英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

駆け込み退職教師……「教師」「先生」と呼びたくない

2013-01-23 21:39:18 | 時事
「 2月1日から退職金が削減される埼玉県で、教職員による、大量の「駆け込み退職」の動きが起きている。
 3月末で定年退職する公立校の教職員のうち、110人が、1月中の退職を希望しているという。
 その中には、4人の教頭と30人のクラス担任も含まれているという。」

FNNニュースより)
 この現象は埼玉県だけではなく他県でも、また、教職だけでなく警察官などたの職務についても起こっているらしい。

(後で、違う視野からの考えも述べますが、先に言いたいことを言わせてください)
 いろいろ事情があると思うが、もう「教師」「先生」と呼びたくない。
 受験シーズンまっただ中、そして卒業式もあるというのに、その責任と150万円(2月3月と職務を全うしその給与を差し引くと70万円)を天秤にかけて、後者を選んだことになる。
 公的には「教員」と言うのかもしれないが、一般的には「教師」と呼んでいる。「師」という言葉には敬意が込められている。
 また、呼びかけの言葉として「先生」が使用されている。もちろん、敬意が込められている呼称である。まあ、広い意味の敬意でそう呼ぶこともありそうだ。教師のほかには、医師、弁護士、議員、師匠(教える人)などがそう呼ばれる。
 「聖職者であれ」とは言わないが、ある程度の覚悟を持って職についてほしい。逆に「教師だってサラリーマン(人間)だ」ともよく言われる。
 私の兄が公務員で、昔、よく愚痴を聞いたことがある。そういうことがあったので、私も公務員がうらやましいという妬みも込めて自分の仕事の愚痴を言ったことがある。その時の兄の言葉が
「そう思うなら、公務員になればいい」
 弾みで言った言葉だろうが、私は忘れられない。その後、一度も兄に対しては仕事の愚痴は言っていない。
 そう、「教師だってサラリーマン」という人は、教師にならなければいい。嫌なら辞めればいい。
 教師は多くの子どもに影響を与える職業。しかも、通常、子どもは教師を選べないのである。さらに、教師は給与的には恵まれている。今回の退職金減額も民間との格差を減らすという目的だったと聞く。
 どんな職業だって大変であろう。消防士なら火傷あるいは命の危険さえある。警察官だってそうだろう。しかし、現場や職務を投げ出さないのは、職業意識を持っているからであろう。

 2か月を残して、受験、卒業式を投げ出して退職する「学校で授業をしてきた人(教師と呼ばれるらしい)」は、自分が長年就いてきた仕事、あるいは人生を否定するようなものだ。

 ニュースやワイドショーでキャスターたちは「責めることはできないが」という言葉を発していた。そうかもしれないが、誰か一人ぐらい、はっきり否定して欲しい(私が目にしなかっただけかもしれないが)。
 そのせいもあって、きつい論調になってしまった。

★教員の立場で考えると
 いきなり(告知は1か月前)、「退職金が150万円ほど減額されます」と言われても、もろもろの事情(家のローンや子どもや孫の婚礼など)で、退職金を当てにしていたかもしれない。そういう事情がなくても、150万円も減らされるのは、堪ったものではない。3月一杯、2か月働いても、約70万円損するでは、ばかばかしくて教師などやってられない。
 私も同じ立場なら、同様なことを思うに違いない。上記で「150万円と職務を天秤にかけた」という表現をしたが、「もらう」と「損する」では事情が違う。
 最近は、子どもたちも素直じゃないし、モンスターペアレンツとまではいかないが、うるさい親も多い。ネットなどの情報も早いので気が抜けない。そんな心理状態で今回の退職金減額を告げられたら、ぐらっと来てしまうかもしれない。

★行政の考え足らず
 国からの「速やかに」実施しろという要請を鵜呑みにし、さらに、39億円の予算削減になるという皮算用があったのだろう。
 しかし、こういう損得計算が生じてしまう時期にこの措置を取ることは、教員におかしな選択を与えてしまい、結果的に現場の混乱を招いてしまった。
 期限内に退職する者は多くないと考えたのだろうか?私は退職者が一人でもいたらダメだと思う。「自分の担任が受験や卒業式を放棄してしまった」と思うことは重大な不幸である。
 また、この時期にこういう選択を迫ること自体、あってはならないことである。

