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流出雑記 

2015/9/21

2015年09月21日 | Weblog
金木犀は強すぎて
想起には及ばない
既に鼻腔のうちにあって
追憶の隙を与えず
感覚に匂いを手渡しに来る
路地を吹き抜けるゆるい風に便乗し
季節の乗り換え切符ですと
くまなく手渡し手を振る隙に
釣瓶は落ちて夕闇が満ちる頃
さんまの香ばしさが勝り
家々の窓明かりが温みをもって見えるほど
外の空気があたれば
肌が粟立ち
サンダル履きは過ちだった
家に帰って小耳を喰んで
血の気を補う

2015/9/20

2015年09月21日 | Weblog
日没が早まって
帰路は夜に追い越され
塗り込められた風景の
帰り道は描き変わる
帳の降りた公園の
暗がりに立たない背骨
白いドレスの老人が
白粉花の実を摘んで
寝化粧の仕度する