英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

研究の功罪 その2

2010-06-12 16:19:16 | 将棋
研究の功罪の続きです。

 梅田氏は、封じ手周辺での両棋士の思慮について、さらに踏み込んでいます。


 三浦八段
「封じ手は▲3九角か▲3九金を予想していた。それで昨日の晩は、特に▲3九金からの変化をずっと読んでいて、もし封じ手が▲3九金ならこちらが勝てそうだと思って、安心して、幸せな気持ちで眠った」

 確か、三浦八段は局後、
「▲5三桂成は驚きはしませんでした。前例の▲3九歩は△3八歩成▲同歩△2五飛成で3筋に歩が利かなくなるのでありがたいと思いました。▲3九金も△1九飛成▲5三桂成△5二香でいけるかなと」
と、述べている。勝負師としての意地が言わしめたのだろう。まあ、そこは深く突っ込まないでおこう。結局、正直に明かしているし。

 それを受けて、梅田氏は
「なぜ▲5三桂成の局面を本線として研究しなかったのか」
 とあえて尋ねている。
 三浦八段
「1日に24時間しかないからです。そこまでやるには、1日24時間研究しても、まだ足りない」

 三浦八段の答え「24時間でも足りない」は、「(普段の)研究で▲5三桂成を研究しなかったのはなぜか」という問いの答えだが、それについては後述するとして、まず、第一日、第1日夜に、▲5三桂成の変化を深く掘り下げなかったのだろうか?後手としては、一番怖く警戒すべき変化のはずだ。
三浦八段も直感的に▲5三桂成に恐れを抱いていたが、過去の“言葉だけの研究”の「△5二歩で後手が指せる」という結論、しかも、研究相手の賛同を得ているという事実を拠り所として、「▲5三桂成はない」と思い込みたかったのではないだろうか。
 ▲5三桂成に正面から向き合って、「△5二歩で後手が指せる」という結論が覆ってしまうのが怖かったのではないか。▲5三桂成が成立するとなると、本線で研究した△3七歩▲3九歩、あるいは、△3七歩▲3九金の変化が意味を成さなくなってしまう。だから、▲5三桂成に目を背けた。
 (上記のいきさつはなかったとしても、△3七歩に▲3九歩と受けさせるのは、大きな利かしで後手の得。また、▲3九金も強い手であるが△3七歩を相手にした手で、後手も手順に香車を取れるし、3九の金を目標に出来る。ところが、▲5三桂成は△3七歩を無視した手で、後手によってはあまり気分の良い手ではなく、あまり気分のいい手ではなく研究の食指も動きにくい手かもしれない)

 さらに、実戦で▲5三桂成と進んだ後も、「△5二歩で後手が指せる」という研究を信じたかったゆえ、途中の△4二金とかわす手を読まなかったのではないだろうか。



 羽生名人
「△3七歩を、三浦さん、たったの4分で指したんですよ!4分でこの手を指すということは、もうここは研究してきましたよ、っていうことでしょう
 △3七歩の局面は、後手にとって相当リスクの高い局面だから、三浦さんがそこに誘導するとは思っていなかった。だから、研究はしていなかった」


 事前の研究においては、羽生名人は封じ手の局面は先手が良いと考えて研究をしていなかった。対する三浦八段は、後手も指せると考え掘り下げて研究していた。
 その点だけを考えると、三浦八段のほうが優位に立っていた。
 しかし、あくまでもその点においてである。肝心なのは、その△3七歩と打った局面が後手の互角以上でないと意味がない。そして、その後の変化も網羅していないと、その意味が薄れる。


 羽生名人が封じ手の局面で▲3九金があるので先手がいいと考えていたようだが、実際に直面すると
「実際に読んでみたらみたら、▲3九金がうまくいかないことがわかって、ああこのあたりが三浦さんの研究なのだろうなと。それで、▲5三桂成しかないという結論に達して、封じ手とした」

