英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season16 第12話「暗数」

2018-01-18 13:19:06 | ドラマ・映画
『相棒』は担当脚本家によって“社会派ドラマ的・心情ドラマ的要素”と“ミステリー要素”のバランスが異なり、今話担当の山本むつみ氏は、前者にウエイトが掛かることが多い。
当ブログでは season15 第4話「出来心」において
……≪人情的なドラマ性に重きを置いているようだが、今回はその部分が面白かっただけに、事件のミステリー度が低かったのが残念である≫……と述べている。
 私はミステリー要素を重視してしまうので、申し訳ないが“要注意脚本家”の範疇に入れさせていただいている。あと、肝心の心情の部分も納得できないこともある。
(要注意脚本家として、他に真部千晶氏、西岡琢也氏、池上純哉氏、金井寛氏らがいる。『相棒』の脚本とは限らない)

 今回は、性犯罪の被害者の心情、告訴するリスクの大きさ、権力者による事件の揉み消しなどを深く描いている点で評価できる(上から目線、陳謝)
 しかし、事件はカルト集団に取り込まれたサイバー課の谷崎の誘導による副総監襲撃ということのみの薄さ。晃子(長野里美)の娘の事件と、副総監の妻・祥子(筒井真理子)の過去の心の傷を絡めてあるだけ(もちろん、山本むつみ氏にとっては、こちらがメインなので襲撃事件は薄くても構わないのだろう)
 谷崎の裏切りは意表だが、唐突感が強い。もともと、取って付けたようなキャラだったが、取って付けたような“寝返り”によって、退場…。

 祥子の病気療養も不自然。身体的疾病ではなく心因性によるものっぽいので、娘と離れて暮らすのが良いとは思えない。それとも、ストレスの原因が夫の副総監なら納得はできる。でも、それだと、“夫のストレス”>“娘への愛”ということになる。

 今回で一番良かったのは
「あなたを捌く法はありません。
 あなたの良心以外には」

と右京が副総監を糾弾したシーン。

 さらに、去り際、副総監の背後からの
「今回の件で、私に貸しを作ったつもりかね?」という問い掛けに
「いいえ、全く」
と厳しい顔で答えたのも良かった。

 ラストの方で、楽しそうに料理を作っている母娘をバツの悪そうに見つめる副総監。
 副総監に気づき、家族としての声を掛けるが、それは上辺だけで、副総監もそれを察知し、悲しげに視線を外す。
 右京の糾弾より、堪えたかもしれない。

【その他のツッコミ】
①晃子が娘の写真に向かって「もう、行かなくちゃね」と告げるシーンは、フェイクの掛け過ぎ。
 (副総監の娘・里奈のピンチに、特命係や晃子がタイミングよく助けに来たのは目を瞑るとしても)
②田川刑事、晃子がフェードアウトしたのは、尺の関係か?
 晃子は、里奈から「早く良くなって戻ってきてね」という手紙をもらったというのに……
③田川刑事役の久保田磨希さんもゲスト扱いにして欲しかった


第1話「検察捜査」
第2話「検察捜査~反撃」
第3話「銀婚式」
第4話「ケンちゃん」
第5話「手巾(ハンケチ」
第6話「ジョーカー」
第7話「倫敦からの客人」
第8話「ドグマ」
第9話「目撃しない女」
第10話 元日SP「サクラ」
第11話「ダメージグッズ」


【ストーリー】番組サイトより
副総監の命を狙う襲撃事件が発生!
背景には4年前の脅迫事件が!?


警視庁副総監の衣笠(大杉漣)が、青木(浅利陽介)と会食後、2人の暴漢に切りつけられる事件が発生。衣笠は7年前、県警本部長時代に、カルト集団の一斉検挙を指揮した経緯があり、その関連も視野に入れて緊急対策チームが編成される。いっぽう、青木から事件の話を聞いた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、独自の捜査に乗り出し、衣笠家を訪れる。周囲は警備が強化され、許可のない者は門前払いだったが、以前、事件の目撃者として特命係と知り合った衣笠の娘・里奈(桜田ひより)の計らいで話を聞けることに。衣笠家には、4年前にも脅迫めいた手紙が届いており、母の祥子(筒井真理子)はそれで体調を崩して今も療養先から戻ってないという。以来、家事は晃子(長野里美)という家政婦が担っているというが、彼女の存在に引っ掛かるものを感じた右京は周辺を調べ始める。

副総監襲撃と4年前の脅迫事件に繋がりが!?
渦中の衣笠家で働く家政婦の“秘密”とは…?
過去と現在が交錯する事件に特命係が光を当てる!


ゲスト:筒井真理子 桜田ひより 長野里美

脚本:山本むつみ
監督:橋本一

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2 コメント

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人間ドラマとしては良かったです (marumori)
2018-01-20 20:10:22
英さん、こんばんは。

 今回は、昨シーズンの『アンタッチャブル』の続編でしたね。私は、今回の方が好きです。

 人間ドラマとしては非常に良くできていたと思いますが、事件の方はやや浅くなってしましました。ご指摘のとおり、山本むつみ氏の脚本はそのような傾向が強いですね。

 サイバーセキュリティ対策本部の谷崎は、昨シーズン最終話『悪魔の証明』が初登場でしたが、元日スペシャルの『サクラ』、そして今回と3度目の登場で退場させられてしまいました。青木年男と対立するキャラとして育てていくのかと思っていたのですが・・・。結局何のために出てきたか分かりませんでしたね。

 個人的には、谷崎が青木の副総監からのメールを覗き見る場面は、冒頭で出して伏線とした方がよいようように思いました。

 ちなみに、衣笠夫人役の筒井真理子さんは、シーズン3第10話『ゴースト』で推理作家役を演じて以来のゲスト出演でしたね。
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同感です ()
2018-01-20 20:52:02
marumoriさん、こんばんは。

>今回は、昨シーズンの『アンタッチャブル』の続編でしたね。私は、今回の方が好きです。

 私もそうなんですが、率直に言うと、「アンタッチャブル」の評価が低い故なのですが…
 やはり、ミステリーとして物足りないです。

> 個人的には、谷崎が青木の副総監からのメールを覗き見る場面は、冒頭で出して伏線とした方がよいようように思いました。

 ええ、あれでは“後出しジャンケン”です。(この点について書こうと思っていたのですが、失念しました。ちょっと悔しい…)

>(谷崎は)青木年男と対立するキャラとして育てていくのかと思っていたのですが・・・。結局何のために出てきたか分かりませんでしたね。

 ええ、過去2回はほぼ脇役で、本筋には影響がないキャラでした。今回は、意味のある存在でしたが、退場させられてしまいました。
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