英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

スペシャリスト 第6話

2016-02-19 22:50:09 | ドラマ・映画
リスクの大きい殺人だった

 15年前に友人の曲を盗んだうえ、殺害していた世界的ピアニストの雨宮薫(矢田亜希子)。
 それの露見を防ぐため、恩師を殺害し、親友の息子も手に掛けようとした……


 演じた矢田亜希子さんと言えば、かつては「清楚なお嬢様」のイメージが強かった。それゆえ、主役(ヒロイン)には向かないようで、主役の“当て馬的恋人”が多かった気がする。
 最近は、聖女的イメージの裏で、ダーティな要素を見せる悪女が多いようだ。そんなわけで、幾重ものどんでん返しを好む『スペシャリスト』で、彼女が世界的ピアニスト役を演じれば、≪裏で悪事を働いている≫≪黒幕は彼女だ≫と先読みしてしまう。
 『スペシャリスト』なら、それを逆手に取って、≪いい人だった≫というオチにして欲しかった。

 まあ、それはさておき、リスクが大きい殺人だった。
 自分の心にやましいところがあるため、恩師の親心を、過去の秘密を知られたと思い込み、自分のストーカーを利用して殺害を果たす。
 彼女のさもしい心、寂しい人生だが、盗聴されていたのを利用し、ストーカーに恩師の殺害に誘導するという巧妙な手口。ここでやめておけば、彼女の殺人教唆の立証はおろか、疑いさえ持たれなかったのではないだろうか。

【恩師殺害の現場に自分の楽譜を置いた理由】
1.殺害した親友の息子を探し出すため、
2.≪殺害現場に足が付く証拠を、敢えて残す犯人なんていない≫(by姉小路)という盲点


 という理由があるが、殺害犯は無造作に現場に指紋を残したが、楽譜には指紋が付着していなかったことから、≪黒幕がいる≫という疑いが強く、「薫の楽譜→薫が黒幕」という短絡的結論は出ないにしろ、捜査線上に上がるリスクは、上記の2つの理由を容易に覆せる大きなリスクである。
 そんな危険を冒さずとも、親友の息子を探し出すことはできたはずだ(ドラマ中では、“短期間では困難”とされたが)


 さらに、
自らの手で親友の息子を殺害するという大きなリスク
 殺害を実行することそのものがリスクが大きいが、今回疑問に感じたのは
≪15年前の殺人と盗作は、今となっては何とでも言い逃れできる気がする≫ということ。
 善人曰く
「親友の才能を受け継いだ仁君はどうしても自分の手で殺したかった。
 しかも、親友と同じ場所でね」

 常人には理解不能な理由だが、そのため、薫は超能力並の能力を発揮しなければならなかった。

 養護施設から気を失わせた仁(大学生)を、どうやって運び出したのか?
 どうやって、雑居ビルの屋上へ運び、どうやって柵の外に置けたのか?
 しかも、白昼に。


 テレポーター並みの能力である。



 それにしても、屋上で仁にナイフを突き立てて脅している状況で、
しかも、善人たちに「近づいたら殺すわよ」とさらに脅す……

 「案外、往生際が悪いんだねえ」と指摘されても、ナイフをを放さず、善人に一通り講釈をさせて、ようやく、ナイフを落とすのは往生際悪過ぎ。仁に相当な憎しみを抱いていたのなら理解もできるが、ここまで、いろいろ苦労して積み上げたミステリーを、ぶち壊す間抜けな図であった。
 『聖者のレクイエム』に隠された暗号を善人に語らせるシーンが欲しかったのと、隠された暗号が分からない薫に対して「この曲の本当の意味を知らないあんたは、偽物以外の何者でもない」という決め台詞を言わせて、薫にナイフを捨てさせたかったのだろう。


【ストーリー】番組サイトより
 背中から刃物でメッタ刺しにされ、遺体の側には楽譜が置かれている、という奇異な殺人事件が発生し、宅間善人(草剛)らのもとに捜査資料が持ち込まれてくる。
 置かれていた楽譜は、日本を代表する世界的ピアニスト・雨宮薫(矢田亜希子)が作曲した代表曲『聖者のレクイエム』のものだった。楽譜の上には彼女のサインがされていたため、姉小路千波(南果歩)たちは、楽譜が本人のものなのかどうか、確認をすることに…。ドイツを拠点に活動する薫だったが、ちょうど1カ月前に凱旋を果たし、東京に滞在していた。数日後にはまたドイツに戻るという薫に、さっそく宅間と我妻真里亜(夏菜)が、楽譜の件と被害者の男性・桑原武彦(菊池均也)との関係について捜査に出向く。

