英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

羽生王座失冠に思う その4

2017-10-19 01:09:19 | 将棋
「その1」「その2」「その3」 の続きです。


 図は羽生王座が7八の金を6八に寄せて5筋に利かせたところだが、見た目同様、完全に受け切ってはいないようで、△3六角や△1四角や△4七角が厳しそう。さらに、△8四角の攻防手もある。やはり▲8四角と打ったほうが良かったのではないか……
 中村六段が長考に沈む……30分、40分………有力手がたくさんあり、比較しているのだろう。時間もたっぷりあり、ここは腰を据えて考えるところだろう。……
 ………1時間39分後に指された手は、上記のどの手でもなく△7一歩だった。


 局後の感想では「△8四角をやりたかったのですが」とある。
 △7一歩と埋めることにより、先手の▲7一飛を消している。やはり▲7一飛の飛車打ちは後手にとってはかなりの脅威で、その手を消しておいて次に攻めようという手だ。それに、飛車の王手による合駒(角か金か銀)を消費させられることもなくなった。
 しかし、▲6八金(完全な受けではないが5筋をカバー)と△7一歩(飛車打ちを消した)と互いに守りの手を指したが、どちらがより効果的なのかは微妙だが、2手前の局面と異なる点がある。それは先手の詰めろが一応解消されていること(かなり危険な状態ではあるが)。△7一歩は実戦的な手だが、最善手ではなかったようだ。

 ▲9五角と先手に攻めのターンが回ってきた。
 △7三銀に▲8二銀の追撃で、先手に風が吹いてきた感があるが、強く△9四歩と攻めの根元の9五の角を攻められると忙しい。先手玉が危うい状態なので、安易に角を切ることができない。角を逃げる余裕もなさそうだ。
 以下▲7一銀成と詰めろで迫るが、△4一玉とかわされて、継続手が難しい。

「以下▲2二桂成△同金▲2三歩成(▲3二銀からの詰めろ)に△3七角と打診する手がある。そこで▲3八玉なら△2六桂の王手で先手の飛車筋を止める」(棋譜中継解説より)←▲3八玉ではなく▲5八玉と逃げるのは、以下△2三金▲2四歩△2二金▲8六角△2八歩で先手が苦しい)

 戻って、▲8二銀のところ、巷(elmo)では▲5五銀で先手も頑張れると言われていたようだ。

 ▲5五銀は△5五同銀と取らせて(銀が先手玉から離れる)、その間に攻めようという手だ。しかし、放置して△4七角や、△3七角とか△4七金と決めてから△5五銀と手を戻される手もあり、どう指されてもやや苦しそうで、ちょっと指す気になれない。5五に銀を打つ発想さえ浮かばないかもしれない。“人の手”ではなく“コンピュータの手”である。

「その5」に続く)
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科捜研の女2017 スペシャル (補足あり)

2017-10-17 17:09:21 | ドラマ・映画
色々な要素で本末転倒しており、ストーリーに多くの無理があった残念な脚本だった。(楽しめたけれど)

★ストーリー的、突っ込み所
①意義を感じなかった「生前検死」
 『土門さんの検死をお願いします』とマリコが言うシーンをプレ映像(CM)で流したかったとしか思えない。
 ドラマ中では、“生前検死”に意義を持たせようとしていたが、現場にいた蒲原刑事が状況を把握しており、科捜研のメンバーも映像を観ていたので、大仰な検死をしなくとも、土門の容体を観察したり、主治医に話を聴くだけで充分であろう。意識不明の重体なのに、身体をあちこち向き直され、いじられる土門が可哀想だった。容体が悪化しないのだろうか?
 視聴率稼ぎの小細工としか思えなかった。
 このドラマだけでないが、放映途中でこれから先の重要シーンを挿入するのはやめてほしい。故意に真相を外した興味を呼ぶシーンを流すことも多いが、これもフェイクであることがバレバレである。

②理解困難な那須田(黄川田将也)の行動
 本当に「種の毒の軍事転用を阻止」したいのだったら、警察に白状する方が確実。
 内密で収めようとしたのは、「父親の功績に傷をつけたくなかったから」らしい。全く親離れしていない!
 種を横流ししたことも意味不明。
 それに、種を取り戻したかったとは言え、身を捨ててまで助けてくれた土門を放置して逃げるなど、人間としてダメであろう。
 それにしても、しっかりと足が線路に挟まっていたのに、よく足が抜けたものだ。列車と衝突のはずみで抜けたのだろうが、横に飛ばされたのは不自然だし、横に飛ばされたとしたら、足首はタダでは済まないだろう。引きずってはいたが、歩けるとは思えない。

