カンボジア経済

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IMF IV条協議結果2021 新型コロナから経済回復へ

2021年12月15日 | 経済
 国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。2021年9月13日から17日に行ったカンボジアとの協議結果詳細について、12月9日にIMFから発表がありました。
 カンボジア経済は、新型コロナの影響で、2020年は外需激減、2021年は国内感染の拡大によるインパクトを受けたと分析しています。対外債務は問題ないものの、国内での銀行貸付、特に個人、不動産、観光向けの貸付について緊張が高まっていると指摘しています。主なポイントは、(1)GDP成長率については、コロナの今後の状況に強く影響されるが、2021年2.2%、2022年5.1%と予測。それ以降は2026年まで5.9%~6.5%の高度成長に回帰すると予測。(2)物価上昇は問題なし。2021年は2.8%、2022年は3.0%と予測。(3)経常収支赤字は、対GDP比で2021年には26.9%まで悪化するが、2022年には16.7%、2023年には9.2%に改善する見込み。(4)外貨準備は2021年205億ドル(輸入の9.4か月分)、2022年218億ドル(輸入の9.1か月分)を見込み非常に安定的。(5)財政赤字は、新型コロナ対策で2021年対GDP比5.6%に悪化、等です。なお、債務持続性分析では、カンボジアの対外債務の状況を、2021年の債務返済比率(DSR)が2.0%と非常に低いことなどから、「低リスク(青信号)」に分類し、概ね問題ないものとしています。
 IMFの理事会では、このレポートに基づき、カンボジア政府の新型コロナ対策(貧困層への現金支援、中小企業対策、中央銀行の金融政策等)を評価しました。特に、ワクチン接種については大成功だったと高く評価しました。経済については、今後の見込みの不確実性が高いことから、短期的な対策に集中するとともに経済回復に応じた政策が必要であると指摘しています。財政については、新型コロナ対策で歳出が膨らんだものの、今後は税収増化努力と国債発行・国債市場の開発等によって、財政の耐性を高めることを提言しています。金融セクターについては、新型コロナで返済が困難となった借入人向けの貸付条件緩和を評価するものの、不良債権が増加するリスクを指摘し、中央銀行の緩やかな出口戦略の必要性を指摘しました。今後の課題としては、競争力強化と産業多様化に向けた構造改革が重要であると指摘し、具体的には、インフラ拡充、教育への財政支出、気候変動への対応の強化等を提言しています。
 非常に詳細な英文のレポートですが、統計数字等については最も信頼が置けます。下記のIMFのサイトをご覧ください。
(写真は発展するプノンペン市内)

IMFの発表(英文です)
https://www.imf.org/en/News/Articles/2021/12/08/pr21365-imf-executive-board-concludes-2021-article-iv-consultation-with-cambodia


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