 桑原との関係は否定したものの、置かれていた楽譜は自分が使っていたもので、一週間ほど前から紛失していたと認めた薫。総合事犯対応係(仮称)の面々は、楽譜は桑原が盗んだのではないかと推測するが、宅間はひとり「楽譜の中に暗号めいたものが隠されているのではないか」と異論を唱える。
 実際に、音楽に詳しい野方希望(和田正人)の解釈に従いながら『聖者のレクイエム』の暗号を解いていくと、“DEAD BECCA”という文字が隠されていることが判明!薫によって15年前に作られたこの曲と、暗号にはいったいどのような関係があるのか、宅間たちは関連を調べ始めるが…?

 やがて、薫の昔の友人に“BECCA”というニックネームの女性がいたこと、そしてその女性・渡辺麗香(植田麻友美)は15年前に自殺してしまっていたことがわかる。
 さらに、被害者の桑原が元音楽教室の講師で、薫はその教え子だったことも明らかに…!

 再び事情を聞きに来た宅間たちに薫は、桑原との関係、そしてここ最近自分の周囲に現れていたストーカーの存在について語る。そして自殺した麗香には、その当時3歳だった息子・渡辺仁(平岡拓真)がいたこともわかり…。

脚本:徳永友一
監督:細川光信
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第65期王将戦第4局 ~郷田王将、格調高く勝つ~

2016-02-18 19:31:14 | 将棋
第65期王将戦七番勝負第4局は、郷田王将が勝って2勝2敗のタイに戻した。
(第5局は、3月13・14日(日・月)。一ヶ月近くも間が空く)


 羽生名人が突撃して、郷田王将がしっかりそれを受け止め、最後に一刀両断した。
 時折見られるが、「羽生名人が課題(疑問)と思っている局面を、実際に指してみてその是非を確認した」という印象を受ける将棋だった。
 強引に、あるいは単純に攻め、細い攻めが切れ気味になり、最後に反撃を喰らうパターンが多く、本局もその例に加わった。

 検証するのに、正攻法で妥協しない郷田王将はうってつけの相手。
 羽生ファンには残念だが、攻めを見切られ、正確な寄せで、紛れる余地がなかった。




 通常、7筋を突き捨ててから(1筋の突き捨てを入れることもある)▲4五銀と指すところ、単純に▲4五同銀と取ったが……
「1日目の新手(41手目・4五同銀)はこういう手もあるかなと考えた手だが、その後は駒損が次第に響いた。もう少し粘る手がありそうだったが、最後は全くダメになった。」
(羽生名人)


 以下、△4五同銀▲同桂△4四銀▲7一角△8一飛と進み、羽生名人の予定はここで▲4一銀だったらしい。


 しかし、△3七銀▲4七飛△4六歩▲3七飛△4一玉▲8二銀△7一飛▲同銀不成△2八角で自信がなく、予定を変更したようだ。(中継解説・局後のコメントより)
 実戦は△8一飛にすぐ▲4一銀(予定図)と打たず、▲5三桂成△同銀を入れて▲4一銀と打ち、△4三銀と郷田王将が受けて羽生名人の封じ手となった。


 封じ手には▲4四歩と▲5二銀成が挙げられ、どちらも難しそうと言われていた。
 しかし、角も銀も当たりが掛かっており先手の攻めが急かされており、先に桂を捨てていることを合わせて考えると、この先、先手の攻めが細くなるような懸念を感じた。

 封じ手は▲4四歩。
 以下△4一玉▲4三歩成△同金左に▲5三角成と角を切り(角銀交換)、△5三同金左に▲6二銀と打つ。


 次に▲5三銀成の厳しい狙いがあるが、この時点で銀と角桂の交換の先手の駒損となっており、後手の持ち駒は角2枚に銀桂歩(2枚)と豊富。
 後手に反撃が回るとひとたまりもないので、緩い攻めが許されなくなっている。
 後手としても間違えると一気に持っていかれるので気は抜けないが、手ごたえを感じていたのではないだろうか。
 ここで、「固く受けるなら△4四歩(▲7二銀△8二飛▲7三銀成と寝技に持ち込まれる)だが、郷田王将なら△2二玉」と千田五段は予想(他に△5二玉、△4二銀、△4七歩も考えられた)。
 △3二玉は≪先手の飛車で攻められるのは怖くないよ≫と、真正面から攻めを受け止める強い手だ。
 郷田王将が“正統派”“格調高い”と讃えられる所以である。