③最新鋭の武器(装置)を見せたいためのストーリー その1
 猛毒の種を捜索するには証拠が必要と、最新鋭機のスキャナー車(正式名称は忘れました)が登場。
 正攻法の捜査を厳守する藤倉刑事部長(金田明夫)だが、事の重大性を考えれば、嫌疑のある両車両が港に到達した時点で捜査という手順を踏めばいいのではないだろうか?(走行中の車両を停めることもないし)

④最新鋭の武器(装置)を見せたいためのストーリー その2
 “ドローン顔認証”登場。
 すごく活躍したが、かなり上空からの映像なので、角度的に顔を認証するのは難しそうだ(低空だと大騒ぎになるし、障害物も多そう)
 那須田の死体を発見した場所のドローン操縦は難しそうだ。しかも、バックまでしていた。

⑤役立たずの捜査陣
 大人数で那須田を包囲したが、風で飛来した風船で皆がバランスを崩し転倒、取り逃がしてしまう。
 その後も、ドローンが活躍することとなった。
 警察犬は最初だけ?

⑥偶然?線路と並行して走る道路
 かなり長い間列車と並行して走るスキャナー車。信号もないし、なんという幸運!

⑦使用に無理がある凶器
 謎の凶器は、列車の操縦ハンドルだった。
 凶器としては短く使いにくそう。それに、大切な仕事道具を使うモノなのか?
 突発的犯行ならともかく、計画的な犯行で、凶器として持ち出すものだろうか?それに、証拠にもなる。


 正体不明の凶器として、科捜研に謎を解かせ、共犯者を特定するというのなら、まだ納得できるが…


★その他の突っ込み所や感想
1.橋口呂太(渡部 秀)、通称?「ロタくん」
 小学生化が進行?
 子ども番組に登場する、主人公を補佐する少し間が抜けたロボットみたいだ
 連ドラで観るのは辛い

2.土門の妹・美貴(加藤貴子)
 カウンセリングの意義は中途半端だった。
 警察官から科捜研メンバーになり、精神保健福祉士を目指し離職していたが、今回はカウンセラーとなっていた。
 兄の事故シーンでの悲鳴や表情は、加藤貴子さん、迫真の演技だった。

 ちなみに、CMの際の土門窮地のプレシーンでは、ロタくんに悲鳴があったが、本編ではカットされていた。

3.「“そんなことより”攻撃」2連発
 なかなか迷惑で強力なマリコの攻撃であった。


 ここ数シーズン、どんどん高性能で便利な分析機器が登場し、科捜研のメンバーの解析が、単なる作業となってきており、技術士や専門家というより、作業員みたいになってきている。もちろん、専門知識があるので、解析目的を効率よくこなしてはいる。
 まあ、マリコの“にっこり「これやって頂戴」”攻撃は、面白いので、OK。



【補足】
 人をこき使うマリコだが、自分が担当した委託栽培農家の種の鑑定をさぼっていた。
(しなかったよね)




【ストーリー】番組サイトより
 取引先の女社長を殴った傷害罪で逮捕送検されていたナスダ工業副社長・那須田(黄川田将也)が、父親の葬儀に出席するための勾留執行停止中に逃亡した。マリコ(沢口靖子)らは顔認証システムを使い、逃げた那須田の行方を追う。
 一方、土門(内藤剛志)らは那須田に殴られた被害女性から話を聞こうとするが、いまだ意識不明。その後、那須田が東京にいたころ土門の妹でカウンセラーの美貴(加藤貴子)のカウンセリングを受けていたことがわかり、京都にやってくるという美貴から話を聞くことにする。
 那須田の逃亡先を絞り込みつつ、マリコは那須田に殴られた被害女性の着衣を調べ、ナスダ工業の登録品種であるシソ科の植物の種を発見する。那須田が殴った時に付着したのだろうか…?
 呂太(渡部秀)が那須田を発見した。連絡を受けた土門らは連携を取りつつ那須田を追い込んでいく。が、あと一歩のところで電車に乗って逃げられてしまうが、その直前、土門の「なぜ逃げる?」という問いかけに那須田は「逃げてるんじゃない!」と答える。逃げているのでなければ、どこへ向かおうとしているのか?そして、その目的は?
 そのころ、科捜研では被害者女性の衣服から見つかった植物の種が、ナスダ工業の登録品種のシソ科の植物と一部異なる塩基配列があることを発見した。登録品種の植物に2種類のDNAが存在するのか?新しい品種?それとも遺伝子汚染か?
 やがて美貴が京都府警に現れ、那須田に関する意外な事実を明らかにする。
 事件解決へ前進するものの、土門が予想だにしない事故に巻き込まれ…。
 那須田はなぜ逃亡し、どこへ向かおうとしているのか?暴行事件に隠された驚きの真実がマリコらの科学捜査、そして土門の執念で明らかに!?

