カンボジア経済

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カンボジア中央銀行年次報告書2018

2020年01月10日 | 経済
 12月24日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(National Bank of Cambodia: NBC)は、年次報告書2018を発表しました。通常は年央に発表されますが、今回は英文版の発表が遅れていました。
 内容は、世界経済見通し、マクロ経済動向、金融政策、カンボジアの銀行システム、中央銀行活動、カンボジア金融情報機関(CAFIU)、国際協力、中央銀行の内部管理、2019年の見通しと目標等です。経済状況や金融システムを概観するにはとても有益な報告書です。
 2018年のマクロ経済については、好調な輸出、建設、観光に支えられて、GDP成長率は7.3%でした。米中貿易戦争に関しては、カンボジアは対外直接投資の受け皿になる等、漁夫の利を得たとしています。物価上昇率は、2.5%と安定的でした。リエルの対ドル為替レートも安定的でした。また、貿易赤字は、サービス収支(観光等)、移転収支(ODA等)、資本収支(直接投資等)の黒字で埋め合わせて、総合収支では、GDP比4.5%の黒字となりました。この結果、2018年末の外貨準備は、約100億ドル(輸入の5か月分以上)に達しています。
 銀行セクターは、経済に重要な役割を果たしており、金融包摂の推進、金融リテラシーの改善、銀行健全性維持のための規制等に取り組んでいるとしています。また、金融インフラと電子支払は大きく進展したと評価しました。NBCでも、ブロックチェーン技術を活用した電子通貨「バコン」の開発を進めたとしています。銀行セクターに不可欠な信用情報システムも強化されました。
 2019年については、引き続き経済は好調で、成長率は7%前後、物価上昇率、為替レート、外貨準備等は安定的に推移すると見込んでいます。リスクとしては、外的要因としては、米ドル高、石油価格の上昇、EUの特恵関税制度EBAの資格停止等を挙げています。また、内的要因としては、建設セクターへの過度の依存、建設不動産向け融資の増大、最低賃金の上昇等を挙げました。
 カンボジアの金融・通貨制度は、整備の途上にありますが、地道な努力が継続されており、安定的な発展が期待されます。

中央銀行年次報告書のサイト(英文です)
https://www.nbc.org.kh/english/publications/annual_reports.php



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