 と▲5三桂成を封じている。


 この▲5三桂成を決定した時点で、局面の優劣はともかく、事前研究においては「言葉だけの研究」分が三浦八段のプラス分となった。しかも、それが先入観というマイナス方向に働いてしまった。
 羽生名人は
「2日目の▲5三桂成以降は研究ではなく、すべて当日考えて指したものだ」と述べている。

 羽生名人は、以前、「局面を継続したものと見るのではなく、常に断片的なものとして新鮮な目で捉えるよう心がけている」と話していた。
 将棋は、「前に指した手を活かすように指すべき」、たとえばと金を作るために歩を垂らしたら、それを活かすためどこかで歩成りを実現させようとする。
 そういう考え方を否定する羽生名人の言葉に、当時はすごく抵抗を感じた。
 ただ、よく考えると、前に指した手を無視するのではなく、新鮮な目で局面を捉えることによって、先入観を排除するというのが目的で、正確に局面を捉えた上で、指し手の流れなどいろいろな視野で総合的に読みをめぐらしているのではないかと、解釈している。
 だから、今までの流れを全く無視した手が時折見られる。丁寧に受けに回っていたかと思えば、突如切り込んできたり、攻め合いの最中に手を戻したりとか、羽生名人ならではの指し回しの基は、新鮮な局面の捕らえ方にあるのかもしれない。

 それに反しているようだが、今回の羽生名人の封じ手周辺の言葉は、実に面白い。
 三浦八段の△3七歩が4分の考慮だったことから、「三浦八段が研究十分」と感じ、何を根拠にこの手を指したか(三浦八段の待ち受ける手順は何か)を読むというのは、羽生名人も普通に勝負師なんだと感じた。

 それはともかく、封じ手の局面で、新たな目で局面を捉えた羽生名人と、言葉だけの研究による先入観に囚われてしまった三浦八段は対照的だった。


 ちなみに、三浦八段を幸せな気持ちにさせた変化は、▲3九金△1九飛成▲5三桂成△5二香▲6二成桂に△3九龍!。▲3九同銀は△5八金で詰みなので▲4九銀となり、これはこれでけっこう難しい。
 羽生名人は、飛車を弾いたはずの金がその龍で取られてしまう(しかも、手順に香も取られる、その取られ方がひどいので▲3九金を捨てたとのこと。


 梅田氏の記述で
「三浦の深い研究の中身を察知して、その順を巧みに回避していたのである」
 とあるが、これには異を唱えたい。
 羽生名人は相手の読み筋であっても、その順に成算があれば踏み込んでいくと。

 最後に、
「1日に24時間しかないからです。そこまでやるには、1日24時間研究しても、まだ足りない」
 について。
 三浦八段の研究漬けの日々が伺える言葉だが、この言葉から、三浦八段にとって、「研究」=「修行」という等式が成り立つのではないかと思ってしまう。
 テレビのインタビューか何かで、「一日10時間研究の日々を続けていたら、その反動か何かで、将棋を受け付けなくなったことがあった」と話していた。そのこともあって、研究」=「修行」とイメージしてしまったのだが、羽生名人を思うと、「研究」=「楽しい」とイメージしてしまう。
 少し前、爆笑問題の番組に出ていて「朝起きて、駒を並べあれこれ考えていて、気がついたら夕方になっていた。自分の人生はこれで良いのかと悩んだ(笑)」というような事を話していたが、あとの部分はともかく、本当に将棋が好きなんだなあと感じた。

 羽生名人の一番の強さは、「将棋が好きなこと」ではないのだろうか。
コメント (2)
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研究の功罪

2010-06-11 17:39:49 | 将棋
 『将棋世界』7月号の梅田望夫氏の『研究の功罪』は非常に興味深い内容でした。



 第2局の終局後の深夜、行方八段に深夜の研究会に誘われたそうだ。行方八段のほかに対局者の三浦八段、久保棋王・王将という凄いメンバーで、特に敗北した三浦八段の心境や読み筋を聞けるというのは、無茶苦茶おいしい体験ではなかろうか。
 しかも、押しかけるのではなく、お誘いを受けたのだ。なんとうらやましい環境か!