脚本:櫻井武晴
監督:兼崎涼介
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羽生王座失冠に思う その3

2017-10-17 01:08:36 | 将棋
「その1」「その2」 の続きです。



 先手玉には詰めろが掛かっている。
 後手の持ち駒は豊富で、先手玉は孤立。上から押さえられ、逃げる手も△4七角の追撃が厳しい。思わしい受けがないように思われる。先手も持駒は潤沢ながら、後手玉には手掛かりがなく迫るのも困難。王手を掛けながら、4六の銀を外せそうもない………先手大ピンチを思わせる局面。
 しかし、11手前、▲4五同歩と取れば、この局面に進む可能性はかなり高い(途中、飛車を引くか切るかの分岐点しかない)。羽生王座が1時間15分も考えて▲4五同歩を着手したのだ。きっと、このピンチを脱する妙手順を用意しているに違いない。そもそも、この局面自体、劣勢ではないのかもしれない。


 20分後の指し手は▲3四桂。
 まあ、ともあれ、こう打つしかないだろう。
 △5一玉と逃げられ、さて、ここで起死回生の一手が出るのか?



 ……31分後、▲6八金(第7図)。


 直前の▲3四桂の20分と合わせると51分の考慮ということになるが、この金は5七と5八の地点しかカバーしておらず、3筋、4筋を全く利いていない。大丈夫だろうか?
 この金寄りの意図は、4七の地点を受けるのではなく、5八の地点を受けて、4七に金駒を打たれた時に▲5九玉と逃げる手を可能にしている。働いていない7八の金を活用するプロらしい手である。
 しかし、後手の持ち駒には4七と5八に同時に利かすことが可能な角があり、△3六角や△1四角が厳しそう。玉に迫りつつ飛車取りの△4七角もある。さらに、△8四角の攻防手もありそうだ。

 ≪やはり、ダメなのか…≫
とあきらめていたが、中村六段の手が動かない。
 ………………次の手が指されたのは、なんと1時間39分後だった。


 この中村六段の手については「その4」で述べることにして、▲6八金ではなく▲8四角と打つ手はなかったのだろうか?



 角取りの逆先で△7三銀と合駒するのが私の第一感。しかし、それには▲7一飛と更に王手され△6一角なら悠々▲6六角と引いておけばよい。合駒に角銀を使わされ後手の持ち駒は金のみとなり、先手玉の危険度はかなり低くなっている。また、△6一金と逆先を取るのは▲8一飛成でよい。△8四銀と角を取られても、金と銀を使っているので、後手の持駒は角2枚で即座に先手玉を寄せるのは困難。しかも、手番は先手なので、敵玉への距離が逆転している。
 かと言って、6一に合駒を打たず△6二玉と頑張っても、▲7二玉で後手の負け。

 という訳で、▲8四角には手番を握ることより持駒の節約を優先させる△7三歩の歩合いが最善で、棋譜中継解説によると、この△7三歩には▲3六銀と受ける手があるようだ。


 白状すると、この▲3六銀には一瞬思考が停止した。
 確かに、▲8四角により5七の地点をカバー(▲9五角では5七に利かない)、▲3六銀により4七の地点をカバーできたが、3七の地点はノーガードなので△3七金と打たれると玉を逃げる一手に△3六金でせっかく打った銀を召し取られてしまう………
 しかし、王手で玉を追ってくれたので、手順に5九に玉を逃げることができる。更に△3六金と銀を取るのに1手掛ける。そのうえ、一番寄せるのに必要な金を消費している。先手にとっては、銀を取られてもその倍以上のおつりを貰える取り引きである。これではあまりにも損なので、△3六金と取らずに△5七角と打つことになるが、以下▲同角△同銀成▲6九玉△4六角▲7九玉△6七成銀▲6八歩で先手が良さそう。
 棋譜中継解説には「▲8四角△7三歩▲3六銀△7一金という順は優劣不明のようだ」と記されている。

