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少子化の真犯人は日本国民自身 - 親との同居も税負担も拒否、他人には厳しい人々

2007-03-18 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
以前コメントを頂きましたvb さんのエントリーに触発され、
最近思うところを綴ってみました。

注意 : このエントリーは、個人の率直な意見です。
    事実認識に誤りがありましたら、具体的に御教示下さい。
    どうか宜しくお願い致します。

少子化の問題については様々に語られていますが、
最も重大な誤りは、「他人のせいにする」ことです。

2002年10月の「パラサイトシングル実態調査」(福井県商工会)
http://www.fcci.or.jp/chousa/totteoki/parasaito/index.htm

” 本人が支払うべきものを親が支払ってもらっているものがあるかどう
 か聞いたところ、6割があると回答。内容は、「自動車に関する支払」
 でローンや税金、保険等が最も多かった。このほか、生命保険や携帯
 電話代、中には遊び代や習い事代を支払ってもらっている人もいた。
 これも、直接的金銭援助と同様に、男性よりも女性の方が援助を受け
 ている人が多く、娘には甘い親が浮かびあがる。”

もし親世代の方が本気で自分の子を結婚させたかったら、
実家から追い出していっさいの経済的援助を断つべきです。
実家にいるのが快適で得だから、それよりも不利になる結婚生活に
踏み出す人が少なくなるのです。
(論より証拠、この調査では実家暮らしの満足度は極めて高いです)

非婚化は快適な実家暮らしを許容する親によって支えられており、
このように子をスポイルしている先進国は日本だけです。

しかも、最大の問題はこれです。

 結婚後、親と同居したくない → 47%
 自分の親となら同居したい  → 33%

「自分の親とだけの同居」が簡単に実現する筈はありません。
明らかに、自ら進んで育児負担を重くしているのです。
問題は企業にだけあるのではありません。

自ら進んで親との同居を拒否し、「夫婦だけで育児」を選択すると
この日本では極めて苦しい立場に追い込まれます。

下記のデータが、「夫に育児参加を」と唱える国が
(その主張が正しいだけに尚更に始末が悪い)
こっそりと隠している事実を明らかにしています。

日本の子育て費用負担、OECD諸国との比較(内閣府)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa16/hiyo/chap2_6.html

これは何度か取り上げているデータで、インターネット上で公開されています。
この明々白々な事実を無視した論者が多いのには本当に呆れます。

このデータを見たらどうして「少子化は解決不可能」などと言えるでしょう。
単なる無知か、「例え社会福祉のためでも税負担したくない」との意見なのか、
どちらかしかあり得ません。

このふたつの調査を併せて考えると、
国民自身が目を背けている「隠れた事実」が浮き上がってきます。

それは、

自由気ままに生活するのには結婚も育児も邪魔である。
他人の子供のために税負担する意思はない。
子供を持ちたい者は勝手に産んで育てれば良い。
未婚者は自分の財布にしか関心がない。
上の世代は社会保障制度の受益しか関心がない。

という今の日本社会の現実です。

「政府の負担」とは即ち国民の税負担を意味します。
… 周知の通り、日本よりも出生率の高い欧州諸国は、
大概が10%を超える高い間接税を支払っています。

子供を持つ持たないは個人の価値観次第でどうしようもありませんが、
「子供を持つ人々を社会全体で支える」ことは可能なはずです。
(事実、「理想の子供数」は合計特殊出生率よりもかなり上です)
なぜそのことを皆が黙っているのでしょうか。

    ◇     ◇     ◇     ◇

さて、それでは税負担以外で少子化を抑止できる方策、
つまり「非婚化」「未婚化」が抑止できるか見てみましょう。

『結婚しない女たち』の年の差恋愛(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/travel/hitou/etc/01.html

” 「話を聞くと、みんな自分に還元する恋愛だったんです。30歳前後
 になって、男を見る目も肥えてきて、たまたま同世代でいいなと思
 った人も結婚してたりする。そんな時、いろいろな事でもがいてい
 たりする時、年上の男性から経験してきたことを話してもらってプ
 ラスになったとか。社会でもまれて数年経って、あかが付き始めた
 なと思った時、学生のピュアな心に感激したとか。」”

 → 冷静に言うと、残ってしまった人の多くは、
   「市場価値」が低いのだと思います。
   他人だけはシビアに判定しているようですが、
   自分自身を見る目は「肥えて」いるのでしょうか。

” 「私たちの世代は、高校生の頃に男女雇用機会均等法が施行され、
 バブルの頃は女性誌やファッション誌を読むと、『働く女はかっ
 こいい』という記事が多く、働かなければ人にあらず、というよ
 うなメディアの刷り込みがあった。私たちの世代より下は『別に
 働かなくても楽しく生きていけばいいじゃん』という感じがある
 と思うんですけどね。私たちは肩ひじ張って生きていかなくちゃ
 と刷り込まれ、でもみんなやりたいことが明確にあるわけでなく、
 明確にないことがいけないような気になっている。自分は何をし
 ていくんだろうと、妙に葛藤している人が多いんですよ。この世
 代の特徴だと思う。“自分探し”をしていたら30歳になって、いい
 オトコがいなかったということでしょうか」”

正直に言うと、普通は「みんなやりたいことが明確にあるわけでない」
のであって、世の大多数の人は大した能力も才能も持たないのです。
(いとすぎ自身もそうです)

"自分探し"というのは単なるマーケティング用語で、
明確な個性も特徴も持たないが、そうした「贅沢品」を求める
平均的で雑多な消費者を顧客とするためのキーワードに過ぎません。
実際、それで上手に部数を稼いでいる雑誌がいくつもありますよね。

デフレ下で変わる若者の生活「結婚の条件」(国民生活白書)
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h15/honbun/html/15f32040.html

性別による差が興味深いです。

男性の方が明確に比率の高い結婚条件は「容姿」と「家事」。
女性の方が明確に比率の高い結婚条件は「安定収入」と「束縛しない」。

はっきり言って
どっちもどっちではないのでしょうか。
私生活における現代人の強欲さが見えてきます。
(私自身もこの点については反省するところが多々……)
自己正当化の強い方が表面上「正しそうに見える」だけの話です。

欲望の肯定と社会的規範の形骸化が目立つ現代社会で、
非婚化をとどめることは極めて難しいと言えます。
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2 Comments

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Unknown (vb)
2007-03-19 07:02:19
いとすぎ様。
いつも私の心への投資、ありがとうございます。

ほんと、どっちもどっちですよね。
自分の独身時代を振り返ってみますと、よーくわかります。

社会問題についてもそうですよね。
私も独身の時など社会問題どこ吹く風でした。
(いとすぎ様のような方は稀だと思います)

JFケネディ氏の名言

もし自由社会が貧しい多数の人たちを助けることができなければ、富める少数の人々をも決して守り得ないであろう。

を少しでも理解できる世の中になるように、私のせめてもの参政権を行使していきたいです。
返信する
vb 様、コメントありがとうございます。 (いとすぎ)
2007-03-21 00:06:59
少子化が誰か他人のせいであるかのように語る言説に、
いつも違和感を持っていました。

「とまらない」のではなく、
実際には「とめようとしていない」のでしょう。
「社会が豊かになったため」としたり、
男性や企業に原因がある、日本社会が悪いから、としておけば、
自分たちが何もせずにいるのを誤摩化すことができるからです。

vb 様のような意識の方が増えれば、
もっと違う社会になるはずだと思います。
返信する

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