 そのとびきりの食材を、梅田氏は見事に料理した『研究の功罪』は、氏への「羨望」を「満足」へ昇華させてくれた。


 彼(か)のメンバーが問題にしたのは、封じ手の局面から▲6一龍までの局面。


 後手の三浦八段が46手目△3七歩と垂らし、ここで羽生名人が手を封じて第1日が終了。羽生名人の封じ手に要した時間はちょうど1時間だった。

Ⅰ.ネット中継、BS中継の解説陣の第1日時点の見解
 封じ手の候補としては、①▲3九歩②▲3九金③▲5三桂成。

 ①▲3九歩が大方の予想で、過去の実戦例は1局(屋敷九段×増田六段)だけあり、その時は▲3九歩△3八歩成▲同歩△2五飛成▲5三桂成と進んでいる(先手の勝ち)。
 ②については、「▲3九金も調べられている。△1九飛成▲5三桂成△5二香▲6二成桂に△3九龍!がある。▲3九同銀は△5八金で詰みなので▲4九銀でどうか」という解説がある(中継サイト)。
 ③は、封じ手の局面(第1日)では、中継サイトでは触れられていない。
 BS中継では、△3八歩成▲6二成桂△4九龍▲6八玉△4八龍▲7七玉(第2図)△4二金▲8一飛成△3二玉▲5四桂△34金の変化を検討していたが、後手玉に上部脱出の道が見え、させそうな気もするがはっきりしない。

 先手の金銀の取られ方がひどい上、7七に逃げた玉が先手の角道を閉ざす形となり、感触が悪いので、踏み込まないと見ていた。


Ⅱ.封じ手開封後の反応・感想

島九段「驚きましたね。70%以上▲3九歩かと思いました」(中継サイト)
久保2冠「最強の手。これから激しくなる。三浦八段はもちろん研究の範囲内ですから、▲5三桂成の変化は研究してしていると思いますし、羽生名人も時間をかけて読んで大丈夫と踏み込んだはずで、自信と自信のぶつかり合い」(第二日午前のBS中継)

 さらに、中継サイトでは「島九段と先崎八段の検討盤面は、以下△3八歩成▲6二成桂△4九龍▲6八玉△4八龍▲7七玉△4二金▲8七玉△8六歩▲同飛成△3二玉▲8一龍△3四金まであっという間に進められ、その先が調べられている」と記されている。

 また、三浦八段の感想や様子(中継サイト)では
「島九段が読み上げた封じ手は「▲5三桂成」。三浦はうんとうなずき、腕を組んだ」
 さらに、局後の補足説明(中継サイト)には
「▲5三桂成は驚きはしませんでした。前例の▲3九歩は△3八歩成▲同歩△2五飛成で3筋に歩が利かなくなるのでありがたいと思いました。▲3九金も△1九飛成▲5三桂成△5二香でいけるかなと」
 また、それに続いて、羽生名人の感想も付け加えてあり
「▲3九歩か本譜▲5三桂成しかないですよね」
 そして、さらに「▲3九歩△3八歩成▲同歩△2五飛成▲5三桂成△同銀▲2二角成△同金▲同飛成は△3一歩が堅く「後手指せる」で両者一致」

 どうやら、封じ手は▲5三桂成の一手というのが結論らしい。
 この記述を読む限り、三浦八段も「封じ手は▲5三桂成」と予想していたと読みとれる。

 ちなみに、封じ手が読みあげられてから約20秒後の両者の姿が映し出されていたが、三浦八段は、「凝視」という感じではなく、じーっと盤面を見つめていた。
 感情は表に出ていないように見え、私の印象にしか過ぎないが、「予想通りですぐ読みを巡らす」というのではなく、「そっちで……(予想外)」。想定外で呆然とただ盤面を眺めているように感じた。


 さて、ようやく本題です(相変わらず、前置きが長い)。

 まず、梅田氏は一番の興味をぶつける。
「△3七歩のあと▲5三桂成(封じ手)からの研究はどのくらいしていたのか」
≪以下、三浦の答えは太字の赤で記します。長くなるので要約します≫
「言葉だけでの研究(頭の中で検討)しただけ。▲5三桂成は本線として研究したことはなかった。言葉だけの研究では、▲5三桂成以下△3八歩成▲6二成桂△4九龍▲6八玉△4八龍▲7七玉(第2図)