 プロにとっては▲3六銀など“当然の1手”かもしれないが、私は感動した。

 実は、もう一つ感心した変化手順がある。

 実戦の▲6八金や上述の▲8四角の手で▲5九玉(▲5八玉)△4七角▲6八玉△2九角成▲7一飛△6一飛▲7二飛成△5六馬▲7九玉△6二金打という変化(感想戦で羽生王座は「これはまずいですね」と述べている)。
 何に感心したかと言うと、▲5九玉△4七角に▲6八玉△2九角成とした後▲7一飛と打つ手順。▲6八玉△2九角成の手の交換を入れると▲7一飛に△6一飛と飛車合いをされてしまう。

 飛車合いをされると、▲8一飛成とできず▲7二飛成としなければならない。それなら、▲6八玉△2九角成を入れずに▲7一飛と打てば、飛車合いはなく、合駒は金か銀しかない。
 だったらそうすればいいじゃないか?……しかし▲6八玉△2九角成を入れずに▲7一飛には、△6二玉と飛車当たりで逃げられ困る。金を温存されると先手玉は△5八金の1手詰がある。
 ▲6八玉△2九角成の手の交換は飛車合いを生じさせるが、自玉の危険度を軽減させているのだ。(という苦心の手順だが、先手がまずいらしい)


 最近は、ソフトがはじき出す評価値だけを見て、「凡局だ」「ファンタ(ポカ)が出た」とか揶揄する人が多い。
 しかし、間違えたという事実(数値)だけをしか見ないのは、すごく勿体ないと思う。


「その4」に続く)
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羽生王座失冠に思う その2

2017-10-14 16:09:01 | 将棋
「その1」の続きです。


 △4五銀と桂を取ったところ。先手からすると銀桂交換の駒得なのだが……
 △4五銀が指されたのは11時10分だが、昼食休憩時刻が近づいても羽生王座の手が動かない。▲4五同銀は、△8六飛▲8七歩△7六飛▲7七歩△4六飛の順が気になる。また、▲4五同歩だと、△3六桂と飛車金両取りを覚悟しないといけない。

 結局、次の手(▲4五同歩)が指されたのは昼食休憩後。1時間15分の長考だった。
 以下、△3六桂▲2九飛△8六飛▲8七歩△7六飛▲7七歩と進む。


 ここでおとなしく飛車を引く手もあるが、中村六段は△5六飛と飛車を切る。▲同歩の一手に△4八桂成▲同金も必然。そこで△4六銀と打たれたのが第6図。



 図では△4七銀以下の詰めろが掛かっている。その他に3七と5七にも打ち込み場所があるので、3八や5八に銀を打って受けるのは3か所はカバーできない。金があれば4七に打って受かるかもしれないが、先手の豊富な持ち駒に金は含まれていない。さらに、後手の持ち駒は角金銀と豊富で、金があったとしても受け切るのは困難そう。早逃げするのも一策だが、△4七角が決め手になりそうだ。
 先手としては、豊富な持ち駒を利して後手玉に迫るしかなさそうだが、詰みはもちろん、飛び道具を駆使して攻めながら4六の銀を抜くことも無理なようだ。


 時刻は、午後1時50分過ぎ。早くも絶体絶命か……


「その3」に続く)
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羽生王座失冠に思う その1

2017-10-14 12:04:22 | 将棋
負けてしまいました……

 記事を書く気力が湧かないのですが、備忘録を兼ねて記事に挙げておきます。
 それと、羽生将棋の現状について考察、更に、公言しておきたいこともあります。
 本当は『現代羽生論』としてまとめるつもりでしたが、膨大になりそうで、手をつけることが出来ていません。取りあえず、その断片的なものとして書いておきます。(語呂が良いので『現代羽生論』と題するつもりですが、内容を考えると『羽生将棋の現状考察』ぐらいが適切ですが)