 埼玉県の上田清司知事は
「個人の自由ですから、そこは、とやかく言うわけにはいかないですが、やっぱり、学級担任を持っている方々には、頑張ってほしかったな」
「(2月から減額しなければ)われわれは39億円(負担が生じる)。今度は逆に、国民から『あなたたちは、わざと遅らせている』という批判を受けます」

と述べているが、こういう混乱を招いた浅慮も責められるべきだ。

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8 コメント

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悲しい・・・ (玉です)
2013-01-24 20:15:37
39億円って・・・どんだけ、退職金配るのでしょう。
毎月給与もらってるのに、共済年金の他に、退職金。
うらやましいと言ったら、「公務員になれば」って言われちゃうかもしれないけど、自分の給料がむなしくなります。

それにしても、いきなり1月に退職は無責任ですね。
決めた行政も、呆れちゃいます。
公務員の印象が・・・
「役所仕事だね」って言葉、まだ死語ではありません。
返信する
公務員もいろいろ ()
2013-01-24 23:10:37
玉さん、こんばんは。

>39億円って・・・どんだけ、退職金配るのでしょう。
>毎月給与もらってるのに、共済年金の他に、退職金。

 私自身、退職金やボーナスとは無縁なので、相場は分かりませんが、以前は種々の「○○手当」があったようです。
 以前、確か8年か9年前に、教職員組合の県大会に、PTAに動員がかかり、土曜日に福井市まで仕事を休んで参加したら、その内容が教育云々ではなく、○○手当がどんどん減らされていて、教員の待遇を改善を文部省(文科省)に求めようという決起集会でした。
 「こんなにいろいろ貰っていたんだ」としか思えませんでしたし、教員の待遇の改善と言っても、十二分な待遇だと思うし、そんなことのため参加させられたのかと思うと、腹が立って仕方がなかったです。

 兄の名誉のため言うと、まじめに働いている公務員もたくさんいます。しかし、「お役所仕事」と感じることは多いですね。
返信する
自分の身に置き換えてみれば・・・ (megumi)
2013-01-25 00:05:57
こんばんは

仰ることは よく分ります。
教師に限らず時期が悪過ぎます。
こういうことは 年度末に施行すべきです。

退職金って 
毎月給料から天引きされている長期共済で賄われているものだと思っていましたが 
違いますか?

私の夫も 
まだ退職年齢ではありませんが
公務員ですし 真面目に働いています。

退職時の退職金が幾らになるか 全く不明なので
老後の生活設計が出来ません。
あと3年で 日本がどう変わるか ビクビクしています。
返信する
退職金 ()
2013-01-25 13:12:53
megumiさん、こんにちは。

>退職金って 
>毎月給料から天引きされている長期共済で賄われているものだと思っていましたが 
>違いますか?

 退職金は、本質的には「賃金の後払い」で、きちんとした法令化はされていないようですが、広く浸透した慣例となっているようですね。
 公務員は法律によって、その金額の算出規定など定められているようです。
 賃金の後払いとすると、今回の減額措置は酷いと言えますね。
 まじめに働いている公務員の方は承服できない措置だと思います。

 私は、PTAで教員との関わりは非常に深く長いです。また、友人や先輩にも教員となった方は多くいます。
 尊敬できる教師も多くいますし、教員を辞めてほしいと思う人もたくさんいます。教師に対する偏見で記事を書いたのではないということをご理解ください。
返信する
実に浅ましき (かみしろ)
2013-01-28 23:49:15
実に浅ましき世の中ですね。
一番悪いのは行政でしょう。
今回の、この時期にという不手際だけでなく、凡そ戦後という時代は
「紙幣にならない価値」を軽んじてきた。
ワタミの狂人などは
「仕事の価値は賃金を得るだけではない」
など、自分の実入りを良くする為に実に破廉恥な発言を繰り返します。


本来教育というのは実に恐ろしい行為です。
生来的には様々な性質を持った人間を、「鋳型」に押し込めるのが教育というもの。無理矢理押し込めたり、ちょんぎったり、付け足したりして型に押し込める。
教育なんてのは可能な限り行わない方がいい。
教育者としての自分や、親としての自分、行っている教育に自信や誇りを持っている存在というのは、実に危うい。
教え子やわが子に誇りを感じ、どうやら自分のやってきたことは「それ程大きく間違ってはいなかったらしい」と安堵するのが本来あるべき最大級の高評価。
そのくらい責任が重く正解もない、しかしやらない訳にはいかないことですよ。
新政権はどうやら、35人学級の実現を停止するようです。細部を指定したへんてこりんな鋳型も導入するでしょうから、教育も教員の質もますます劣化するでしょう。本当に腹立たしいことです。
返信する
構造自体に問題 ()
2013-01-29 10:13:45
かみしろさん、こんにちは。