△6二金▲同飛成△5二歩(第3図)までの局面を思い描いて、

これなら後手が指せるという感覚を持っていた。言葉でそう話した記憶はある」

 しっかりと研究して出した結論ではなかったようだ。ただ、「言葉で話した記憶がある」とあるので、自分だけの思い込みではなく、研究仲間と出した結論であるようだ。なので、ある程度の自信を持っていたのではないだろうか。

「実際に▲5三桂成と指されてみて、一生懸命考え始める。
 と、なんかあやしいな」
(99分の長考)
「ああ、こんなふうに将棋が(研究から離れて)ゼロから始まるんだな」
 この辺りの心境の吐露は面白いなあ。
 BS中継で観る三浦八段の対局姿からすると、常に一生懸命呼んでいるようにしか思えない。思考の組み立てが違うということだろうか。つまり、過去の研究や実戦経験を土台として読むことから、未知の局面になって初めて、自分の読みや感覚だけで読み筋を組み立てていく、そんな違いなのかもしれない。

「<△5二歩の局面になれば後手がいい>という先入観をどこかで持っていたことがよくなかったのかもしれない。中途半端な研究なら、かえって何もしていない方がよかったのかもしれない……(省略)」
 省略した三浦八段の言葉を、梅田氏は分かりやすく翻訳している。
「言葉だけの研究」には切実さが伴わぬことがあり、先入観という魔物を思考に忍び込ませる隙が生まれてしまう。

 その研究の弊害が実際に現れたのが、第2図の局面。
 ここでほとんどの棋士が「△4二金の一手」と感じ、△4二金以下の手順を研究し、はっきりどちらが良いと判断を下せないでいた。
 ところが、三浦八段の指し手は△6二金。先手の成桂を相手にして(金と交換、成桂を相手にしない△4二金はプロの第一感とも言うべき手)、先手の龍を呼び込むので、読みの対象にはしない手だ。
 A級順位戦を勝ち上がった三浦八段の判断を誤らせたのが、言葉だけの研究での「△5二歩の局面になれば後手がいい」という先入観に他ならない。

 しかし、「△5二歩の局面になれば後手がいい」という先入観は三浦八段を非勢に追い込む元凶となったわけだが、簡単に負けになりそうな△6二金▲同飛成の局面を、頭の中で掘り下げ△5二歩で受かっていると読んだ読みの深さに三浦八段の強さを感じる。
 実際、△5二歩(第3図)で先手の攻めは意外に難しい。5二には金を打つのが受けの基本であるが、それだとその打った金が取られることとなり、簡単に寄ってしまう。それで安い駒の歩で受けるのだが、あまりにも頼りない。
 この局面になれば、△5二歩が最善であることは容易に分かるが、誰もが読みの対象にしない△6二金を選択しての「△5二歩で指せる」という「言葉だけの読み」、恐るべし、三浦八段!

 実際に第3図の局面、なかなか難しい。
 「▲3二金△同玉▲5二龍は△4二銀▲4一銀△3一玉で打ち歩詰めで逃れ。▲5三銀△5一金▲3三歩で寄りと思いきや、△3三同銀(△3三同桂は▲5一龍で詰み)▲同桂成△同角が王手!」(中継サイト解説)
 「▲3三歩、▲6一龍、▲5三銀の3つの候補手があげられている」(中継サイト解説)
 プロ棋士をもってしても、すぐには結論が出ないようだ。
 ちなみに、中継サイトの補足解説には「▲5三銀△5一金は指せると思っていました」(三浦八段)とある。