 角換わり将棋。先手が早めに桂を跳ねているのが現代的か。
 ここで、▲2九飛と▲5六銀が有力で、▲2九飛なら穏やかな流れになるが、▲5六銀だと激しくなりそうだと棋譜中継の解説。▲5六銀は次に▲6六歩と突き、後手の仕掛けの△7五歩に▲6五歩の反発を用意した手なので、後手が仕掛けるつもりなら、▲6六歩と突かれる前に動かねばならない。
 先手の羽生王座は5分の考慮で▲5六銀を選択。後手の中村六段も5分の考慮で△7五歩と仕掛ける。
 以下▲7五同歩△同銀に素直に▲7六歩と打つと、△8六歩から銀交換に持ち込まれてしまうので、先手も7五銀の瞬間を捉え、▲2四歩△同歩▲2五歩と継ぎ歩で反撃。△2五同歩は▲同飛が7五の銀取りになる十字飛車が決まる。(この「早繰銀に継ぎ歩(十字飛車)」の筋は、入門書や定跡書に登場する応酬であるが、陣形の僅かな違いで成否が左右される)
 なので中村六段はその筋を防ぎつつ桂頭を攻める△3五歩。

 この手で前例と離れたとのこと。中村六段の新手ということになるのだろうか?ともかく、用意の手であったに違いない。
 先手陣は桂頭を攻められ、さらに3九に銀を割り打たれるキズがある。

 注目すべきは進行の速さ。先述したように激しい流れを誘発する▲5六銀と、それに呼応して仕掛けた△7五歩とも要した考慮時間は5分の短慮。通計も先手17分、後手14分。
 それ以降も△3五歩までほとんど時間を使わず、通計は先手29分、後手19分。新展開の△3五歩にも4分しか使っていない。

 次の▲2四歩取り込みと△2二歩はほぼ必然。ここで羽生王座の手が止まり、37分の考慮で▲4五桂(単に▲3五歩もあった)。先手の主張は、後手の2筋を凹ませたこと、桂頭を攻められる弱みも解消した。だが、新たな弱点が生じ、後にそこを突かれてしまう。
 中村六段は、1分の考慮で一旦△4四銀とかわし、▲3五歩に△8六歩と攻め込む。


 △8六歩に▲同歩△同銀▲同銀までは必然。
 ここで普通は△8六同飛だが、中村六段は△4五銀と桂を取る。銀桂交換の駒損だが、△3六桂の飛車桂両取りを見ている。


 羽生王座が長考に沈んだ。


その2に続く)
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2017セイタカアワダチソウ状況

2017-10-13 16:36:08 | 歳時
 コスモスも最盛期は過ぎ(まだまだ楽しめますが)、いよいよセイタカアワダチソウが存在感を示してきました。
 セイタカアワダチソウは菜の花やコスモスに比べて人気は低いですが、春から夏に高い出現率や占有率を誇るヒメジョオンと並ぶ雑草の秋の王者的存在です。(ヒメジョオンは現在も所々で見かけることができます。ただ、今シーズンはやや低調だった気がします)



(画像は2011年のもの。この頃は“エブリホエア”と呼びたくなるほどあちこちで咲き、野原や空き地を黄色で占領していた感がありました)


 このセイタカアワダチソウ、ここ数年は勢力を後退させていたような気がするのですが、今年は絶好調。いたるところで、ニョッキニョキ状態です。
 今年は残暑が厳しくなかったという特徴があり、それが生育に関係していると考えることができますが、セイタカアワダチソウが勢力を誇った2011年ごろは残暑が長く厳しかったようです。

 植物には当たり年があり、その周期に入ったのかもしれませんね。
 セイタカアワダチソウは土中に有害物質を排出し、他の植物を締め出すという特質がありますが、その有害物質が蓄積しすぎて自らも衰退してしまうらしいので、そのことも生息状況に周期を生じるのかもしれません。


 …………植物学者の友達が欲しいです。


【追記】
 “エブリホエア”と愛称をつけましたが、確かに、空き地や野原、河原、更に、道端と至る所で見かけますが、山の谷間の日当たりの悪いところではほとんど見ることがありません。


 
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2017マイナビ女子オープン 本戦1回戦 清水女流六段-貞升女流初段

2017-10-09 22:09:16 | 将棋
(書きたい記事がたくさんあり、どれから書いていいのか分からない状態です。
とにかく、思いついたものから書いていきます。将棋に関連では、羽生二冠関連がたくさんあるのですが、書き始めると終わりそうにないので、1回で終了できそうなものから書いていきます。この将棋に関しては、図面だけ作ってあったというのが一番の選択理由です)


