英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

スペシャリスト 第6話

2016-02-19 22:50:09 | ドラマ・映画
リスクの大きい殺人だった

 15年前に友人の曲を盗んだうえ、殺害していた世界的ピアニストの雨宮薫(矢田亜希子)。
 それの露見を防ぐため、恩師を殺害し、親友の息子も手に掛けようとした……


 演じた矢田亜希子さんと言えば、かつては「清楚なお嬢様」のイメージが強かった。それゆえ、主役(ヒロイン)には向かないようで、主役の“当て馬的恋人”が多かった気がする。
 最近は、聖女的イメージの裏で、ダーティな要素を見せる悪女が多いようだ。そんなわけで、幾重ものどんでん返しを好む『スペシャリスト』で、彼女が世界的ピアニスト役を演じれば、≪裏で悪事を働いている≫≪黒幕は彼女だ≫と先読みしてしまう。
 『スペシャリスト』なら、それを逆手に取って、≪いい人だった≫というオチにして欲しかった。

 まあ、それはさておき、リスクが大きい殺人だった。
 自分の心にやましいところがあるため、恩師の親心を、過去の秘密を知られたと思い込み、自分のストーカーを利用して殺害を果たす。
 彼女のさもしい心、寂しい人生だが、盗聴されていたのを利用し、ストーカーに恩師の殺害に誘導するという巧妙な手口。ここでやめておけば、彼女の殺人教唆の立証はおろか、疑いさえ持たれなかったのではないだろうか。

【恩師殺害の現場に自分の楽譜を置いた理由】
1.殺害した親友の息子を探し出すため、
2.≪殺害現場に足が付く証拠を、敢えて残す犯人なんていない≫(by姉小路)という盲点


 という理由があるが、殺害犯は無造作に現場に指紋を残したが、楽譜には指紋が付着していなかったことから、≪黒幕がいる≫という疑いが強く、「薫の楽譜→薫が黒幕」という短絡的結論は出ないにしろ、捜査線上に上がるリスクは、上記の2つの理由を容易に覆せる大きなリスクである。
 そんな危険を冒さずとも、親友の息子を探し出すことはできたはずだ(ドラマ中では、“短期間では困難”とされたが)


 さらに、
自らの手で親友の息子を殺害するという大きなリスク
 殺害を実行することそのものがリスクが大きいが、今回疑問に感じたのは
≪15年前の殺人と盗作は、今となっては何とでも言い逃れできる気がする≫ということ。
 善人曰く
「親友の才能を受け継いだ仁君はどうしても自分の手で殺したかった。
 しかも、親友と同じ場所でね」

 常人には理解不能な理由だが、そのため、薫は超能力並の能力を発揮しなければならなかった。

 養護施設から気を失わせた仁(大学生)を、どうやって運び出したのか?
 どうやって、雑居ビルの屋上へ運び、どうやって柵の外に置けたのか?
 しかも、白昼に。


 テレポーター並みの能力である。



 それにしても、屋上で仁にナイフを突き立てて脅している状況で、
しかも、善人たちに「近づいたら殺すわよ」とさらに脅す……

 「案外、往生際が悪いんだねえ」と指摘されても、ナイフをを放さず、善人に一通り講釈をさせて、ようやく、ナイフを落とすのは往生際悪過ぎ。仁に相当な憎しみを抱いていたのなら理解もできるが、ここまで、いろいろ苦労して積み上げたミステリーを、ぶち壊す間抜けな図であった。
 『聖者のレクイエム』に隠された暗号を善人に語らせるシーンが欲しかったのと、隠された暗号が分からない薫に対して「この曲の本当の意味を知らないあんたは、偽物以外の何者でもない」という決め台詞を言わせて、薫にナイフを捨てさせたかったのだろう。