 攻めを緩められない羽生名人は、△3二玉に▲5三銀成△同金▲2二金△同玉▲4二飛成と、金を捨てて強引に飛車を成り込む。

 以下△3二銀に▲5三龍と金を取り返すが、龍はイマイチの位置で金と角桂の交換と駒損のまま。手番も後手に渡り、非勢がはっきりした。

 ▲4五同銀(第1図)以降この▲5三龍までに、変化する手はいくつかあったが、どの変化も思わしくないようだ。ただ、勝手な私の憶測だが≪この際、“一番露骨に攻めた局面がどうなのか”、実戦で確かめてみよう≫という思いがあったのではないだろうか?

 手番を得た郷田王将は△8六歩▲同銀△8八歩と反撃を開始。△8八歩は▲同玉と取らせて△8四桂を効果的にしたり、△6九銀を可能にしている。
 ただ、この△8八歩には、手抜きで▲4二金の勝負手があった。
 以下△8九歩成▲同玉△4一金▲同金△同飛に、(1)▲4二歩は△7一飛▲4一銀△3一金▲3二銀成△同金▲4一銀に△3一金で攻めきれない。(2)▲4二金は有力で△同飛▲同竜に、△4一金は▲8二竜△4五角に▲4二歩で先手有望。△4一金では△3一金と受けて、以下▲8二竜△4五角▲7一飛△4一歩▲7三飛成(変化図2)は、まだまだ大変とされた(中継解説・感想戦)。


 この勝負手を逃して以降も、金銀交換を甘受するなど、為すがままに応じる。
 ただ、▲4三歩は油断できない手。

≪間違えれば後手玉を詰ましますよ≫という手だ。8一の飛車の利きがなくなり(△8六飛と飛車切りを牽制)、先手の持駒が増えれば(厳しく攻めれば駒を渡す)、後手玉に詰みが生じる。

 しかし、郷田王将はしっかり読み切り、

 自玉の不詰めを見切り、ビシビシ攻め、飛車を切り、桂を捨てて、一気に寄せ切った。



 郷田王将らしい勝ちっぷりだった。
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今週の『相棒』ですが…

2016-02-17 23:33:17 | ドラマ・映画
今週の『相棒』ですが、
「機器を安定させるため、停止しました」
という表示が出ていて、録画が途中で終わっていました。

 幸いにも、福井県は土曜日にもオンエアされます。
 福井県には民放が2局しかありません(日本テレビ系列とフジテレビ系列)。
 それで、ケーブルテレビで石川県の「MRO(TBS系列)」「北陸朝日(テレビ朝日系列)を視聴しています。
 福井県のFBCは日本テレビ系列ですが、少しだけテレビ朝日枠があります。その少ない枠が土曜日の午後9時~11時までで、現在は『スペシャリスト』と『相棒』がオンエアされています。
 その余波で、日本テレビの土曜9時枠が、翌週の土曜の夕方に飛ばされます。また、相棒のスペシャルも枠が足りないので、忘れたころに放映されます。

 そんなわけで、今週の『相棒』の感想は、土曜以降になります。(待っている方は少ないと思いますが)
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第65期王将戦第2局 その6(終)「見切り」

2016-02-17 15:06:27 | 将棋
第65期王将戦第2局 その1「深謀遠慮の▲1八香」
第65期王将戦第2局 その2「手順前後の周辺」
第65期王将戦第2局 その3「郷田九段、驚愕の辛抱」
第65期王将戦第2局 その4「名人の飛車」
第65期王将戦第2局 その5「両取りが空振り?」の続きです。


 飛車も金も逃げられ、▲7二銀の両取りが空振りになったかと思われた第10図、ここで▲6三歩がすべてを見切った好手だった。


 阿久津八段曰く「地味なんですけど、こういうところが正確で速いですよね。代えて▲6三銀成は次の▲5二成銀のときに飛車を逃げられます。1手遅いように見えて、実は最短なんですよね」と絶賛。

 この後の進行は、互いが相手玉に迫る“棒倒し”の合戦。
 こうなってくると、羽生名人の緻密な飛車の動きで打たされた4三の歩が、飛車の動きを抑制しマイナスの駒になっているのが大きい。