 この将棋が指されたのは、9月29日でこの日までの今年度の成績は7勝8敗(0.467)。彼女にとっては相当不本意な成績である。スランプかもしれないが、昨年度成績が12勝15敗(0.444)なので、“一時的なもの”とは言い切れない状況だ。要因として
 ①女流棋士の全体的なレベルアップ
 ②清水女流六段の棋力の衰え
 ③精神的な要素や、雑務・公務で将棋や研究に集中できない
等が考えられるが、③関連で連盟理事の務めによるものが多い気がする。(理事着任は今年の5月からではあるが、女流棋士会会長に2015年から就いている)


 対戦成績は清水4勝、貞升2勝。前期の1回戦でも顔が合い、この時は貞升女流初段が激戦を制している。
 両者ともに居飛車党。本局は▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△4二銀に先手の清水女流六段が▲4六歩と右四間飛車の構え。清水女流六段h右四間飛車の採用率は比較的高い。これに対して貞升女流初段は△3二金~△4三銀~△3三角と迎え撃つ。予期していたのか、考慮時間(通計)は7分。
 清水女流六段も予定の指し手なのだろう、△3三角に▲4八飛と右四間に飛車を構えた時点で通計5分。

 さて、4筋攻勢の構えを一応整えた▲4八飛に対し、貞升女流初段は△8四歩。

 この手は後手の飛車を攻めに使うのに必須の手であるが、もう一手△8五歩と指さないと先手陣には何の脅威もない。清水女流六段は仕掛けのチャンスと見たのだろう、3分の考慮で▲4五歩と仕掛ける。以下△4五同歩▲同銀で第2図。

 4筋に先手の飛角銀が集中し迫力十分だが、貞升女流初段も△8八角成▲同銀△3三桂と反発。


 思うに、貞升女流初段は第1図~第3図の仕掛け~反発を想定・研究していたのではないだろうか?△4五同歩~△3三桂の反発はプロならば当然の反発なので小考での着手は不自然ではない。しかし、仕掛けを誘発した△8四歩を1分で指しているのは、仕掛けを誘ったと思えてしまう。(貞升女流初段は序盤に無頓着なタイプではない)

 さて、第3図で▲5六銀と引き上げれば一局の将棋だったらしいが、清水女流六段は16分の考慮で▲4四歩を決断。これに対し△5四銀は▲同銀△同歩▲4三歩成で先手勝勢。また△5二銀も▲3四銀で先手大優勢なのだが、当然、△4五桂と反発(7分の考慮)。
 これに対し▲4三歩成△5七桂成▲3二とが後手にとって怖い順だが、この分かれは後手充分。清水女流六段も先の▲4四歩の際の16分の考慮で無理と読んでいたのか4分の考慮で▲4五同飛。
 振り上げた拳(▲4五歩~▲4五同銀)を引っ込めず、意地で振り下ろすことにした(▲4四歩)。▲4五同飛では妥協の手順で思わしくない局勢だが、何とかなるだろうとの見通しを立てたのだろう。
 清水女流六段はこういう手順が多い。昨年の一局も端攻めをしながら、強く応じられて銀を取らず、端を逆襲されていた。


 しかし、当たりになっていた銀を△5四銀と飛車当たりの逆先でかわされるのでは辛い。
 ▲4八飛と後手を引き、△2七角と打ち込まれてしまった。銀桂交換の駒損もあり、先手苦戦だ。


 清水女流六段は▲3六角と後手の馬作りを阻止しようとしたが、△3六同角成▲同歩に再度△2七角と打ち込まれ、△3六角成を受ける▲5八角に△4七歩の歩の叩きが痛かった。▲4七同飛には△3八銀が厳しいので▲4七同角と応じたが、△4六銀で後手の快調の攻めが続く。
 清水女流六段は▲5八金右と耐えるが、あまりにも辛い。


 貞升女流初段は△3五歩と追撃を緩めない。
 清水女流六段はここで▲6六桂と紛れを求める。


 銀が逃げれば▲6五角と逃げることができ、▲5四桂と銀を取れれば、その銀を5三や4三に打つ攻め味も生じ、銀を受けに使うこともできる。
 しかし、銀取りにかまわず、△3六歩が厳しい攻めで銀を取る余裕を与えない。
 仕方がない▲3八歩に△3七歩成▲同歩を決め、△4七銀成▲同金と角を取ってから△5五銀とかわす。利かすだけ利かし、取るものを取っておいて、▲6六桂を空振りにする△5五銀。しかも、好きな時に△6六銀と桂を補充できる。何という好手順!




