英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

世界柔道2013 ~この中継も酷いなあ~【追記あり】(第1日)

2013-08-27 18:00:26 | スポーツ
 柔道の素人の私が言うのも何だが、柔道って投げ技だけでいいのでは?と思ってしまう。
 もともとは武術、相手を倒すのが目的なので、抑え込み技、絞め技、関節技も含めて柔道なのだろう。
 しかし、ロンドン五輪後、ルールが大幅に改正され、その改正点の一つに、下半身に手を掛けての攻撃・防御が一切禁じられ、即反則負けとなった(連続技、返し技の中でも禁止)。
 柔道とはかけ離れた、投げ技とは言えない技(タックルなど)の禁止(タックルの禁止は2010年から)という意義は大きいが、防御する際、つい下半身に手を掛けて防いでしまい反則負けとなる悲劇も出てきている。まあ、これは、ルールに慣れるにつれ減ってくるとは思う。
 その他の大きなルール改正点は、指導(反則)より技の重視。指導をポイントとしては数えず警告扱い。つまり、4回の指導で反則負けとなるが、3回以内なら技のポイントをリードしていた方が勝ちとなる。(技のポイントが同じ場合は、指導の数が決め手となる)今回の改正で、最も評価される点であろう。
 以前は、指導1回で「有効」、2回で「技あり」、3回で「一本」扱いとなっていた(指導の前に「教育的指導」があったかもしれない)。なので、「有効2回」より「指導2回」の方が価値がある。それどころか、有効5本取っても指導2回の方が価値が高いという矛盾があった。

 さて、今朝(昨晩深夜~未明)の初日は、48kg級浅見八瑠奈が登場、無難に決勝に進んだ。しかし、決勝でモンゴルのムンフバトに立ち技から移行した腕ひしぎ十字固めを決められ敗れた。
 投げる意志は全くなく、初めから関節技を狙っていた。男子もモンゴル選手が決勝に進出しており、決め技狙いの傾向があった。
 ルールの中で戦うのだから文句は言えない。ただ、下半身に手を掛けることを禁止するのが「投げる柔道」を求めてのものなら、それとは離れた流れの技を認めるのはどうなのだろう。
 この際、投げ技だけにした方がすっきりして面白いんだけどなあ。

 準決勝で浅見に敗れたバンスニック(ベルギー)は、技の判定に不服だったのか、敗れた結果に不満足だったのか、試合後の礼が両手を腰に当てての礼であった。外国の選手で「礼」を重んじる選手は少なく、試合後に勝った相手を讃えることもあまり見かけない。握手も形式的なものが多い。
 この点日本選手の態度は素晴らしい。無念さいっぱいの浅見も、相手を讃え、悔しさを内に秘めて試合場を後にした。

 48kg級と言えば、谷亮子の存在故、五輪代表になれなかった福見友子。谷引退後のロンドン五輪代表争いでは、その直近では含みを凌ぐ実績を持っていた浅見が、福見との直接対決前に敗れ去ってしまうという悲劇と呼んでも良い無念さを味わっている。
 その浅見は先のこと(リオデジャネイロ五輪)を考えずに世界選手権3連覇に臨んだ大会だっただけに、その悔しさは計り知れない。

 さて、本題に入ります。
 中継はフジテレビ。早朝というよりは未明の衛星生中継はいいのだが、その内容は散々なものだった。
 中継が始まったのは午前3時55分。準決勝が始まる少し前を見計らっての時間設定だったのだろう。期待通り、浅見も男子60kg級の高藤直寿も準決勝へ勝ち進んでいて、準決勝前の敗者復活戦の最中に、勝ち上がりの様子やルール改正の説明や両選手の紹介VTRが流され、気分も盛り上がる。
 そして、準決勝が女子から2試合同時に行われ、その後男子の準決勝も2試合同時に行われ、浅見、高藤も見事に勝ち上がった。
 ここまでは良かった(その階級の五輪の結果や今大会の有力選手などの紹介がないのは残念)……
 問題は、準決勝が終了してから。それが放送開始46分後。CMが2分30秒挿入され、決勝を前にスタンバイする浅見の姿と準決勝ハイライト映像を合わせて1分間映して、またCMを2分間。CM明けに準決勝を再び流し(8分間)、CM(1分30秒)。決勝を前にスタンバイする浅見の姿を40秒。さらにCM30秒。
 CM明けに、試合場入口で並んで出番待ちをする決勝進出のふたりを映し、その後、ムンフバトの準決勝で有効を奪ったシーンを10秒ほど流し、あとはスタンバイする二人の姿を延々と流すばかり。この間、20秒ほど大会前に決意を語る浅見のインタビューを流すだけ。
 延々と時間を繋ぐ実況と解説の福見氏はたいしたものだが、どうせなら、3位決定戦やもう一つの準決勝の試合をきっちり見せてほしかった。ムンフバトが準決勝で破ったメネゼス(ブラジル)はロンドン五輪金メダリストであったので、尚更、そう感じる。
 準決勝終了後、CMを含めると約22分、無意味な映像を流したことになる。その後、3位決定戦の終了間際(残り5秒)から試合が映り、残り0秒、メレゼスがキム・ソルミ(北朝鮮)から一本を取り銅メダルを決めた。3位決定戦はこのシーンのみ。
 この3位決定戦の技が決まった瞬間のスロービデオのあと、更に、1分30秒後、ようやく、両選手が入場。
 男子の決勝前も、ほぼこのパターンだった。

