Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

番外編398. 講義抄録・地域空間構成論第10講 商論

2019年01月28日 | Nagoya city

図1. 雲南省の古来からの市場(商いの原点)

 

 この講義の最後は、商(あきない)論。大学の講義では、Place Making(場づくり)とMerchandising(業態:売り方の分類)とのマトリックスで各商業施設を位置づけている点が空間系の講義では新しい。前者は常設的展開と仮設的展開に二区分され、例えば露天市などは仮設的扱いになる。また特に後者の目線がが大変重要で、この目線を欠いては施設計画自体ができないほど今日では重要な概念である。

 だから建築がわかるマーチャンダイザーを養成すべきかなと思いつつ、月日がたってとしまった。実をいうと、そのまえにいくつかの研究をしなければわからないことも多いのだ。なんだったかなぁー・・ふとど忘れしてしまった。

 このブログでは、それらに位置づけられた商業施設のなかから、いくつかをトピックス的にみてみよう。

 

図2. 横浜元町商店街   商店街振興創世記の事業で成功した事例。この成功をまねて全国で同様の方法が用いられてきたが、柳の木の下に何匹もドジョウはいない。おそらくマーチャンダイジング戦略が明確だった、それが環境づくり以上に大きな作用を果たしたと推測できる。

 

図3. フルトンマーケット   昔の食肉加工市場を商業施設に再生させたプロジェクトとしてはさきがけ的存在である。古い施設は再生できる、その始まりのプロジェクトであった。

 

図4. ピア17   昔の倉庫を商業施設に再生したもの。それはその後に我が国でも多く実施されるウォーターフロント開発のさきがけ的な存在である。

 

図5. フヌィエル・マーケット・プレイス   都心部再生の重責をにないながら成功をおさめた商業施設。プロデューサー、J.ラウスの力が大きく、商業施設開発には、建築家ではなく建築もわかるプロデューサーが必要だということを世界に証明した。再生の結果都心部に都市機能が戻り周辺へと再開発が広がっていった。都市再生の成功事例である。

 

 図6. フヌィエル・マーケット・プレイス   建物の壁際を利用して、こうした界隈性ある空間をつくりだすことにかけてはアメリカ人やヨーロッパ人は旨いです。それにひきかえ日本では「大道芸人の絵描きをおけばいいのね!」と解釈してイベントステージで行ってくれたりします。まったくもう界隈性というか敷際の作法が全然わかっていないですね。だから民族性の違いと思うほかないです。建物の壁際の空間に意味があるのです。

 

図7. ユニバーサル・スタジオ   J.ジャーディーという優れた商業建築家の仕事の意味は大きく、日本でもカナルシティ博多が彼の作品であるが、どこか懐かしい空気を漂わせながらお祭りのような楽しさを現代の商業環境を実現してきた。

 

図8. ラスベガスのモール これもジョン・ジャーディ成熟期の作品であり、カジノが並ぶモールの天井に、コンピュータ制御で様々な映像が動画で表現できる。日本ではまだ存在しない方法である。

 

図9. 明日なる金山   私が名古屋市に赴任した頃、名古屋市の職員と金山駅前にどんな商業施設をつくろうかとする議論があった。そのなかで仮設で20年程度もてばよいので小さな商業施設をつくろう。駅前の市道も邪魔だから廃止してといった具合に話は膨らみ、そのなかで私が算出した店舗面積1万㎡にしておくとする計画条件をきっちり守って民間プロデュース企業によってつくられた。というのもその規模であれば、周辺に影響を及ぼさないことが計算上わかっていたからである。その後周辺には新たな商業施設が進出し集積して市の計画であった副次拠点形成を大きく前に進めた。つまりこの小さな商業施設は大成功だったわけである。

 

参考:まちづくりの知恵と作法p219-228

OlympusXA4,CanonEOS3,EF28-135mm/F3.5-5.6,NikonF4,AiAFNikkor20-35mm/F2.8,コダクローム2,エクタクローム

参考文献:三井不動産S&E研究所/北山創造研究所編:まちづくりの知恵と作法,日本経新聞社,1994,p219-228

コメント (1)
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