「その1」、「その2」 、「その3」 の続きです。
図は羽生王座が7八の金を6八に寄せて5筋に利かせたところだが、見た目同様、完全に受け切ってはいないようで、△3六角や△1四角や△4七角が厳しそう。さらに、△8四角の攻防手もある。やはり▲8四角と打ったほうが良かったのではないか……
中村六段が長考に沈む……30分、40分………有力手がたくさんあり、比較しているのだろう。時間もたっぷりあり、ここは腰を据えて考えるところだろう。……
………1時間39分後に指された手は、上記のどの手でもなく△7一歩だった。
局後の感想では「△8四角をやりたかったのですが」とある。
△7一歩と埋めることにより、先手の▲7一飛を消している。やはり▲7一飛の飛車打ちは後手にとってはかなりの脅威で、その手を消しておいて次に攻めようという手だ。それに、飛車の王手による合駒(角か金か銀)を消費させられることもなくなった。
しかし、▲6八金(完全な受けではないが5筋をカバー)と△7一歩(飛車打ちを消した)と互いに守りの手を指したが、どちらがより効果的なのかは微妙だが、2手前の局面と異なる点がある。それは先手の詰めろが一応解消されていること(かなり危険な状態ではあるが)。△7一歩は実戦的な手だが、最善手ではなかったようだ。
▲9五角と先手に攻めのターンが回ってきた。
△7三銀に▲8二銀の追撃で、先手に風が吹いてきた感があるが、強く△9四歩と攻めの根元の9五の角を攻められると忙しい。先手玉が危うい状態なので、安易に角を切ることができない。角を逃げる余裕もなさそうだ。
以下▲7一銀成と詰めろで迫るが、△4一玉とかわされて、継続手が難しい。
「以下▲2二桂成△同金▲2三歩成(▲3二銀からの詰めろ)に△3七角と打診する手がある。そこで▲3八玉なら△2六桂の王手で先手の飛車筋を止める」(棋譜中継解説より)←▲3八玉ではなく▲5八玉と逃げるのは、以下△2三金▲2四歩△2二金▲8六角△2八歩で先手が苦しい)
戻って、▲8二銀のところ、巷(elmo)では▲5五銀で先手も頑張れると言われていたようだ。
▲5五銀は△5五同銀と取らせて(銀が先手玉から離れる)、その間に攻めようという手だ。しかし、放置して△4七角や、△3七角とか△4七金と決めてから△5五銀と手を戻される手もあり、どう指されてもやや苦しそうで、ちょっと指す気になれない。5五に銀を打つ発想さえ浮かばないかもしれない。“人の手”ではなく“コンピュータの手”である。
(「その5」に続く)
図は羽生王座が7八の金を6八に寄せて5筋に利かせたところだが、見た目同様、完全に受け切ってはいないようで、△3六角や△1四角や△4七角が厳しそう。さらに、△8四角の攻防手もある。やはり▲8四角と打ったほうが良かったのではないか……
中村六段が長考に沈む……30分、40分………有力手がたくさんあり、比較しているのだろう。時間もたっぷりあり、ここは腰を据えて考えるところだろう。……
………1時間39分後に指された手は、上記のどの手でもなく△7一歩だった。
局後の感想では「△8四角をやりたかったのですが」とある。
△7一歩と埋めることにより、先手の▲7一飛を消している。やはり▲7一飛の飛車打ちは後手にとってはかなりの脅威で、その手を消しておいて次に攻めようという手だ。それに、飛車の王手による合駒(角か金か銀)を消費させられることもなくなった。
しかし、▲6八金(完全な受けではないが5筋をカバー)と△7一歩(飛車打ちを消した)と互いに守りの手を指したが、どちらがより効果的なのかは微妙だが、2手前の局面と異なる点がある。それは先手の詰めろが一応解消されていること(かなり危険な状態ではあるが)。△7一歩は実戦的な手だが、最善手ではなかったようだ。
▲9五角と先手に攻めのターンが回ってきた。
△7三銀に▲8二銀の追撃で、先手に風が吹いてきた感があるが、強く△9四歩と攻めの根元の9五の角を攻められると忙しい。先手玉が危うい状態なので、安易に角を切ることができない。角を逃げる余裕もなさそうだ。
以下▲7一銀成と詰めろで迫るが、△4一玉とかわされて、継続手が難しい。
「以下▲2二桂成△同金▲2三歩成(▲3二銀からの詰めろ)に△3七角と打診する手がある。そこで▲3八玉なら△2六桂の王手で先手の飛車筋を止める」(棋譜中継解説より)←▲3八玉ではなく▲5八玉と逃げるのは、以下△2三金▲2四歩△2二金▲8六角△2八歩で先手が苦しい)
戻って、▲8二銀のところ、巷(elmo)では▲5五銀で先手も頑張れると言われていたようだ。
▲5五銀は△5五同銀と取らせて(銀が先手玉から離れる)、その間に攻めようという手だ。しかし、放置して△4七角や、△3七角とか△4七金と決めてから△5五銀と手を戻される手もあり、どう指されてもやや苦しそうで、ちょっと指す気になれない。5五に銀を打つ発想さえ浮かばないかもしれない。“人の手”ではなく“コンピュータの手”である。
(「その5」に続く)
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