列車の座席に、緊張した面持ちで鞄を抱える女性
「用意シタ金ヲカバンニ入レテ 明日11時10分ノ南宇治行キニ乗れ
左ノ席二座ッテ 赤イ目印ヲ探スコト
見ツケタラ カバンヲ窓カラ落トセ
赤イ目印ヲ見ノガスナ
警察ガ居タラ終ワリ」
おおっ、これは身代金の受け渡し!
しかし、その裏には、更に驚くべき事実が……
夫を殺してしまった妻に「夫を誘拐した」という電話が掛かる。さらに「恵里香、俺は間違っていた」という夫の声も。
死体を放置した場所にいくと、死体は消えていた……『世にも奇妙な物語』のような展開
列車には、警察らしくない火村&有栖川が同行することになった。
(でも、周囲を刑事たちが取り巻き、赤い目印を血眼になって探しているのは、まずくはないか?)
列車の中での、火村の推理
「警察の介入を前提に計画を立てている
わざわざ事前に髪の毛を送ったのは、警察に鑑定させ誘拐の事実を示すため。
(しかし)前日に電車の時刻を指定するのは準備の時間を与えるのは妙。
これは空振りだ」
火村の予見通り、赤い目印は分からず、犯人からの接触もなかった。
学食での火村の推理
「本気で身代金を奪おうとしているようには思えない。
“赤い目印”ではあいまい過ぎるし、目印を見つけ、窓を開け、放り投げる時間や距離も不確定すぎ、杜撰な計画である。
≪志摩征夫自身の狂言≫とも考えられる。
最悪の場合、准教授はすでに殺されている可能性もある。
火村の危惧した事実が明らかになる……准教授の死体が廃墟で発見された
・死亡推定時刻は4日前(脅迫電話の段階では死亡していた)
・妻は、脅迫電話で夫の声を聴いている
・他所で殺害され、死後しばらく経過後、運ばれた
・後ろから撲殺
これまでの火村の言葉
「警察の介入を前提」「身代金を奪う意思がない」と
視聴者が知っている事実
「妻が夫を殺害」「強引に誘拐を警察に通報した志摩のマネージャー・城戸」「殺害直前の夫の言葉と脅迫電話の際の夫の言葉が一致」
これらを総合し考察すると真相が見えてくる。
真相は、≪准教授の妻・恵里香(西田尚美)に好意を持っていた城戸が、恵理香の凶行を知り、彼女を庇うために誘拐事件を起こした≫というもの。
≪脅迫電話で聞いた夫の台詞が、殺害直前のモノと同じ≫→≪誘拐犯は盗聴しており、盗聴の録画を利用した≫という推理が成り立つ。
さらに、城戸が火村&有栖川に会った時、ふたりを逆だと思い込んでいたという事実が、火村は盗聴されていたことを気づかせた。(でも、火村のルーズなネクタイの締め方は教授には見えないと思うが)
火村と有栖川から追及を受けた際の城戸の異常性は第2話で記述。
やはり、狂気が街に充満していて、火村も狂気の淵に落ちてくことを示唆する描写は好きになれない。
大ざっぱな感想
・出だしは面白かったが、城戸の通報が強引過ぎたのと、殺害直前の言葉を脅迫電話で使用したのは分かりやす過ぎ
・城戸が勘違いしてしまった火村たちのやり取りは不自然だったし、城戸がふたりを間違えたのは迂闊過ぎ
・殺人後、誘拐をでっちあげて罪を隠ぺいするという筋は、他にもあった気がするが、初出は2004年なので、何とも言えない。筋立てはともかく、上述したように、ドラマ冒頭に比べて中盤以降は脚本・演出が粗かった気がする
・優香のメイクが、初回より、眉毛が細くアイラインも薄くなってきた
・NHKのコント番組『LIFE』のせいで、西田尚美さんがシリアスな演技をするほど、コントに思えてしまう。「カッツ、アイ!」とポーズを取らないか心配してしまった。
今週の火村&有栖川漫才
「准教授がが主役って、どんなドラマだ?」
「確か、准教授がえらいモテる恋愛ドラマだ」
「リアリティがないなあ」
「退屈だ、帰っていいか?」
「子どもみたいなこと言うなっ」
ピンポ~ン、ピンポ~ン
「犯人か?」
「んなわけ、ないやろぉ」
今週の大家・時絵からの謎掛け
火村たちが下宿に帰ると、花瓶、魚の置物、ウールのカーディガンが不自然に置かれており、
「おかえりなさぁい。んふふ、うふうふふ」
と、時江が怪しげに笑いながら、牛革の財布を置く。
「中へどうぞ…くっふっふっふ」
という時絵に招かれ奥へ行くと、2本のこけし、カニの缶詰、獅子頭、2枚の皿、和裁のはさみを2つ絡めたもの(蠍のつもり)、破魔矢、『はらぺこヤギのいるところ』という絵本。
「家の中に不自然なものがいくつかある……何かの暗号か?」
有栖川の小説の中に出てくる謎らしい。時絵と有栖川がニヤニヤ笑い、その後馬鹿笑いして火村を挑発。
ムキになる火村、歩きながら考え、5歩進んだところで