 以下は、清水女流六段の辛い防戦も報われず、敗局に至る……
 局面図だけ掲示するが、清水女流六段の苦しさを感じることができるはず。




 清水女流六段にとって、辛いだけの将棋となってしまった。
 勢いだけで指してしまい、苦境に陥ってしまう将棋を散見するが、気のせいだろうか?


 ところで、気にかかる局面がある。それが第5図。


 実戦は▲3六角と打ったが、▲3八角はなかったのだろうか?

 これに対し△3八同角成▲同金は、先手陣の隙を失くさせるだけなので、△4五角成と指すしかないと思うが、これを▲4五同飛と切り、△同銀に▲2一角がけっこういやらしい。


 次の▲4三歩成を受けなければならないが、△4二歩や△5二金だと3二の金がタダになってしまう。
 なので、△5四銀(あるいは△5四銀打)と受けることになるが、▲3二角成△同飛▲4三金がイモ筋で一見切れ筋だが、以下△8二飛(△1二飛)に▲5三金が銀取りの先で▲4三歩成とと金が出来そう。
 ▲5三金が銀取りにならないように△5四銀では△5四銀打も考えられるが、銀を打つのは勿体ない気もするし、▲3二角成と角を切らずに▲8三桂と打つ手が嫌味。7一の銀を△6二銀などと逃げると、飛車の横利きが消えて3二の金が浮いてしまう。
 さらに▲9一桂成とする手も有効そう。

 先手にとって、本譜より面白いのではないだろうか?
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銃販売の責任

2017-10-08 17:09:40 | 時事
米史上最悪の銃乱射事件……

 銃社会の外側にいる私には見えていないものがあるかもしれないが、
「核兵器と同じで、銃は存在しない方がいいに決まっている」

 しかし、現実に社会に銃が出回ってしまっている現状では、“銃規制”の機運が高まらない。
 以前は「規制派 対 権利擁護派」=「65:30」だったが、銃乱射事件が頻発するようになってきているにもかかわらず、2010年以降は両意見が拮抗する状況が続いている。護身の為なのだろうか?
 その他に、銃販売に関する利権の絡みの要因もあるのだろう。現大統領は規制反対派で、今回の事件後も、銃規制についての言及は避けている。


 事件が起きたラスベガスがあるネバダ州では、「州からの特別な許可」や「購入後の警察への届け出」は不要とのこと。(犯罪歴の調査はある)ちなみに、犯行に使用された「AK47」は約8万円で販売されていた。
 州によって規制の厳しさに差があるかもしれないが、非常に緩い規制である。
 パドック容疑者は、大量に銃を所持していたが、ネバダ・ユタ・カリフォルニア・テキサスの4州で銃を購入していた。殺傷能力を高める装置も購入していたようだ。

 銃規制はともかく、銃の危険性を考慮すれば、「州からの特別な許可」や「購入後の警察への届け出」ぐらいの義務は必要である。販売履歴のネットワークが機能していれば、容疑者の暴挙を察知できたのではないだろうか?
 今回、事件後、容疑者の自宅から5キロ離れた販売店でも容疑者が購入していたが、この店の経営者は声明を発表している。
「“容疑者が銃を販売する相手として不適格であることを示す兆候はなかった”として、銃の販売は適切に行われた」ことを強調。


“銃の販売が適切に行われた”のなら、この規定自体が不適格である。この緩い規制がもし的確だとしたら、販売者自体の見る目が不適格だったということである。


銃の規制が進まないのなら、こうしたらどうだろうか?
「銃の使用によって殺人・傷害事件が起きた場合、「1000万円×人数」を販売者が支払わなければならない」
 こうすれば、販売者がもっと慎重に銃を販売するのではないだろうか?


 
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9周年?だった

2017-10-07 16:45:44 | 日記
 当ブログですが、2008年の10月2日に「いよいよ10月」という記事で、唐突に始まりました。4記事目にてようやく「あいさつ」(同月7日)の記事をアップしています。
 そんな突発的ブログですが、丸9年経過し、10年目に突入することになりました。もともと、長く続ける気でしたので、≪9年も続いた≫という感慨はありませんが、実生活も含めて≪9年経つのは早いなあ≫と、しみじみ思います。

 今日は既に7日……忘れていました。9月末の時点では覚えていたのですが、月末から忙しくて完全に忘れていました。老化現象?