 ここで羽生名人が26分の考慮で指した▲6一龍(第4図)が三浦八段の研究を打ち砕いた手だった。

 梅田氏に▲6一龍と指されてみて、わからなくなってしまったと述べている。実際、ここで三浦八段は88分の長考に沈んでいる。▲6一龍は三浦八段の盲点になっていたようだ。
 と、さも分かったようなことを書いているが、この▲6一龍、私の目には《こんな手でいいの?》というふうに映った。
 5一には2四の角も利いているし、合駒されるとかえって固めてしまうことにはならないか?龍も1段目が良いのか、二段目の方がいいのかもよくわからない。《頼りない》というのが第一印象だった。
 まあ、プロ的に観れば△5一桂は▲6二金、△5一銀は▲6二銀、△5一金は▲8一龍というふうに、合駒をしてはジリ貧状態に陥るので△4二玉(第5図)とかわすのが正着らしい。


 それにしても、第3図からの▲6一龍△4二玉(第5図)のやり取り、改めて見比べると

龍で王手して後手玉を上部に逃がしたようにしか見えない(私には)。たしかに、部分的にはそうだが、8筋に利かせながら桂馬を取る▲8一龍を見た的確な指し回しだったようだ。


 さて、梅田氏の『研究の功罪』では、封じ手の局面に戻って、両者の思慮にさらに踏み込んでいく。


 と、ここで力尽きました。よろしければ、次回もお付き合い下さい。
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『絶対零度~未解決事件特命捜査~』 第9話

2010-06-09 16:44:15 | ドラマ・映画
★今回の見所
   綺麗な夕景

 
 素敵な場所で、行ってみたくなりました。
 見所は、これのみといって良いかもしれません……

 一応、あらすじです。

 【あらすじ】~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 長嶋室長と高峰刑事が関わり、未解決のままの『杉並事件』。

 杉並事件…女子高生が誘拐監禁され、身代金の受け渡しをすることなく、その女子高生は窒息を引き起こす装置によって殺害されてしまった。
 被害者の父・本谷が国会議員ということもあり、捜査の的を絞りきれず、迷宮入りとなっており、室長も無念の思いを抱いている。
 また、高峰のプロファイリングによって嫌疑をかけられた容疑者が自殺してしまい、高峰も心に深く傷を負っていた。

 ある日、別件で服役中の小栗が罪を告白、特捜さんが再捜査に当たる。
 単独犯だと言うが、他に主犯がいることが判明する。小栗の供述や再捜査によって、新事実が出てくるが、小栗が「ロケット」という言葉を残して病死。
 汚点を隠したい上層部は、小栗主犯で事件解決、捜査打ち切りを決定。
 そんな中、桜木刑事が捜査停止の命令を無視し、被害者の形態の画像を手がかりに捜査をし、事件に深くかかわりがあると見られる人物・河野に遭遇、携帯で経過報告中に犯人に相対し、消息を絶つ。
   ……………………………………………………ここまで前回
 
 杉並事件の主犯の河野は、捜査続行の発表をしなければ桜木を殺すと脅迫。

 一方、桜木はなんとか縄を解き、脱出を試みる。その最中、河野の娘と見られる日記を発見、また、河野との会話から、杉並事件の犯行動機などが判明する。

 河野の娘が階段から落ち、頭を強打して診察待ちのところ、腹痛の愛人を連れてきた本谷が、議員風を吹かせ割り込んできた。
 そんなゴタゴタの中、河野の娘は「大丈夫だから」と言い帰る。ところが、帰宅途中、容態が急変、病院に引き返すが、死亡。
 本谷の娘は、父の浮気に気づき、浮気相手を調べるが、夕日とともにそのことは胸にしまっておくことにした。が、偶然にも河野がその場にいて、その娘が本谷の娘であることを知り、娘を殺害し、同じ悲しみを本谷に味合わせてやろうと決意。

 高峰は河野をプロファイリングし、脅迫に屈しないことが河野の動揺を誘うと進言。室長も、有能だが手柄を追い求める記者に頭を下げ協力を求める。
 その結果、河野があせって特捜に電話をかけた際、桜木に猿轡をしないというミスを犯し、手がかりを与えてしまう。
 自暴自棄の河野は、杉並事件の窒息装置を使い、桜木を道連れに窒息死を企てる。
 酸欠で気を失った河野を桜木は縛り上げ、口には酸素ボンベを固定して、特捜班の到着を待つ。室長に犯人逮捕をさせたいと言う気持ちで、自分の命を顧みない行動であった。