 以下は指し手と図面を挙げるのに留める。

△6六歩▲6二歩成△6七歩成▲同飛△4二飛▲6三銀不成△5五桂▲6六飛△8五歩▲5二と(第12図)△8六歩▲5一馬(第13図)

 ▲5一馬が決め手。

△8七歩成▲同金(投了図)


6六の好所に角を打ちすえ後手玉のコビン攻めと9筋の端攻め、
緻密な飛車の動きで4三に歩を打たせ、
相手の攻めの速度を見切った▲6三歩。
……………水が流れるように指し手を進めた羽生名人の会心の一局だった。


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臨床犯罪学者 火村英生の推理 第5話「ショーウィンドウを砕く」

2016-02-16 19:07:53 | ドラマ・映画
「あどけない少年の純粋な殺人への興味。
きっと少年はこう答えるだろう、”人を殺してみたかった”。
あなたにもわかるはずだ。あなたは“人を殺したい”と思ったことがある」
「ああ」
「あなたは、こっち側の人間だぁ。なぜ、まだ、そっちにいる?」
「俺は犯罪者が憎い。
 そこにどんな理由があろうと、理性の縁から落ち、そっち側に行ってしまう犯罪者が」

と、冒頭でシャングリラ十字軍の指導者・諸星沙奈恵とのやりとりで、珍しくビシッと決めた火村だったが……
   …………「バカだよ。彼女が鍵を失くしたと騒いだ日に犯ってしまえば良かったんだ。決行が1日遅かったな」と犯行が発覚した夕狩に告げ(テレパシー?)、火村犯行の妄想シーン



宅麻伸がゲストでしかも犯人役。さらに、やる気満々?の完全犯罪……の割には、簡単に看破されてしまった。
しかも、朱美(山本美月)から相談もあり、事件に割かれた時間も短かかった。


 原作がどうかは知らないが、倒叙型で進められた。
 倒叙型は、最初に殺人シーン、時には動機なども描写される。『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』がこのタイプで、状況や証言の矛盾などを指摘し、犯人をじわじわ追い込む家庭の推理や、最後にぐうの音も出ないような証拠を提示するラストの鮮やかさが見所となる
 他の人はどうかはわからないが、犯人に感情移入をしてしまい、犯人と同様に追い詰められた気持ちになるので、あまり好きではない。犯人にスポットを当ててみる視聴者が多いと思われるので、「今回のように尺が短い事件でも、宅間伸の顔が立つ」という理由があったかどうかは、わからない。

★夕狩正比古(宅麻伸)のミス
1.スペアキーまで持ち去る必要はなかった
2.実は愉良はブランドショップの店員に「鍵を失くし大騒ぎしたが、自分の勘違いだった」と話していた。紛失騒動の日に犯行を実行すべきだった。(珍しく小野刑事が活躍…聞き込みの成果)
3.強盗の居直り殺人に見せかけるため、愉良の部屋から金品を奪ったが、宝飾品は処分したものの、現金は自分の懐に入れてしまった。その千円札(新札)に店員と愉良と夕狩の指紋が付いており、決定的な証拠となった。
4.恋人で遺体の第一発見者という筋書きは、疑われる危険性が大きい
5.宝くじには手を付けなかった(合理主義とも考えられる)
6.靴を脱いで部屋に入っている(顔見知りの犯行。あるいは用心深いとも考えられる)
7.強盗犯なら夜間の犯行はおかしい
8.パスカードには使用履歴が残り、犯行当日の足取りがばれてしまう

 完全犯罪のシナリオを作り、セリフまで練った夕狩であったが、割と簡単に撃沈。会社は倒産させるし、良いところなしの宅間さんだった。(鑑識係に「目先の小金を優先して、その先の大金の可能性を捨てるとは、犯人が経営者なら失格や」と言われてしまうし)
 しかも、嫉妬心・独占欲などの痴情のもつれや保険金目当てなどのはっきりとした犯行動機はなかった
 「世間には異常な犯罪者や犯罪予備軍が溢れている」という“向こう側(諸星)”の主張を示唆するためかもしれないが、明確な動機を持たない犯行が続くと、陰鬱な気分になる。
 火村の異常性も時折描かれているが、原作もこういう世界観なのだろうか?

