京料理 道楽のブログ

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松樹千年翠(しょうじゅせんねんのみどり)

2008-12-18 | Weblog
おめでたいお席やお正月のお床に『松樹千年翠』というお掛物とよく出会います。時が流れても松は変わらない緑色を湛えているところから永久(とわ)の吉上(きちじょう)を願う意と捉えていましたが、最近この句は対句になっており『不入時人意』〈時(とき)の人の意(こころ)に入(い)らず〉と続くことを知りました。つまり松は千年も万年も変わらぬ美しい緑色を湛えているけど、人はいつも松を目にしていながら、それを心から美しいなぁと感じられる人はどれだけいるのでしょうかという意味なんでしょう。人は、その美しさに気付かないでいることが多いのです。美しいもん素晴らしいもんを目(ま)の当たりににしていても、その美しさ素晴らしさ価値を認識出来る目や感じる心を持たなかったら味気ない人生になってしまいます。ぼくも、季節の移ろいや自然が織り成す美を感じられるように心を磨き、物の価値を理解出来る知識を身につけるよう勉強していかなあかんなぁといつも思っております。お招きに預かって、きれいに掃除し水が打たれた露地を通り、お香(こう)薫る中、お
心入れの道具でおもてなし頂いても、そのお心遣いが何も解らないようでは、自分自身も楽しめないし、もてなす側も残念でしょう。