にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

PCR検査さえ受けられればOKではありません

2020-03-25 09:51:27 | つれづれ
新型コロナウイルス感染が全世界にどんどん拡大している状況で、「日本はPCR検査が不十分」「このままでは感染者も死者もどんどん増える」と煽るような報道が目立ちますが、少し冷静に考える必要がないでしょうか。
確かに「医師が必要と判断したのに保健所に拒否されて検査ができない」というのは事実であり、これは一刻も早く解消しなければならない事態です。
しかし「濃厚接触したわけではないけれど、心配だから念のため検査を受けたい」とか「近場で簡単に検査が受けられるようにしてほしい」などという希望については、検査の中身(意義や限界)が良くわからないための誤解があるように思います。
PCR検査は大変優れた検査であることは確かですが、インフルエンザなどの迅速診断も含めて、検査というのは100%の精度で行われるものではありません。
こうした検査にとって重要なポイントは、「感度=陽性を正しく陽性と判定できる割合」と「特異度=陰性を正しく陰性と判定できる割合」の二つです。
感度についていえば、新型コロナでは70%程度と推定されているようですが、これを分かりやすく説明するなら、
「感染している人100人を検査しても、30人は陰性と判定されてしまう」
言い換えれば
「陽性判定は信頼できるが、陰性判定は信頼できない」
ということになります。
一方の特異度についてはどの程度かよくわかっていないようですが、特異度が99%という高いものと仮定した場合でも、
「感染していない人100人を検査すると、1人は陽性と判定されてしまう」
言い換えれば
「むつ市では感染者がいない状況でも、むつ市民5万人を検査すると500人が誤って感染者と判定されてしまう」
ということで、
「感染率が低い集団では、検査を増やせば増やすほど、偽感染者を作り出してしまう」ことになってしまいます。

そして、こうした検査を行う場合、医療機関ではN95マスク・ゴーグル・ガウン・手袋を1回の検査ごとに取り換えながら行わなくてはならず、もし感染者が見つかった場合には医師や職員はもちろん、その感染者と接触のあった他の患者さんも濃厚接触者として経過を見ていかなくてはならない事態になるということです。

こうしたことを総合的に考えれば、重症感染者が爆発的に増加しているわけではない日本の現状では、
一番大切なのは「風邪かなと思ったら仕事も学校も休んで自宅待機すること
であり、その上で
検査の施行については、最終的には医師の判断に任せること
だと思います。
そして、そのためには私達医療人も、
普段から患者さんと良いコミュニケーションをとること
が求められているのだと思います。

  ~~~ 一日も早い終息を願って ~~~
コメント   この記事についてブログを書く
« 発熱患者さんの動線を分離します | トップ | コロナの影響で、臨時休診を... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

つれづれ」カテゴリの最新記事