福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

分解が進まない

2007-01-16 22:00:07 | 南極

01_46南極宗谷海岸スカルブスネスの「きざはし浜」には生物観測用の観測小屋があります。小屋からシェッゲに向かって右手に数分歩いたところにアザラシの死体を発見いたしました。

死んでからどのくらい時間が経過したのでしょう? 棒で死体をつ01_47ついてみるとカチカチに凍っています。海水中に浸かっているならまだしも、砂浜に上がってしまえば、夏であったとしても死体は凍ってしまいます。昼間気温が上昇したとしても、なかなか融けないようです。

微生物による死体有機物の分解が進んでも良さそうですが。その分解に関与する微生物がいないのか、あるいは、いたとしても活動できない物理化学的条件なのでしょうか? 不思議です。

生物生産速度に対して分解速度が相対的に著しく低いことが、極地生態系の特徴でしょうかねえ?