 間一髪で間に合い、めでたしめでたし。

   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~【あらすじ 終】


 あらすじを書いてみると、特におかしな箇所はないように思いますが、突っ込みどころは満載でした。
 まあ、突っ込みところが多いのは、私の感覚(細かいところを気にしすぎ)や誤認があるからかもしれませんが、なにより見逃すことが出来ない点がありました。
 それは、犯人の行動があまりにも不可解であったことです。


★犯人の行動の不可解さ

①河野は杉並事件で自分の犯行の痕跡を残さなかった。つまり、つかまることは嫌だった。それなのに、捜査の打ち切りを妨害したのは矛盾している

②(①にも関連しているが、)犯行動機は本谷に娘を失う悲しみを味合わせるためなので、目的は果たしているはず。「このままでは終わらせない」と捜査続行を求めるのなら、本谷に自分の犯した罪を悟らせるメッセージ(ヒント)を残しておかなければならない

③今回の話(再捜査)の発端は、共犯者の小栗の告白によるもので、河野は関与していない。捜査続行を促すわけでもなく、本谷を責めるような行為もしていない。

④桜木とは偶然遭遇したはずで、もし、遭遇しなかったら、捜査終了の発表に河野はどういう行動を起こしたのか

⑤もし、「捜査継続」を公表したら、河野はどういう行動を取ったのか

⑥なぜ、窒息装置を使ったのか?
 非常に娘を愛していた河野が、その娘と同世代の本谷の娘を、じわじわとしかもあんな狭い棺桶みたいなロッカーに閉じ込めて命を奪うのは、残酷すぎる行為だ
 逮捕に重要な手がかりを残すような装置をわざわざ使用するのはおかしい。
(前回記事でも記したが、そのような大きな手がかりがあるにもかかわらず、犯人を割り出せなかった捜査陣て……)

 とにかく、小栗告白以後の河野の行動は不可解


その他の謎や突っ込み

⑦本谷の愛人を脅迫したのは誰?
 これは私が見落としていただけかもしれないが、本谷の娘?それとも河野?

⑧「制裁を完了した」というメッセージつき紙飛行機、その意味は?
 それに、長島は近くに犯人がいるとは思わなかったのか?

⑨死ぬ間際の小栗のヒントが「ロケット」って、あまりにも分かりにくい。桜木がいなかったら永遠の謎?

⑩犯人追求の功労は、やはり科捜研?

⑪犯人の要求を呑まなかったのは、正しい判断?

⑫報道の興味をそらしたが、あのネタは本当?だとしたら、あの記者はすごい!ガセネタだったら、後が大変だろうし。リスクが大き過ぎ。

⑬不自然な酸素ボンベの存在。一応、一度酸素マスクの存在を示しているので、唐突感はないが、酸素マスクの存在の必然性はない。主役を際立たせるための小道具だった。

 あとは、杉並事件の犯行動機の設定
 割り込んだ本谷が原因と言えばそうですが、あのまま帰らずに待って診察を受ければよかったのではないかという疑問もあります。この逆恨みかどうかが微妙な設定というのも、今回の弱点です。
 これは、本谷が罪を自覚しない設定にするための苦肉の策なのでしょうが、視聴後にモヤモヤ感が残りました。
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心が広い

2010-06-06 18:49:45 | 時事
 ちょっと、時期を逃してしまいましたが……
 党首(首相)交代です。

 政治家は心が広くて、心に棚をいっぱい設けているのでしょうね。
 分かっていたこととは言え、感心します。

 安倍→福田→麻生と目まぐるしく党首を交代した自民党。
 それを痛烈に批判した民主党。

 今回、行き詰った民主党が、このままでは参議院選挙を戦えないと、党首を交代しました。
 これを、自民党は猛烈に批判しています。

 政治家は前向きで、後ろ(過去)を振り返らないのでしょうね。
 それとも、大事な過去は立派な棚の中に大事にしまってあるのでしょうか?