>本来教育というのは実に恐ろしい行為

 ええ。
 なので、道標を示したり、方角を誤り踏み外しそうになったら支えてやるといった遠巻きなものがいいと思います。
 ですが、現代の道は、急に崖に出たり、道が細く曲がりくねったり、スリップしやすかったりと、指導もがんじがらめでないと対処できないのかもしれません。

 それはともかく、現場を知らない文科省からのトップダウンの構造が問題の根源にあると思います。
 教員だけの独立した組織というのはもっと困りますが、現場の「良識ある声」がもっと反映されるべきです。
返信する
この問題は・・・・・ (IDEA)
2013-02-05 01:08:36
英さん こんばんは。(遅くにすいません)

私としましては、この問題は微妙です。
報道を額面通り受け取れば、生徒と退職金を天秤にかけた教師はとんでもないという話になりそうですが、教師といえども一介の人間なので、お金に困っている人や老後に不安を抱えている人や、高校や大学に子どもが通っていて、これからお金がかかるという人もいるでしょう。

もちろん退職金が150万も減るなんて冗談じゃない!と考えて駆け込み退職をした人もいるでしょうけど、事情は皆さまざまなんでしょうね。
公務員、特に教師は「聖職者」だから・・・という筋論が今の時代に通用するかどうかはともかく、問題の根っこには「税金をもらって働いている人たちに競争原理が働かない」という事に問題があるような気がします。

定年まで勤めたらいくら・・・という制度自体に問題があるのではないかと。

今回の件でつくづく思ったのは「日本人はもはや一様ではない」という事を、改めて認識させられたという事です。

様々な価値観や生き方が錯綜し、どれが正しいのかよくわからない(正しいなんてものはないのかもしれませんが)

しかし不思議な事に、他者を批判するときは皆「一様」になるんです。
これは既成の大手メディアが完全に時代遅れになっている証左だと思います。

今の時代の現状や、日本人が一様でないという状態を的確にアナウンスする文脈を持っていないのではないかと・・・

だから今は財政支出を削減する事は正義であって、退職金のために駆け込み退職した人々は批判の的になる。
税金から給与を得ているという事で、公務員はスケープゴートになりやすいんですね。
尖閣を守っている海上保安官や、震災復旧で苦労した自衛隊員が「退職金が減ると困るので辞めます」と言い出したら、世論はどう反応するのか、非常に興味深いです。


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確かに、当事者に立場に立つと ()
2013-02-05 11:49:27
IDEAさん、こんにちは。

 私も微妙な問題だと思っていますが、辞めずに働いて給与をもらっても70万円も損をするとしたら、気持はぐらつきます。ただ、こんなことを言うのもおこがましいのですが、批判の声を上げないと、教師のサラリーマン化が進むと思っています。
 今回は、教師にそういう選択を強いた行政の浅はかさが一番の問題だと思います。

>問題の根っこには「税金をもらって働いている人たちに競争原理が働かない」という事に問題があるような気がします
>定年まで勤めたらいくら・・・という制度自体に問題があるのではないかと

 そう、それなんです。
 自分の担当が終わるまで適当にやり過ごし、問題を先送りする悪癖がよく見られます。その上、退職金をもらうので、無事定年まで勤めたいという保身の気持ちも強くなるのではないでしょうか。

>不思議な事に、他者を批判するときは皆「一様」になるんです。

 ええ、マスコミも大衆に迎合するような報道、意見しかしません。
 たとえば、バスケ部の体罰事件に関しては、自ら命を絶つことの勿体なさや残された家族の悲しみを説くコメンテーターはいなかったような気がします。(私が見ていないだけかもしれません)
 沖縄の基地移転問題については、その補償として「莫大な沖縄復興費をもらい続けている」という突っ込みはありません。あ、知事へのインタビューの中で、知事の返答が「それはそれで別問題」と答えていた記憶はありますが。
 上の記述の「補償として復興費をもらっている」というのは、私の憶測で、マスコミの姿勢に関する例を上げただけとお考えください。
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