 次回は、夕焼けシーンでずっと引っ張ってきた朱美のトラウマの因となった事件の捜査。

【ストーリー】番組サイトより
 ある日、火村(斎藤工)は、朱美(山本美月)から相談を受ける。火村が准教授室に朱美を迎え入れて話を聞こうとすると、部屋に差し込む夕陽を怖がる朱美。そんな朱美の様子から、彼女の火に対するトラウマを言い当てる。
 朱美は、15歳の時に暮らしていた親戚の家が放火で焼け落ち、叔父が火だるまになって死んでいくのを目の当たりにしたことを打ち明ける。
 朱美の相談とは、2年前に知人が殺されたのだが犯人が分からず、事件が迷宮入りしそうなのだという。事件の概要を聞いた火村は興味を持ち、調べることを朱美に約束する。

 そんな中、タレントの愉良(小島梨里杏)が自宅で殺された。遺体の第一発見者は、愉良の所属事務所の社長で恋人だった夕狩正比古(宅麻伸)。火村とアリス(窪田正孝)は、事件現場へ向かい、正比古から話を聞く。
 正比古によると、愉良の部屋を訪ねたが応答がないので合鍵を開けて入ったところ、ソファで愉良が死んでいたのだという。部屋の中は、荒らされていた。
 部屋の鍵は、愉良本人が持つ2つと正比古が1つ持っており、全部で3つ。愉良は、殺される2日前に鍵を落としていた。その鍵を拾った何者かが侵入して愉良を殺し、金品を奪った強盗殺人と見られた。

 しかし実は、愉良を殺したのは、正比古だった。正比古が愉良を殺した動機とは?
 完璧に見える正比古の犯罪を、火村とアリスはどのように解き明かしていくのか!?



原作:ショーウィンドウを砕く(「怪しい店(KADOKAWA)」収録)

脚本:マギー
演出:佐久間紀佳
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第65期王将戦第2局 その5「両取りが空振り?」

2016-02-15 22:19:27 | 将棋
第65期王将戦第2局 その1「深謀遠慮の▲1八香」
第65期王将戦第2局 その2「手順前後の周辺」
第65期王将戦第2局 その3「郷田九段、驚愕の辛抱」
第65期王将戦第2局 その4「名人の飛車」の続きです。



第8図は▲6三歩と金頭を叩いたところ。
「玉のコビン攻め(▲6六角~▲3四歩)」「端攻め(▲9四歩)」に続く第三弾の攻めだ。

 この手に対し、郷田王将は△6三同金と応じたが、検討陣は△7二金と辛抱すると見ていた。
 △7二金以下は▲6五銀△同桂▲7三銀△同金▲同角成(変化図7)までは、ほぼ一本道。

 ここで、△6六歩なら▲6二歩成△6七歩成▲同飛△6九銀▲6三馬△7八銀成▲同玉△6八金▲同飛△同馬▲同玉△5六桂▲6七玉(変化図8)が想定され、

 ここで、△3三銀や△3三桂と後手玉の延命を図り、飛金銀の持駒で先手玉に迫る手があるかどうか。
 また、変化図7で△6九銀もあり、以下▲7九金△5八銀成▲6二歩成△6八成銀▲同金上(変化図9)が想定される。

 変化図8も変化図9も先手が良さそうだが、本譜の△6三同金以下の進行を考えると、△7二金と辛抱すべきだったらしい。郷田王将も「△6三同金は淡泊でしたね。当然△7二金とするべきところでした」と感想戦で述べ、羽生名人も「それなら大変でした」と同意していた。

 という感想戦の結論だったが、対局中の中継解説を読む限り、検討陣は「△6三同金▲6五銀△同桂▲7二銀(第9図)で悪い」と深く考えていなかったように感じる。

 飛車金両取りが綺麗に掛かったが、以下第10図まで進行すると、△5四金と角取りで金を逃げられ、▲7三角成に△4一飛と逃げられ、▲7二銀が空振りになってしまったように見える。それに、手順に6五に桂を跳ねさせた後の▲7三角成は空成り。さらに、▲9四歩も置き去りの感がある。

 しかし、次の一手が阿久津八段を感心させた好手だった。
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V・プレミアリーグ ファイナル6 久光製薬はなぜ勝てない

2016-02-14 21:36:23 | スポーツ
セット終盤失速する久光製薬スプリングス
全日本のエースの長岡、準エース級の石井、4年間代表を務めメダリストの新鍋、元全日本の岩坂(2009、11~14年)、古藤(2014~15年)座安(2011年)、と全日本級のメンバーを揃えた久光製薬、レギュラーシーズンは2位であったが、ファイナルステージ・ファイナル6では3連敗と不振にあえぎ、ファイナル3への自力進出がなくなった。