 棚に上げるのが上手です。


 いつも思いますが、
「○○(が党首)では、選挙が戦えない」
と言う台詞は聞きたくありません。
 党首を決めたのは、党の議員(党員)なのです。党の方針、行為は、自分たちの考え、行動なのです。まるで、自分たちに責任はないかのように、党首を非難します。自分たちが選んだはずなのですが。




 それにしても、対抗馬の樽床候補。

 「…誰?……そんな人、いたんや?」

 いや、それよりも、アナウンサーの
「たるとこし、出馬表明」
 と言う声を聞いた時、一瞬、理解不能でした。
 ……たるとこし???

 たるとこし……たるとこ…こうほ………ああ、「候補」ね。
 でも、東南アジアかどこかの大統領か首相の候補かと思いました。

 すいません。全国の樽床姓の皆さん。揶揄しているつもりはないのです。
 あまりに、突然の立候補で、私が無知なものですから、混乱してしまったのです。ご容赦下さい。

 でも、今までぜんぜん知らなかった人が、いきなり、日本の総理大臣というのも嫌だなと思いました。
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白い花の正体 その4 「驚愕の新事実」

2010-06-06 11:04:39 | 歳時
 5月26日の記事『白い花の正体 その3』において、ハルジオンとヒメジョオンの違いについて、一応の結論を出したつもりでいました。

 ところが、時が経ち例の野原に新展開が起こりました。


 野原の全景、と言っても西半分ですが、中央部に白い花が2群あります。


 黒い楕円で囲んだ一群は、『白い花の正体』(5月22日)で取り上げた、フランスギクの一群です。
 白く囲んだ部分は、新たに発生した一群で、写真は6月2日のもので、現在はさらに勢力を拡大しています。
 拡大すると

 よくわかりませんね。

 こちらは、フランスギクの一群です。

 若干、花が大きく見えます。


 野原の東部分に移動しましょう。

 なんだかよくわかりませんね。
 実は、まだつぼみがほとんどで、花が咲き始めたところです。この東側部分に限らず、野原のいたるところがこのような状態だったのです。中央部の新たに咲き始めた部分も、少し前はこんな状態だったはずです。

 分かりにくいので、画像処理したのが次の写真です。

 やっぱりわからないと思いますが、緑の雑草みたいなもの(雑草なのですが)が、にょきにょき伸びています。
 で、もう少し場所を変えて、分かりやすいモノを見ていただきましょう。


 これはかなり大きく育ったものです。平均的なものはもう少し小さいです。
 ほんと、にょきにょき伸びて、上部にポンポンと花をつける。茎もがっちりしていて、葉も分厚く大きいです。一本一本は大味でガサツな印象です。でも、これが群生し花をたくさんつけると、淡くやさしい印象になるのが不思議です。
 そう、これこそが「ヒメジョオン」です。
 
 とにかく、『白い花の正体2』 『白い花の正体 その3』で紹介した白い花とは、全く花の印象が違います。
 その時、撮った花が他の植物に埋もれるようにですが、まだ咲いていました。

 花は似ていますが、こちらは凄く繊細な印象です。
 『その3』の時は、この花を葉っぱの形から「ヒメジョオン」と判定したのですが、どうやら「ハルジオン」が正しいようです。
 あの時咲いていた白い小さな花は、実は全部ハルジオンで、それなのに、ハルジオンかヒメジョオンかで、必死に悩んでいたのです。 

 言い訳になりますが、つぼみがついていないモノは、雑草にしか見えません(雑草です)。『その2』『その3』の時も、ヒメジオンの周囲に、たくさん生息していたのに、私が認知していなかっただけなのです。


 これが5月16日に撮った写真です。今日の5枚目、6枚目の写真(画像処理を試みたやつです)の辺りです。単に草だと思い、気にかけませんでした。たくさん、生えかけていたので、念のため撮って置きました(えらいぞ、俺)。