 『世界柔道2013』と銘打っているものの、世界の柔道を伝える意志は全くなく、『日本選手、奮戦レポート』とタイトルを付けた方が良い。



 さらに、インタビューも酷かった

「銀メダルという結果になりましたけれども、今のお気持ちを」
「………………………………………………う~ん悔しいです」
「今日はですね、まあ終始、集中して、日本の先陣を切るんだという責任感のもとに闘っていらっしゃったと印象を受けますが」
「そうですね、あの~、優勝して次につなげたかったんですけど、本当にこのような形になってしまって……………ほんとに悔しいです」
「振り返ってみて、決勝戦、どのような形で関節技が入ったということは記憶にございますか?」
「そうですね、相手があの……たぶんあれは狙っていたと思うんですけど、腕を、あの…立ち技からもうそのまま、関節に来ようとしていたと思います」
「え、今、ひじの方は大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」
「さて、まだ、世界選手権、毎年、そして、オリンピックの道というものもあります。今、現時点で、いかがでしょう、今のお考えをお聞かせください」
「そうですね…うぅん……ちょっと先のことは分かんないんですけど、悔しいという気持ちは、ほんとに強いです」
「その悔しさをバネに是非、このあとも…」
「…ありがとうございます。がんばります」
「これからもがんばってください」
「ありがとうございます」
「お疲れ様でした。浅見選手でした」

 インタビュアーはきっと優しい人なんでしょう。その気持ちと、インタビュアーとしての使命感が、「今のお気持ちを」とか「このあとも…」という問い掛けのような中途半端なものにさせたのだろう。
 浅見の気持ちへの気遣いや、これからも続けて頑張ってほしいという気持ちは見えるのだが、もう少し、浅見が答えやすい質問を用意して欲しかった。


 さらに、この中継には、強烈なオチがついていて、男子決勝途中残り3分のところで、放送時間終了時刻となり、「この結果は『めざましテレビ』の中でお伝えします」と言って、放送終了。

 私は録画したものを観たので、この後の『めざましテレビ』でどのように中継されたのかはわかりません。CMが挿入されて、『めざましテレビ』が始まる前に試合は終わったのでしょうか?それとも、すぐ中継を引き継いで無事中継できたのでしょうか?

【追記】
 女子52kg級、橋本優貴は準決勝で世界ランク1位ケルメンディに指導の数1-2で敗れた。お互い技のポイントはなかった。
 技のポイントなし、つまり、「投げられていないのに負け」、「投げていないのに勝ち」というのには違和感を感じる。技のポイントがない場合は、延長戦にしてもいいと思う。
 この考えには、「技のポイントがある場合、その内容が同じなのに、指導の数で勝敗を決めるのはおかしい」という反論が成り立つ。
 が、やはり、「投げていないのに勝ち」という違和感はポイントありで同ポイントの場合より違和感は大きい。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『八重の桜』 第34話 「帰... | トップ | 世界柔道2013 その2「... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
残念です 大野選手以外の選手 (マイマイ)
2013-08-31 21:08:34
とても最初はとてもうれしくて興奮してたんですが

後半少し 悲しくなってきました

残念です 
悔しいです
言葉になりません


返信する
気の毒な面も ()
2013-09-01 10:25:07
マイマイさん、こんにちは。

>後半少し 悲しくなってきました

 苦しい状況ですね。ただ、他の記事で書きましたが、日本選手にとって、気の毒な面もあります。
 日本人は小柄なので、軽量級は選手人口が多く、重量級は少ないです。
 それに、体格のいい少年少女は他のスポーツに流れてしまうことが多いような気がします。
返信する
苦しい 残念  (マイマイ)
2013-09-01 17:12:59
今日も録画したので見たいと思ってます

男女共に応援してたのに残念です

言葉にならない位 凄い悲しくて悔しいです

頑張って下さい 日本代表選手の皆さん

返信する
気持ちが伝わります ()
2013-09-01 20:03:01
マイマイさん、こんばんは。

>言葉にならない位 凄い悲しくて悔しいです

 マイマイさんの気持ちがよく伝わってきます。

>頑張って下さい 日本代表選手の皆さん

 マイマイさんの気持ち、選手たちに届くと思いますよ。

返信する

コメントを投稿

スポーツ」カテゴリの最新記事