 原因はいろいろ考えられる。
1.監督・中田久美
 チームビジョンは確固たるものを持っている。
 ただ、長年全日本のセッターを務めてきた故、レベルの高いプレーヤーに接してきて、自然と目指すプレーも高等なものになっている。選手もそれを感じ、それに応えようとするが、監督を恐れている雰囲気がある
 なので、勝っている時、調子の良い時は良いが、負けている時はかなり雰囲気が悪く、セット終盤はビビり気味になる。最低6位までに入ればよい(持ち点には差が出るが)レギュラーシーズンは良いとしても、勝ち負けが大きいファイナル6ではプレッシャーが大きくなる。
 この試合もセット終盤では手が縮こまり、競り合いになると勝つ気がしない

2.セッターが不安
 今日の試合は、正セッターの古藤が体調不良。
 代わりに中大路が初先発。緊張が見られたが、それでも何とかトスを上げる。ミスやスパイカーとの息が合わない場面は少なかったが、苦しい場面ではスパイカーを支える余裕はない。相手チームのセッター・藤田と比べると、トスの安定感や、トス回しの巧みさで劣る。(仕方ないかも)

3.弱気な石井
 今日の試合に限らず、石井は充分なトスが上がらないとフェイントや軟打で逃げ、相手のチャンスボールにしてしまう。見方が拾ってつないだボールを、打ち切らずに逃げてしまったのでは、チームの士気も上がらない。
 ポテンシャルが高いだけに残念。



成長するトヨタ車体クインシーズ
 ファイナル6に滑り込みの進出を果たしたトヨタ車体だが、ギリギリの戦いを勝ち抜くなかで成長した。エース、キャプテン、セッターとチームの軸がしっかりしている


1.大エース・ポリーナ
 強烈なスパイクでチームを引っ張る。
 苦しいトスでも打ち切ってくれ、競った場面でも何とかしてくれる頼りになる大エース。
 サービスエースやサービスで相手を乱すサーブも強烈。彼女のサーブの時は、1セット当たり4~5点は優位に立てる。

2.キャプテン・竹田
 うるさいほど声を出す。
 ここぞという時には気合で決めてくれる。
 競った時や苦しい時も、彼女のリーダーシップがチームを引っ張る。

3.セッター・藤田
 安定したトス捌き、的を絞らせないトス回し。コート上の司令塔。
 守備でも大いに貢献。


2月14日現在のファイナル6成績
1位 日立    2勝0敗 通算ポイント9(持ち点3・レギュラーシーズン3位)
2位 東レ    1勝1敗 通算ポイント8(持ち点5・レギュラーシーズン1位)
3位 NEC   2勝1敗 通算ポイント6(持ち点1・レギュラーシーズン4位)
4位 トヨタ車体 2勝0敗 通算ポイント5(持ち点0・レギュラーシーズン6位)
5位 久光製薬  0勝3敗 通算ポイント4(持ち点4・レギュラーシーズン2位)
6位 岡山    0勝2敗 通算ポイント4(持ち点2・レギュラーシーズン5位)
  3-0、3-1で勝てば勝ち点3、  フルセット勝利なら勝ち点2
  フルセット負けは勝ち点1、  0-3、1-3での負けは勝ち点0

 なぜか、NECと久光のゲーム消化数が多く、順位が分かりにくい。
 日立と東レは「ファイナル3」への進出は堅そうだ。
 残り2試合しかない久光は実質最下位。自力進出はなくなり相当厳しい状況。とにかく、残り連勝が必須。
 NECはリーグ表では3位だが、1試合消化が早いので微妙。トヨタ車体とNECの直接対決を制した方が“ファイナル3”進出するだろう。岡山も可能性が残されているが、現1位日立、現2位東レを残しており、地力のある久光も嫌な相手だ。レギュラーシーズン1~3位相手なので、厳しそうだ。
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スペシャリスト 第5話

2016-02-14 12:22:28 | ドラマ・映画
善人が巻き込まれた脱出ゲーム
 実はターゲットは善人……服役中の善人に不正を見破られ逆恨みした元刑務官の復讐劇
 さらに、脱出ゲームの裏に黒幕……過去の殺人の証拠(ヒント)になる映画の上映を阻止を目論んだ
という二重構造、さらに、黒幕は過去の殺人の真犯人を庇っていた?らしいというオチ


