図1.界隈の概念図 これまでに、こんな概念図を随分書かされた。何度かいても考え方は変わらない。
住まいのアナロジーでいえば住宅の廊下や縁側が都市の街路である。住まいのアナロジーでみれば、廊下や縁側は都市の街路やカフェテラスかもしれない。廊下の材質は街路のペーブメントにあたり・・・、といったように論じることができる。
都市を住まいの延長としてみることができれば、都市の景観や都市に置かれる家具(街具と呼ぶ)や照明が気になるし、それにいつも綺麗にしておきたいと思うだろう。コモンセンスというのは、そうした考え方から生まれてくる。
そんな我々がいうところの、「界隈」という概念を図示したのが図1だ。
道路の私的利用ができない日本では、建物を敷地境界線からセットバックさせて生まれた空間をカフェテラスとすればよいわけです。しかし建築家の無関心や商業デザイナーの感性のなさ、あるいはオーナーが面倒だといういくつかの理由から、日本では長く続くことはなく、ここがカフェテラスで一押しといった店舗ができることなく定着しません。
そこには、欧米人と日本人の意識の違いがあります。欧米人はカフェテラスがあると最初にここから席が埋まりますが、日本人は奥の席から埋まります。やはり路地の奥の隠れた居酒屋を発見し、一番奥の席でお酒を飲むときこそが落ち着くという、古来からの意識を引きずっているのかもしれません。
そんなわけで今の私達は、外部と明確に仕切られた扉をあけ、安普請のインテリアを眺めながら珈琲をいただくことになるわけです。それよりは、街路を歩く街の人々のファッションなどを眺めていた方が面白いとは思いませんか。街路は情報発信のるつぼなのです。
図2. パリのカフェテラス Y.UCHIDA撮影
図3. ミラノ・ドゥオモのカフェテラス
図3. 日本のカフェテラス
街路論では、カフェテラスに始まり、街並み、家並み、家並みなどの街の景観、ハンプやボラートなどの道路の構造、そして街具としてのベンチ、照明、プランター、街路樹、ゴミ箱、数多くのサインや企業のCI、最近見ない電話ボックス、自転車置き場・・・などなどについて世界の事例を紹介しつつ論じてゆきますが、このブログではとても長くなるので省略します。
NikonF,Nikkor-H Auto28mm/F3.5,NikonF4/35-70mm/F2.8、エクタクローム
参考文献:三井不動産S&E研究所/北山創造研究所編:まちづくりの知恵と作法,日本経新聞社,1994,p79-102.