 現在、この野原に限らず、近辺の空き地、草地、道端のあらゆるところで、ヒメジョオンが咲き出しています。背丈や茎の太さは生育環境によってさまざまのようですが、今年は見かけないなあと心配したのが、馬鹿みたいな気がします。
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『絶対零度~未解決事件特命捜査~』 第8話

2010-06-02 15:38:45 | ドラマ・映画
今回は前編なので、記事は無しにしようと思っていましたが…

過去に長島室長、高峰刑事が担当した「杉並事件」。

誘拐された女子高生は助けられない。
犯人は捕まえられない。
無実の容疑者を自殺に追い込む。

ズタボロの捜査でしたね。


私が自殺した容疑者の遺族だったら、高峰がいまだに刑事で犯人を捕まえる立場にいることは許さないでしょうね。遺族にとっては、高峰こそが犯人なのですから。


★今週の突っ込み
①あれだけ手間のかかる窒息装置をわざわざ作ったのだから、単なる営利誘拐ではないはず。被害者、あるいは被害者の両親への恨みの線をもっと追求するべきだった

②窒息装置の部品から犯人に辿り着けなかったのか

③捜査の継続を上層部に掛け合っているはずの室長だったが、その時刻、桜木からの尾行の報告の電話を部屋で受けたのは何故?

④犯人に偶然出会うのは、ドラマなので許すとして、背後から急に襲われたのではなく、相対した。仮にも刑事なのに、拉致されるなんて。
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アザミ、蝶など(5月18日、22日撮影)

2010-06-02 09:28:38 | 歳時
 いろいろ撮っていたのですが、「ハルジオンとヒメジョオン」「アヤメ、ハナショウブ、カキツバタ」の判別に悩んでいるうちに、アップが遅れてしまいました。

【5月18日撮影】

 「おっ、ヒメジョオン(ハルショオン)が咲いているじゃないか」とシャッターを切ったのがこれです。山間部の山べた(道端)に咲いていました。

 ここ数日、ヒメジョオン(ハルジオンかも)が道端のあちらこちらで見かけられるようになりました。そのことについては、また後日レポートしたいと思いますが、この写真の頃は「ヒメジョオン、ハルジオンが今年は少ないなあ」という感覚だったのです。

 でも、近づいてみると、全然違いました。

 ええと、この花は、ノヂシャ(オミナエシ科)です。ヨーロッパ原産、葉は食用。
 遠景で見間違いましたが、花の咲き具合もハルジオンやヒメジョオンより下部のほうから花が咲いていて、層が厚い感じがします。

 
 ノアザミ(キク科)です。若葉は和え物になる。
 先日アップした5月18日撮影のカキツバタのそばに咲いていた記憶があります。
 この時は、まだ1輪しか咲いていませんでしたが、22日にはかなり咲きそろっていました。


【5月22日撮影】
 ノアザミが咲いていた峠を越えて、海側の山べたには、黄色い花の一群が


 ノゲシ(ハルノノゲシ)に見えますが……

 ノゲシにしては花びらが少ない気がします。で、調べてみるとノゲシと同じキク科のコウゾリナではないかと。
 コウゾリナの特徴は、茎は葉に剛毛があることだそうです。写真を撮ったときは気が付きませんでしたが、アップした写真でははっきりしませんが、元画像にははっきりではありませんが剛毛が見て取れます。花も葉もそっくりなので「コウゾリナ」に決定します。

 と、撮っていたら、そこにお客さんが………



 次々に花を移るので、苦労しましたが、けっこういろんなポーズをとってくれました。


 最後は、カキツバタやノアザミが咲いていた手前の里に咲いていたエニシダ(マメ科)です。


 とにかく黄色が濃いです。「これでもか」と言うくらい黄色いです。私が実際に見た花の中で最も濃い黄色と断言しても良いくらいです。
 ウィキペディアには「この種は成熟すると殻が激しく爆発することで遠くへ飛んでいくことが知られている。時には15mほど飛んでいくこともある」と記されていますが、本当でしょうか。
コメント (6)
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