 暗号(解除キー)解読や犯人の心理なども絡め、てんこ盛りの要素が複雑に絡み合う面白いストーリーだった……はずだが、突っ込みどころも多かった。スルーするのが、このドラマの正しい鑑賞の仕方だと思う。まあ、私の性格と思ってご容赦ください。

下衆過ぎる復讐犯
1.まさに逆恨み
 “逆恨み”もいいところで、もともと服役囚に煙草を供与したのを服役囚達に脅され下僕扱いをされたこと。そもそも、服役囚に自分の靴を舐めさせた行為自体、身分を勘違いている。
 「煙草を供与したのが服務規程違反」が脅しのネタであるが、おそらく“注意(訓告”ぐらいで留まる服務規程違反のように思え、その後の仕返し状況と比べると、どうすればいいか判断できそうなもの。
 その後、服役囚のボスから庇ってもらうようになり地獄の日々から解放されたとのことだが、そのボスに便宜を図らなければならなくなり、重度な服務規程違反を繰り返すことになり、深みに嵌っただけである。その違反を善人に見破られ、逆恨み。まさに逆恨みである。
2.幼稚
 解除キーが「I am a Loser」で、それを善人が解いてそれを打ちこませたことで、≪善人に“私は負け犬です”と言わせた≫と勝ち誇るって、≪お前は小学生か!≫
3.身勝手
 何の関係もない人を巻き込む。特に、デモンストレーションで毒液を掛けられた人は、訳もわからず命を奪われ、気の毒としか言いようがない。
 この元刑務官が主犯であれば、もう少し同情の余地のある行動を取らす脚本になると思うが、使い捨てキャラ扱いなので已む無しか

下衆な割には有能な復讐犯
 解除キーの暗号はよくできていたし、“脱出ゲーム”の企画力(時限ガス爆弾、出口封鎖、館内音響ダウン、携帯電話不能システムの利用)はなかなかのモノ。進む方向を間違えたのではないだろうか(下衆な奴だが)

黒幕の計画には穴が
 おそらく、多くのレビュアーが突っ込んだはず、「防毒マスクを使って自分だけ助かっても、防毒マスクを用意していたことをどうやって申し開きするのだろう?」と。
 実行犯を説得して、デモンストレーション殺人はやめさせ、毒性も低いガスを使用させるべきだった。

 監督に過去の殺人を勘付かれた時点でアウト。トイレで殺害すれば足が付くし、脱出ゲームを利用して殺害しようとすれば、ゲームが始まった時点で、黒幕を問い詰めだすだろうし。

底が浅い脱出ゲーム
 二重、三重構造だったため、脱出ゲームは底が浅かった。
 見物するベストポジション(見物したいという犯人の心理)と善人の記憶力で、実行犯が判明してしまったのは残念。こういうストーリー特有の≪誰が犯人なんだ?≫という推理劇がなかったのが物足りない


【ストーリー】番組サイトより
 人気俳優・藤村毅(神尾佑)が主演する映画の完成披露試写会・舞台挨拶の当選チケットが宅間善人(草剛)のもとに届く。「応募した覚えはないのに…」と言いつつ、姉小路千波(南果歩)とともに会場へ向かう。
 監督の武田健吾(山崎大輔)と藤村による冒頭の舞台挨拶も済み、試写が始まってまもなくすると、突然スクリーンの映像が消え、『執行の時がきた。敗者は死をもって罰せられる』という文字が浮かび上がる。
 続いて16,68,13と3つの謎の数字が映され、会場が明るくなった瞬間、観客の中に死んでいる人物がいることが判明。亡くなった観客が座っていた座席の下には不気味な液体が置かれており、それはどうやら時限式に毒ガスを発生させる装置のようだった!
 パニックに陥った観客たちは一目散に出口の扉へと走るが、再びスクリーンに映しだされた『扉を開ければたちまち死の雲に覆われ全ての命が失われる』という文字が!扉に仕掛けられた毒ガス発生センサーを見た宅間は、あらためて事態の深刻さを認識するのだった。

 通信抑止がかかり、外部とコンタクトが取れなくなったままの会場に閉じ込められた観客たち。宅間が16,68,13という文字の謎を解こうとする中、藤村のマネジャー・山本美沙(広岡由里子)の口から、ここ数カ月の間、藤村宛に先ほどのスクリーンの文字と同じ文面の手紙が送られ続けていたことが明かされる。映画の上映を巡って、監督の武田とトラブルになっていた、と話す山本。そんな中、たまたま千波の携帯電話を届けに来た松原唯子(芦名星)は、施設内の男子トイレで武田が殺害されているのを発見する!
 防犯カメラを使い、会場内の千波たちの様子を知った唯子は、堀川耕平(平岡祐太)、我妻真里亜(夏菜)を呼び、閉じ込められた観客たちの身元を洗い出し始める。すると、出席者リストの中には宅間の名前はなく、何者かが意図的に宅間をこの会場に来るように仕向けたのではないかという疑惑が。探っていくと、そこには宅間の過去にまつわる衝撃的な事実が隠されていた…!