「一つ足りない……乙女」
すかさず時絵が、ぶりっ子ポーズで
「あ・た・し」と。
答は、12星座。
あまりに早く解かれて、ショックを受ける有栖川だった。
【ストーリー】番組サイトより
ドラマで准教授役を演じて人気を博す俳優の志摩(飯田基祐)が誘拐され、京都府警が極秘捜査を開始。火村(斎藤工)と有栖(窪田正孝)は、鍋島(生瀬勝久)の依頼で志摩の自宅に駆け付ける。
志摩の妻・恵里香(西田尚美)によると、彼女が出張先の九州から京都に戻ってきた矢先に犯人から脅迫電話がかかってきたという。犯人は身代金3000万円を要求し、警察に届けたら志摩の命はないと恵里香を脅迫。恵里香は警察に知らせないつもりだったが、誘拐を知った志摩のマネージャー・城戸(児嶋一哉)が通報したのだった。
警察の捜査が続く中、志摩の自宅に差出人不明の荷物が届く。中身は、志摩のものと思われる髪の毛の束と脅迫状だった。脅迫状の内容は「用意した金をカバンに入れて明日、指定した列車に乗れ」というものだった。警察がそばにいることが分かったら志摩の命も失われると脅された恵里香は、鍋島ら刑事の同行を拒絶。代わりに、火村と有栖が身代金の受け渡しに行く恵里香と同行することに。
翌日、金を持った恵里香が犯人の指定した列車に乗り、火村と有栖も同行。しかし、同じ列車にずっと乗り続ける恵里香に、犯人からは何の接触もない。火村は、犯人が警察の介入を前提に計画を立てていると断言。結局、この日は空振りに終わる。
まもなく、志摩の遺体が廃墟で発見される。火村と有栖は、遺体発見現場へ。鑑識の結果、志摩は別の場所で殺害された後に廃墟まで運ばれ、恵里香が脅迫電話を受けた時点ですでに死んでいたことが判明する。しかし、恵里香は、脅迫電話で志摩の声を聞かされたと証言していた。
火村は、犯人の目的が最初から志摩の殺害だったのではないかと推理。恵里香の犯行とも考えられたが、九州にいた恵里香が遺体を遺体発見現場の廃墟まで運ぶことは不可能だった。火村と有栖は、事件のカギを握る恵里香に、詳しく話を聞きに行くことに。そして、事件は意外な展開を見せる…。
原作:助教授の身代金(「モロッコ水晶の謎(講談社)」収録 初出:『小説現代』2004年9月増刊号メフィスト)
脚本:マギー
演出:明石広人
「用意シタ金ヲカバンニ入レテ 明日11時10分ノ南宇治行キニ乗れ
左ノ席二座ッテ 赤イ目印ヲ探スコト
見ツケタラ カバンヲ窓カラ落トセ
赤イ目印ヲ見ノガスナ
警察ガ居タラ終ワリ」
おおっ、これは身代金の受け渡し!
しかし、その裏には、更に驚くべき事実が……
夫を殺してしまった妻に「夫を誘拐した」という電話が掛かる。さらに「恵里香、俺は間違っていた」という夫の声も。
死体を放置した場所にいくと、死体は消えていた……『世にも奇妙な物語』のような展開
列車には、警察らしくない火村&有栖川が同行することになった。
(でも、周囲を刑事たちが取り巻き、赤い目印を血眼になって探しているのは、まずくはないか?)
列車の中での、火村の推理
「警察の介入を前提に計画を立てている
わざわざ事前に髪の毛を送ったのは、警察に鑑定させ誘拐の事実を示すため。
(しかし)前日に電車の時刻を指定するのは準備の時間を与えるのは妙。
これは空振りだ」
火村の予見通り、赤い目印は分からず、犯人からの接触もなかった。
学食での火村の推理
「本気で身代金を奪おうとしているようには思えない。
“赤い目印”ではあいまい過ぎるし、目印を見つけ、窓を開け、放り投げる時間や距離も不確定すぎ、杜撰な計画である。
≪志摩征夫自身の狂言≫とも考えられる。
最悪の場合、准教授はすでに殺されている可能性もある。
火村の危惧した事実が明らかになる……准教授の死体が廃墟で発見された
・死亡推定時刻は4日前(脅迫電話の段階では死亡していた)
・妻は、脅迫電話で夫の声を聴いている
・他所で殺害され、死後しばらく経過後、運ばれた
・後ろから撲殺
これまでの火村の言葉
「警察の介入を前提」「身代金を奪う意思がない」と
視聴者が知っている事実
「妻が夫を殺害」「強引に誘拐を警察に通報した志摩のマネージャー・城戸」「殺害直前の夫の言葉と脅迫電話の際の夫の言葉が一致」
これらを総合し考察すると真相が見えてくる。
真相は、≪准教授の妻・恵里香(西田尚美)に好意を持っていた城戸が、恵理香の凶行を知り、彼女を庇うために誘拐事件を起こした≫というもの。
≪脅迫電話で聞いた夫の台詞が、殺害直前のモノと同じ≫→≪誘拐犯は盗聴しており、盗聴の録画を利用した≫という推理が成り立つ。
