダーが強固というのも興味深い。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次回は東洋経済に注目、「日本の低生産性の真犯人はクレーマー」は大袈裟だが……

▽ 「団塊の世代が「暴走老人」化」はよく見かける、動乱の主役だったこの世代の特徴かも

『週刊ダイヤモンド』2019年 2/16号 (あなたの周りのモンスター クレーマー撃退法)


▽ 不動産と絡めてでなく、「通勤列車」単独なのがそもそも苦しい東洋経済特集

『週刊東洋経済』2019年2/16号 (最強の通勤電車)


▽ エコノミストは得意の士業特集

『週刊エコノミスト』2019年 2/19号

AI関連と、あとはエコカーの記事を見ておきたい。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シュローダーズも丸紅もJERA... | TOP | 晩冬の新刊 -『女の取扱説明... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 『週刊エコノミスト』より