 一方、会場の中の宅間と千波は「この中に犯人がいる」と確信していた。劇場型犯罪者である犯人は、パニックに陥る観客を間近で見たいという願望があるのだと推測する。

 毒ガスが仕掛けられた会場に閉じ込められた宅間と千波。会場の外にいる唯子たちは、ふたりと観客を救い出すことはできるのか!?

脚本:徳永友一
監督:及川拓郎
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面目ござらぬ(桂馬の詫び) ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2015年12月号

2016-02-13 23:17:08 | 詰将棋
『将棋世界』2015年12月号掲載、中田七段詰将棋コーナー(第5問)です。

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第65期王将戦第2局 その4「名人の飛車」

2016-02-12 21:32:26 | 将棋
第65期王将戦第2局 その1「深謀遠慮の▲1八香」
第65期王将戦第2局 その2「手順前後の周辺」
第65期王将戦第2局 その3「郷田九段、驚愕の辛抱」の続きです。


 第5図の△3一玉はあのあの森下九段に「この手は指せない」と言わしめた驚愕の辛抱。▲3四歩に△2二銀と下がらされるのは相当な屈服。後手を引きながら壁銀になる後手に対し、先手は歩を取りながら3四に歩の拠点を作る。このプラスマイナスはとてつもなく大きいと思える。
 郷田王将がここまでの辛抱したのは、桂得と馬の存在に期待しての事だろう。

 しかし、次の一手が厳しかった。▲9四歩!
 △9四同歩なら▲9二歩△同香▲9三歩が厳しい。6五を攻められると当たりの強い6六から角を打ったのは、このためだったのだ。
 ▲9四歩にかまってられない後手は、△3九馬と頼みの馬を働かす。

 先手の飛車を封じることができれば、壁銀のマイナスも相殺される。さらに、この馬寄りには、郷田王将の秘めた希望が込められていた。

 先手の羽生名人、できれば飛車は4筋で頑張らせたい。しかし、4七や4六だと飛車が馬に苛められる手が嫌味なので、▲6八飛と穏便に指し、9筋突破の利で優位を確保する手も見える。
 羽生名人の飛車、縦に動くか、横に動くか……
 ……縦に動いた。しかし、行き先は4七や4六ではなく、もっと上だった。▲4四飛!
 先ほどの郷田王将の辛抱に驚いた森下九段であったが、この▲4四飛にはもっと驚いたという。
 ▲4四飛以下、△4三歩▲4六飛△2八馬▲4八飛△3七馬(第7図)と進む。

 ▲4四飛で4六に逃げても、△2八馬▲4八飛△3七馬と進む。羽生名人は▲4四飛として敢えて先手で4三に歩を打たせたことになる。(第6図と第7図の違いは、4三の歩の存在と後手の馬の位置)
 4三に歩がなければ、▲4四桂の厳しい手が残る(後に桂馬が手に入る可能性大)……傍目には、「飛車が逃げ回り、後手玉を固めさせた挙句、6筋に退却する羽目になった」ように見えるが、郷田王将の秘めた希望を打ち砕く動きだったのである。
 9筋に火の手が上がっている現状、その火の手が飛車にも及ぶことが目に見えている。郷田王将の秘めたる狙いは、先手の手に乗じて、飛車を4一に転回し成り込みを計ることだったのだ。しかし、自らの4三の歩が、それを阻止している。

 ここまで羽生名人の飛車は、▲4七同飛(△3八角を打たれてもかまわない)、▲4八飛(手順に桂馬を取らせる)、そして、▲4四飛を含めた飛車の逃げ方など、実に精密な指し回し。
 私などは「馬で追い回される飛車」は嫌いだ。飛車側は先まで読んで、慎重に1手目から飛車の逃げ場所を精査しなければならない。対する馬側は、飛車の逃げ場所を見てからその後の手を決めればよい。(プロは違うと思うが)

 まさに“名人の飛車”だ
 
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