【ストーリー】番組サイトより
 背中から刃物でメッタ刺しにされ、遺体の側には楽譜が置かれている、という奇異な殺人事件が発生し、宅間善人(草剛)らのもとに捜査資料が持ち込まれてくる。
 置かれていた楽譜は、日本を代表する世界的ピアニスト・雨宮薫(矢田亜希子)が作曲した代表曲『聖者のレクイエム』のものだった。楽譜の上には彼女のサインがされていたため、姉小路千波(南果歩)たちは、楽譜が本人のものなのかどうか、確認をすることに…。ドイツを拠点に活動する薫だったが、ちょうど1カ月前に凱旋を果たし、東京に滞在していた。数日後にはまたドイツに戻るという薫に、さっそく宅間と我妻真里亜(夏菜)が、楽譜の件と被害者の男性・桑原武彦(菊池均也)との関係について捜査に出向く。

 桑原との関係は否定したものの、置かれていた楽譜は自分が使っていたもので、一週間ほど前から紛失していたと認めた薫。総合事犯対応係(仮称)の面々は、楽譜は桑原が盗んだのではないかと推測するが、宅間はひとり「楽譜の中に暗号めいたものが隠されているのではないか」と異論を唱える。
 実際に、音楽に詳しい野方希望(和田正人)の解釈に従いながら『聖者のレクイエム』の暗号を解いていくと、“DEAD BECCA”という文字が隠されていることが判明!薫によって15年前に作られたこの曲と、暗号にはいったいどのような関係があるのか、宅間たちは関連を調べ始めるが…?

 やがて、薫の昔の友人に“BECCA”というニックネームの女性がいたこと、そしてその女性・渡辺麗香(植田麻友美)は15年前に自殺してしまっていたことがわかる。
 さらに、被害者の桑原が元音楽教室の講師で、薫はその教え子だったことも明らかに…!

 再び事情を聞きに来た宅間たちに薫は、桑原との関係、そしてここ最近自分の周囲に現れていたストーカーの存在について語る。そして自殺した麗香には、その当時3歳だった息子・渡辺仁(平岡拓真)がいたこともわかり…。

脚本:徳永友一
監督:細川光信

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3 コメント

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同感です (zoran)
2016-02-20 13:38:50
英さん、こんにちは

まず、

>白状しますと、「待っている方は少ないと思いますが」という文は、励ましのコメントを期待して書きました。

すみません。申し訳ないコメントを書いてしまいました。

さて、

>養護施設から気を失わせた仁(大学生)を、どうやって運び出したのか?どうやって、雑居ビルの屋上へ運び、どうやって柵の外に置けたのか?しかも、白昼に。

まったく同感です。
製作者側(プロデューサーとか)は、あの展開に対して
疑問を持たないのでしょうか?
どう考えても無理があるでしょう。
正味40分くらいのドラマでは、
多少(ではないと思うが)の”むりくり”展開は
やむを得ない、とでも考えているのでしょうか。

私は、親友を自殺と見せかけて殺したビルの屋上で
再び親友の息子を殺そうとする展開の必要性は感じず、
(同じ場所で殺したい心理が理解できなかったので)
伏線は引いてあったのだから、犯人は親友の息子か、
と思わせておいて、実は薫が真犯人だった、で、
施設の場面で殺そうとするところを捕まる、という
展開で十分だったのではないかと思います。
やっぱり、いくらドラマとはいえリアリティーは必要で、
無理やりすぎる展開は見ていて白けます。
返信する
合理性より意外性を重視しているのでしょう ()
2016-02-20 19:42:54
zoranさん、こんばんは。

>申し訳ないコメントを書いてしまいました

 いえいえ、自虐ネタの一種です。スルーするのは正しい対処です。

>製作者側(プロデューサーとか)は、あの展開に対して疑問を持たないのでしょうか?

 疑問を感じないとしたら、相当な“間○け”ですが、合理性より意外性を重視しているのでしょう。

>私は、親友を自殺と見せかけて殺したビルの屋上で
再び親友の息子を殺そうとする展開の必要性は感じず

 ええ、理解し難いです。

>施設の場面で殺そうとするところを捕まる、という
展開で十分だったのではないかと思います。
>やっぱり、いくらドラマとはいえリアリティーは必要で、無理やりすぎる展開は見ていて白けます。

 激しく同感で、腹立たしく感じます。
返信する
訂正です (zoran)
2016-02-20 21:08:21
こんばんは

私のコメント中の「伏線は引いてあった」は
「伏線は(を)張ってあった」が正しいですね。
訂正します。

コメント不要です。

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