さらに、城戸が火村&有栖川に会った時、ふたりを逆だと思い込んでいたという事実が、火村は盗聴されていたことを気づかせた。(でも、火村のルーズなネクタイの締め方は教授には見えないと思うが)
火村と有栖川から追及を受けた際の城戸の異常性は第2話で記述。
やはり、狂気が街に充満していて、火村も狂気の淵に落ちてくことを示唆する描写は好きになれない。
大ざっぱな感想
・出だしは面白かったが、城戸の通報が強引過ぎたのと、殺害直前の言葉を脅迫電話で使用したのは分かりやす過ぎ
・城戸が勘違いしてしまった火村たちのやり取りは不自然だったし、城戸がふたりを間違えたのは迂闊過ぎ
・殺人後、誘拐をでっちあげて罪を隠ぺいするという筋は、他にもあった気がするが、初出は2004年なので、何とも言えない。筋立てはともかく、上述したように、ドラマ冒頭に比べて中盤以降は脚本・演出が粗かった気がする
・優香のメイクが、初回より、眉毛が細くアイラインも薄くなってきた
・NHKのコント番組『LIFE』のせいで、西田尚美さんがシリアスな演技をするほど、コントに思えてしまう。「カッツ、アイ!」とポーズを取らないか心配してしまった。
今週の火村&有栖川漫才
「准教授がが主役って、どんなドラマだ?」
「確か、准教授がえらいモテる恋愛ドラマだ」
「リアリティがないなあ」
「退屈だ、帰っていいか?」
「子どもみたいなこと言うなっ」
ピンポ~ン、ピンポ~ン
「犯人か?」
「んなわけ、ないやろぉ」
今週の大家・時絵からの謎掛け
火村たちが下宿に帰ると、花瓶、魚の置物、ウールのカーディガンが不自然に置かれており、
「おかえりなさぁい。んふふ、うふうふふ」
と、時江が怪しげに笑いながら、牛革の財布を置く。
「中へどうぞ…くっふっふっふ」
という時絵に招かれ奥へ行くと、2本のこけし、カニの缶詰、獅子頭、2枚の皿、和裁のはさみを2つ絡めたもの(蠍のつもり)、破魔矢、『はらぺこヤギのいるところ』という絵本。
「家の中に不自然なものがいくつかある……何かの暗号か?」
有栖川の小説の中に出てくる謎らしい。時絵と有栖川がニヤニヤ笑い、その後馬鹿笑いして火村を挑発。
ムキになる火村、歩きながら考え、5歩進んだところで
「一つ足りない……乙女」
すかさず時絵が、ぶりっ子ポーズで
「あ・た・し」と。
答は、12星座。
あまりに早く解かれて、ショックを受ける有栖川だった。
【ストーリー】番組サイトより
ドラマで准教授役を演じて人気を博す俳優の志摩(飯田基祐)が誘拐され、京都府警が極秘捜査を開始。火村(斎藤工)と有栖(窪田正孝)は、鍋島(生瀬勝久)の依頼で志摩の自宅に駆け付ける。
志摩の妻・恵里香(西田尚美)によると、彼女が出張先の九州から京都に戻ってきた矢先に犯人から脅迫電話がかかってきたという。犯人は身代金3000万円を要求し、警察に届けたら志摩の命はないと恵里香を脅迫。恵里香は警察に知らせないつもりだったが、誘拐を知った志摩のマネージャー・城戸(児嶋一哉)が通報したのだった。
警察の捜査が続く中、志摩の自宅に差出人不明の荷物が届く。中身は、志摩のものと思われる髪の毛の束と脅迫状だった。脅迫状の内容は「用意した金をカバンに入れて明日、指定した列車に乗れ」というものだった。警察がそばにいることが分かったら志摩の命も失われると脅された恵里香は、鍋島ら刑事の同行を拒絶。代わりに、火村と有栖が身代金の受け渡しに行く恵里香と同行することに。
翌日、金を持った恵里香が犯人の指定した列車に乗り、火村と有栖も同行。しかし、同じ列車にずっと乗り続ける恵里香に、犯人からは何の接触もない。火村は、犯人が警察の介入を前提に計画を立てていると断言。結局、この日は空振りに終わる。
まもなく、志摩の遺体が廃墟で発見される。火村と有栖は、遺体発見現場へ。鑑識の結果、志摩は別の場所で殺害された後に廃墟まで運ばれ、恵里香が脅迫電話を受けた時点ですでに死んでいたことが判明する。しかし、恵里香は、脅迫電話で志摩の声を聞かされたと証言していた。
火村は、犯人の目的が最初から志摩の殺害だったのではないかと推理。恵里香の犯行とも考えられたが、九州にいた恵里香が遺体を遺体発見現場の廃墟まで運ぶことは不可能だった。火村と有栖は、事件のカギを握る恵里香に、詳しく話を聞きに行くことに。そして、事件は意外な展開を見せる…。
原作:助教授の身代金(「モロッコ水晶の謎(講談社)」収録 初出:『小説現代』2004年9月増刊号メフィスト)
脚本:マギー
演出:明石広人