カンボジア経済

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海上油田 ついに商業生産開始

2021年01月05日 | 経済
 12月29日、シアヌークビル沖の海上油田鉱区ブロックAで油田開発を進めているクリスエナジーは、商業生産を開始したと発表しました。フン・セン首相も同日の国民向け演説で本件に触れ、「石油生産開始はカンボジアを祝福するものだ」と称賛しました。また、シハモニ国王陛下も、初の石油生産をお祝いするとのコメントを発表されました。
 海上油田ブロックAについては、当初はシェブロンや日本の三井石油開発等も権益を有していましたが、税金問題などでカンボジア政府と折り合いがつかなかったこと等から、現在は、クリスエナジー95%、カンボジア政府5%となっています。開発のフェーズ1Aは、ブロックAのうち3083平方キロメートルで、水深50~80メートル程度と見られます。フェーズ1Aでクリスエナジーは、海上プラットフォーム1基(24井)と浮体式生産バージ、更に1.5キロのパイプラインで接続される浮体式貯蔵積出設備(FSO)を投入して、日量3万バレルの原油を生産する計画でした。現在、更に縮小したミニフェーズ1Aでは、日量7500バレルを目指すとしています。今回の初生産は、A-01D井からであり、今後更に4本の油井の掘削を行い、2月以降に本格生産に入るとしています。
 なお、日産7500万バレルで、1月4日現在のWTI価格49ドルと仮定すると年間の売上は1億3400万ドル程度(約138億円)となります。カンボジア政府の収入は、持ち分と税金で数十億円程度と見込まれ、あまり大きな金額ではありませんが、フン・セン首相は教育セクター等に活用したいとしています。また、カンボジアの石油類(ガソリン等)の輸入額は、約2500億円(2019年)ですので、ブロックAの生産額は輸入の5%ほどに当ります。
 当初の計画では2012年12月12日に商業生産が開始される見込みでした。大分遅れましたが、商業生産が開始されたことは大きな意義があります。これまでカンボジアは石油製品を全量輸入に頼っていましたので、原油の産出により、貿易収支の改善に加え、国際石油価格の変動ショックを吸収しやすい経済体質となることが期待されます。
(地図は、JOGMECレポートより)

クリスエナジーの発表(英文です)
https://krisenergy.com/default/assets/File/Cambodia%20Apsara%20field%20comes%20onstream%2029Dec2020.pdf



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