 ところで、毎年、悩むのですが……
 「○周年」という言い方、この定義が良く分かりません。
 もちろん、「1周年」というと丸1年経過した時に使うのですが、「10周年」と言うと、どうなのでしょう?
 1周年に倣えば、「丸10年」で11年目に突入する時を指すことになります。
 しかし、世間一般では「10年目に突入した時」に使われているような気もします。

 気になったので、将棋界ではどうなのかを調べてみました。
 2009年に女流棋士誕生35周年記念パーティーに行ったのですが(その4その5その6その7その8その9その10)、この35周年は蛸島女流六段が女流棋士になってからカウントしたものだったと記憶しています。(1974年10月31日 女流棋士制度創設に伴い、女流三段となっている)
 女流棋士制度創設が1974年10月31日、このパーティーは2009年の5月なので、34年6か月ということになります。微妙ですね(笑)。ちなみに女流棋士発足40周年記念パーティーは2014年6月29日に行われています。

 スッキリしないので、国語辞典(旺文社)を引くと
「周年」………丸1年
「~周年」………「‥回めの年」の意を表す


エッ?………………………上記の2項目、矛盾していませんか???
 
 

 とにかく9年目に突入です。
 “突入”と言っている割には、ブログの更新がへたばっています。
 言い訳はたくさんあります。
・5月末に大きなイベントがあり、それにかなりの精力を消費した(婚礼や葬儀関係ではないです)
・梅雨入りは遅かったが、6月下旬から暑い日が続き、7月末辺りから既に夏バテ状態で、体調が悪かった(8月下旬に回復)
・羽生二冠の調子が思わしくなく、内容の悪い敗局が多く、そのダメージが蓄積した
・世界陸上などスポーツ中継が多かった
・仕事のストレスが大きい

 そんな状況でしたが、マイナス要素は徐々に回復、上昇気配です。
 書きたい記事が山積していますが、ぼちぼち書いていきたいです。

 今後ともよろしくお願いします。
コメント (4)
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希望の党の排除の理論 ~希望の党の本質~

2017-10-01 20:28:29 | 時事
希望の党党首 兼 東京都知事・小池氏
 「全員受け入れということは、さらさらない。
  入党希望リストをいただいており、そこを当方は絞り込みをする」


 “さらさらない”“絞り込みをする”……民進党に対する優位性を世間にアピールする意味もあるのだろうが、かなり強気で傲慢ささえ感じる言葉である。
 で、絞り込みの基準であるが、これについては、共産党の志位委員長が鋭く突っ込んでいる
希望の党の本性がはっきりしてきた。
 露骨な選別を始めた。
 その基準は安保法政と憲法改正に賛成すること。
 自民党の補完勢力としての姿がはっきり出てきた」


 もちろん、政策に統一性を持たせないと、“数合わせの烏合の衆”と見なされてしまうので、両党間の政策の調整は必要である。
 しかし、言われているように、基準が安保法政と憲法改正となると(他の要素はどうでもいい?)、“自民党の補完勢力”と言われても仕方がないのではないだろうか。
 もっとも、小池氏にすれば、そういう批判も想定内かもしれない。臨機応変な対応が上手(世渡り上手)な小池氏のことだから、選挙結果が自民党が優位を確保した場合、自民党にもすり寄れるような布石を打っているとも考えられる。



 細野・元環境相がやたらとスポークスマン的に登場する
「三権の長を経験された方については、ご遠慮いただいた方がいいのではないか」
「今回は久々に政権選択の選挙になった。
 安倍政権、自民党を選ぶのか?希望の党を選ぶのか?そういう選挙にしたい
 実質的に野党第一党としての地位を確保した中で次を狙うということになる
 どこまでいけるかという数を積み上げている状況です」

とか、発言しているが、最初のコメントに個人の遺恨を感じるのは私だけか?
 “久々の政権選挙、数を積み上げている状況”云々のコメントの際、顔が緩んでいたが、「あなたがそれを言える立場か?」
と言いたくなった 


 希望の党と連携することになった「日本維新の会」はマニフェストを決定
 ・消費税率引き上げの凍結
 ・教育の無償化
を掲げた。
 そのための財源は国会議員の定数や報酬を3割削減するなど身を切る改革で捻出


 身を切る改革だけで財源の補てんができるのだろうか?しっかり算出したのだろうか?政党助成金も3割削減するのだろうか?
 定数削減による一票の格差はどうなるのだろう?人口の少ない県の定数は1になるのだろうか?

 国民受けの良いマニフェストを作成したように思えるが… 
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