金木犀は強すぎて
想起には及ばない
既に鼻腔のうちにあって
追憶の隙を与えず
感覚に匂いを手渡しに来る
路地を吹き抜けるゆるい風に便乗し
季節の乗り換え切符ですと
くまなく手渡し手を振る隙に
釣瓶は落ちて夕闇が満ちる頃
さんまの香ばしさが勝り
家々の窓明かりが温みをもって見えるほど
外の空気があたれば
肌が粟立ち
サンダル履きは過ちだった
家に帰って小耳を喰んで
血の気を補う
想起には及ばない
既に鼻腔のうちにあって
追憶の隙を与えず
感覚に匂いを手渡しに来る
路地を吹き抜けるゆるい風に便乗し
季節の乗り換え切符ですと
くまなく手渡し手を振る隙に
釣瓶は落ちて夕闇が満ちる頃
さんまの香ばしさが勝り
家々の窓明かりが温みをもって見えるほど
外の空気があたれば
肌が粟立ち
サンダル履きは過ちだった
家に帰って小耳を喰んで
血の気を補う